アセアン地域の工学系人材育成の取組-アセアン工学系高等教育ネットワークプロジェクト第25回運営委員会の開催-

2019年7月19日

2019年7月19日(金)、アセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-Net)プロジェクトの第25回運営委員会(Steering Committee Meeting(SCM))が、タイのバンコクにおいて開催されました。
AUN/SEED-Netプロジェクトは、ASEAN諸国の持続的・安定的な経済開発とそれを支える工学系人材の養成を目的として、2003年のフェーズ1開始以来、ASEAN10カ国の工学系トップ大学26校を対象とした教育・研究能力向上支援を行っています。これまでにプロジェクトを通し、1,400名以上の大学教員の修士・博士号取得、200件以上の本邦大学・産業界との共同研究実施、工学分野の学術誌(ASEAN Engineering Journal(AEJ))の創刊等の成果を達成してきており、現在フェーズ4を実施中です。

SCMは毎年、関係者間の情報共有、課題の協議等の為、開催されており、本会議ではプロジェクト現況、外部連携、アセアンを越えたネットワークに関する確認・協議が行われ、当日は、プロジェクト関係者(注1)に加え、教育・研究関連の外部機関及び、他のJICAプロジェクトの関係者等、総勢100名超が参加しました。

(注1)メンバー大学(アセアン10か国26大学、本邦14大学)、ASEAN 事務局、ASEAN University Network(AUN)、アセアン日本政府代表部、AUN/SEED-Netプロジェクト国内支援委員会、JICA本部人間開発部、JICAタイ事務所等

プロジェクト現状

冒頭のプロジェクト関係機関の代表者挨拶に続き、AUN/SEED-Netプロジェクト事務局より、フェーズ4の中心プログラムである共同教育プログラムの順調な進捗、AEJのScopus(注2)登録についての報告がありました。AEJがScopusに登録される事で、より多くの人がアセアンのメンバー大学研究者や学生の研究成果に触れる機会が生まれ、より質の高い学術論文が集まることが期待されます。メンバー大学にとってメリットは大きく、多くの参加者から賞賛の声が寄せられました。

また各共同教育プログラムの代表から、プログラムのこれまでの成果、今後の取組について共有がなされ、積極的な意見交換が行われました。

(注2)査読済み文献の世界最大級の抄録・引用文献データベースであり、ジャーナル、書籍、会議録を収録

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開会あいさつを行うJICA人間開発部佐久間部長

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共同教育プログラムの発表

外部連携

続いて、ASEAN Foundation、株式会社リバネス、国立研究開発法人情報通信研究機構アジア連携センター、CU Innovation Hubから、それぞれの機関が持つ研究資金や支援プロジェクトに関するプレゼンテーションが行われました。外部資金の確保は持続性確保の観点からも重要であり、今後の連携に向けた活発な意見交換が行われました。

アセアンを越えたネットワーク

会議後半には、JICA本部、エジプト日本科学技術大学(E-JUST)(注3)、インド工科大学ハイデラバード校(IITH)(注4)、プロジェクト事務局それぞれの代表者より、AUN/SEED-NetにASEAN域外国が参加する意義、パートナー大学となりうる学校の紹介、ネットワーク拡大に対する期待等について発表が行われました。アセアンを越えたネットワーク形成の構想は本会議で初めて提案されましたが、参加者からは本構想への支持が示され、連携強化に向けてフォローをしていく事で合意しました。

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E-JUSTの紹介を行うゴハリ学長

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IITHの紹介を行う樋浦プロジェクト専門家

最後にAUN/SEED-Netプロジェクトの上田チーフアドバイザーより、閉会の挨拶としてこれまでプロジェクトが積み上げてきた成果、フェーズ4の取組に加え、外部連携の促進によりAUN/SEED-Netが将来にわたって持続的に運営される事への期待が表明され、参加者全員で集合写真を撮影し、閉会となりました。

AUN/SEED-Netプロジェクトフェーズ4では、これまで培ってきたアセアン域内での教育・研究実績に基づき、日本とアセアンの関係機関の連携強化のみならず、外部機関、域外大学等との連携も進めていきます。これにより、アセアンのみならず南アジアやアフリカも含んだ工学系人材の育成を促進し、もって同地域の持続的・安定的な経済開発に貢献します。

(注3)日本型の工学教育の特長を活かした「少人数、大学院・研究中心、実践的かつ国際水準の教育提供」をコンセプトとして2009年に設置された、エジプト初の「日本」を冠する国立大学であり、日本は機材建設や大学運営、研修等の支援を実施

(注4)インドの理工学系高等教育機関の最高峰であるインド工科大学(Indian Institute of Technology、IIT)のハイデラバード校であり、日本はキャンパス建設や共同研究、本邦留学等の支援を実施

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参加者全員の集合写真

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