-統合水資源の実践-ストックホルム世界水週間で、JICAが協力した知見を世界に発信!!(スウェーデン)

2019年8月25日

概要

会議名:-統合水資源の実践-ストックホルム世界水週間で、JICAが協力した知見を世界に発信!!(スウェーデン)
開催日:2019年8月25日(日)
主催:ストックホルム国際水研究所(SIWI)※JICAはイベントセッションのうち1つを主催
場所:スウェーデン ストックホルム市

主な参加者

主な登壇者

ハワード・バムジー 世界水パートナーシップ(Global Water Partnership(GWP)) 議長
ジャロット・ウィドゥヨコ インドネシア 公共事業国民住宅省 水資源総局 河川港湾局 局長
アフメッド・アダム スーダン 水資源・灌漑・電力省 顧問
ゴンサーロ・ムニョス ボリビア コチャバンバ県庁 母なる大地の権利局 局長
永田 謙二 JICA国際協力専門員
庄司 いずみ JICA地球環境部 水資源グループ企画役
有馬 朋宏 JICA地球環境部 水資源グループ
松林 美葉 JICA地球環境部 水資源グループ
大村 真由 JICA地球環境部 水資源グループ
加藤 久美子 JICA地球環境部 防災グループ

背景・目的

ストックホルム世界水週間はストックホルム国際水研究所(SIWI)が主催する国際会議で、1991年より毎年開催されています。専門家、政策決定者、民間企業、若手専門家、NGO等が一堂に会し、国際的な水に関する課題について議論を行う場であり、今年は8月25日(日)~30日(金)の日程で開催されました。

これまでもJICAはブース出展やプレゼンテーション等で参加してきましたが、今回は初めてイベントセッションを主催(世界水パートナーシップ(Global Water Partnership(GWP))、イラン:オルミエ湖救済委員会、インドネシア:公共事業国民住宅省、スーダン:水資源・灌漑・電力省、ボリビア:コチャバンバ県庁との共催)し、「"Practical IWRM" : How it works in difference context.(統合水資源管理(注)の実践)」について世界に向けた発信を行いました。

(注)GWPによると、統合水資源管理(IWRM)は、「重要な生態系の持続発展性を損なうことなく、経済および社会の繁栄を公平に最大化するための、土地等を含む水資源の調整された開発・管理を促進するプロセス」と定義されています。

内容

JICA主催のセッションでは、JICAの国際協力専門員・職員のみならず、JICAが統合水資源管理分野の協力を行っている各国のカウンターパートも一緒に発表を行いました。現場での経験・知見に根差した、地に足の着いた知見・教訓は、集まった各国からの参加者にとっても刺激に溢れたものであり、質疑も活発に行われ、大盛況のイベントとなりました。発表のテーマは以下のとおりです。

発表テーマ

  1. イラン:環境か開発かそれとも…-ウルミエ湖のよりよい将来へのステップとは-
  2. インドネシア:"沈む巨大都市ジャカルタでの合意形成-地盤沈下を止める!-"
  3. スーダン:枯渇する地下水-状況打破のための4つの鍵
  4. ボリビア:信頼関係の再構築に向けた挑戦-コチャバンバ水紛争を越えて-

これらの事例を踏まえて、得られた教訓は主に以下の4点になります。

  1. 統合水資源管理推進のためには、関係者が集まるプラットフォームを設立するだけでは不十分で、プラットフォームの中で継続的に問題を解決し、合意形成を進めていく必要がある。そのためには、段階的な問題解決と合意形成が大切であり、小さな成功を積み重ねることで、「統合水資源管理の実践」のサイクルが上手く回っていく。
  2. 水資源を巡る世界各地の紛争を解消していくためには、水資源管理を実施する主体及びステークホルダーが、水資源に係る科学的な正しい認識を持つと同時に、対立が発生している社会的背景を理解することが必要不可欠。
    しかしながら、十分なデータ・情報を得るには時間がかかるため、データ・情報が不足する状況下でも、紛争を軽減し、合意形成を図るための方法を見つけていく必要がある。
  3. 統合水資源管理の実践を推進するためには、関係機関の能力強化が必要。しかし、それを指導できる専門家はまだ限られている。実務者の間での統合水資源管理に関する理解も不十分であり、水利用者やステークホルダーにとっても、統合水資源管理の概念は理解が容易ではない。
  4. 従って、統合水資源管理に関する問題解決や合意形成に向けた議論のプロセスを示す「方法論」が必要であり、統合水資源管理の現場で使える「方法論」を開発していかなければならない。

JICAは、今後も統合水資源管理の実践にかかる協力を通じて、有用な教訓や克服すべき課題を探し続けていきます。また、それら教訓・課題を世界の関係機関と共有することも重要であり、今後ともGWP等とも連携しながら、知見の発信に努めていきます。

資料

関連リンク

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スーダンに関する発表の様子

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プレゼンテーションを行う永田国際協力専門員

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発表者と各国のカウンターパート