JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム(JJ-FAST)を活用した森林ガバナンス改善セミナー

2019年10月9日

概要

会議名:JJ-FASTを活用した森林ガバナンス改善セミナー
開催日:2019年10月9日(水)
主催:JICA
共催:JAXA
場所:カメルーン国ヤウンデ市郊外コルビソン

主な参加者

国際協力機構(JICA)は、10月9日、国際宇宙機構(JAXA)と共催で「JJ-FASTを活用した森林ガバナンス改善セミナー」を開催しました。カメルーン国森林被覆モニタリング局職員、森林・野生動物省等から森林モニタリングに関わる実務者レベル20名余りが参加し、JAXAのJJ-FAST開発担当2名によるJJ-FASTの概要、特徴の説明に熱心に聞き入りました。

背景・目的

2015年11月COP21(パリ)にて発表されたJICAとJAXAによる「森林ガバナンスイニシアティブ」により開発されたJJ-FASTにて、ペルー、ブラジル、モザンビークに並んでカメルーンがスーパーサイトに選定され、JICAプロジェクトの実施とあわせてJJ-FASTを活用した森林モニタリングを推進しています。また、今年8月に行われたTICAD VIIにて、災害に強い社会づくりの貢献として、JJ-FASTによるアフリカ43カ国における森林環境変化の警戒・監視の取組が挙げられています。

アマゾンに次ぐ広さの熱帯林を擁するコンゴ盆地に位置するカメルーン国では、近年森林減少が深刻な課題となっており、カメルーン国の森林保全の取り組みを支援するため、JICAは技術協力「持続的森林エコシステム管理能力強化プロジェクト」を実施しています。今回のセミナーは、日々森林モニタリングに関わっている実務者レベルへJJ-FASTのメリット、機能を紹介し、カメルーン国における森林モニタリングにどのように活用できるか、議論の場を設けることを目的として開催されました。

内容

JAXAのJJ-FAST開発担当者の林氏、永谷氏より、JJ-FASTは光学衛星と異なり、JAXAの陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)はレーダー反射を利用して地上を観測するため、雲の影響を受けないこと、JJ-FASTでの森林減少検出結果はインターネットベースで無料で誰でも簡単にアクセスができ、利用できることが述べられました。

セミナーの参加者は各自持参したPCで実際にJJ-FASTのサイトへアクセスし、森林減少が認められた箇所の確認方法や場所の特定方法について、操作方法を習得しました。また、講義の間には、参加者がJAXA講師陣、JICAプロジェクト専門家と一緒に、樹高を計測する機器Vertexを用いて、セミナー会場内の木を実測するデモンストレーションを行い、JJ-FASTから得られる情報に対し現場での実測を通じて得られる情報を付加する方法を確認しました。

参加者からは、「現在カメルーンでは、森林モニタリングのツールとして光学衛星の画像を利用し、違法伐採を検出し取り締まりを行っているが、年間を通じて雲の被覆率が高いカメルーンにおいて、雲を透過するレーダーで観測するJJ-FASTと併用すれば、より高い頻度で違法伐採を取り締まることが出来る」と活用に高い期待が寄せられました。

今後、JICAは技術協力プロジェクトを通じて、JJ-FASTがカメルーン国の森林モニタリングに積極的に活用されるとともに、現場からの森林や土地利用変化の情報がJJ-FASTへ寄せられるよう支援し、JJ-FASTの森林変化抽出の精度向上への貢献、カメルーン国の森林ガバナンスの向上、さらには他国のモニタリング技術の向上にもつなげることを目指していきます。

関連資料

関連リンク

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オープニングセレモニー(森林被覆モニタリング局長より挨拶、右から3人目はJICAカメルーン事務所増田所長)

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参加者による集合写真

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JAXA林氏よりVertexの使用方法について指導を受けるカメルーン側参加者。

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参加者全員がJJ-FASTのサイトにアクセスし、操作方法を実習。

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JAXA永谷氏によるJJ-FASTの操作方法説明。