「技能実習生等を送り出す途上国」と「技能実習生等を受け入れる日本」がともに繁栄する道筋を-外国人材の各国制度をとりまく状況と課題に関するフォーラム開催

2020年1月16日

概要

会議名:「技能実習生等を送り出す途上国」と「技能実習生等を受け入れる日本」がともに繁栄する道筋を-外国人材の各国制度をとりまく状況と課題に関するフォーラム開催
開催日:2020年1月16日(木)
主催:JICA
協賛:全国農業協同組合中央会(JA全中)
場所:独立行政法人国際協力機構本部ビル(千代田区二番町)
(注)テレビ会議接続により13か所の国内・海外のサブ会場でも開催

主な参加者

毛受 敏浩((公財)日本国際交流センター執行理事)
薗田 綾子((株)クレアン代表取締役)
杉田 昌平(センチュリー法律事務所 弁護士)
宍戸 健一((独)国際協力機構 上級審議役)
大塚 卓哉((独)国際協力機構 企画部総合企画課長)

参加者 約130名(本会場)、約50名(国内外拠点)

背景・目的

2019年4月に改正された出入国管理法が施行され、「特定技能」が設けられるなど、外国人材受入れの枠組みが拡大する一方、技能実習生の不適切な労務環境、人材確保における他国との競争激化、日本で習得した技能が帰国後に母国の開発に活かされない等の課題への対応が必要となっています。

このような中、JICAは、外国人材受入れというオールジャパンで取組むべき課題について、今後JICAが担うべき方向性を議論し、外国人材を送り出す途上国と受入れる日本がともに繁栄する道筋を見出し、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を目指すことを目的に本フォーラムを開催しました。

(注)本フォーラムは「農業分野の外国人材の受け入れ×ODA」を考えるフォーラム」(2019年7月19日開催)に引き続き、「食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)」の地方創生第2回分科会として、全国農業協同組合中央会(JA全中)協賛のもと開催されました。

内容

フォーラム前半では、外国人材受入れに資するJICAの取組み説明や、外国人材の主な送出し国である東南アジア6か国でJICAが実施する調査の中間報告を実施。報告では、労働力が不足する競合国が台頭し外国人材送り出しが売り手市場になりつつあること、来日前の日本語教育の不足、帰国実習生への就職・起業などの側面支援が不足し、彼らが日本で培ったスキルを母国で十分に活かしきれていない、といった課題が指摘されました。

フォーラム後半は、(公財)日本国際交流センター執行理事の毛受氏、(株)クレアン代表取締役の薗田氏、センチュリー法律事務所弁護士の杉田氏、及びJICA企画部の大塚総合企画課長によるパネルディスカッションを実施。劣悪な労働環境や失踪者など外国人材に関し国内で顕在化する課題、SDGsゴール8や12にも関係するバリューチェーン全体のアカウンタビリティ確保の意味から技能実習生受入れ企業と企業のプロダクツを消費する一人ひとりが意識を改善する必要性、JICAの外国人材に関係する取組みの今後の方向性などが共有・議論されました。日本が外国人材に選ばれる国となるためには、受入地域での共生社会実現、地域ぐるみの受入サポート体制の構築が重要であり、各地域の取組みにJICAが貢献する可能性・期待などが示されました。

フォーラムの総括として、外国人材受入れの課題に関する以下の5つのJICAの取組みについて、賛同を得、その実現に向け関係者と連携しながら、取組みの可能性を検討していくことを確認しました。

  1. 途上国の人材育成:人材の往来を容易にする日本とアジアの技能認定制度のCompatibilityの向上を含む
  2. 日本・途上国開発に繋がる地域間連携(トリプルウィンモデル)の推進
  3. 多文化共生社会をリードする日本人の人材育成:積極的な地方自治体、大学、JA等との連携により、「多文化共生を日本の文化に!」とする取組みの拡大
  4. 責任ある受入れの推進:途上国行政能力支援、透明性向上のためのWebアプリ等提供等を通じた受入制度・プロセス及び優良事例の積極的発信
    併せて、地方自治体・民間企業・監理団体等との連携による外国人材に関するESG強化の呼びかけ→国内プラットフォームの構築
  5. JICAのアセットを活用した在留外国人支援

JICAは、「技能実習生等を送り出す途上国」と「技能実習生等を受け入れる日本」がともに繁栄する道筋を見出すため、ODAで何ができるのかを考え、実行していきます。

資料

関連リンク

【画像】

熱い議論に多くの参加者が聞き入る

【画像】

パネルディスカッションの様子

【画像】