JICA DXTF-世銀 T&I Lab 開発におけるデジタル・テクノロジー・イノベーションの共創に向けてテレビ会議を開催

2020年3月18日

ワシントンDC、2020年3月17日・東京、同18日-国際協力機構(JICA)デジタルトランスフォーメーション推進タスクフォース(Digital Transformation Task Force:DXTF)と世界銀行テクノロジー・イノベーションラボ(Technology and Innovation Lab:T&I Lab)は、テレビ会議を開催し、貧困削減や人々の健康的な生活の確保など、開発途上国による持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けたデジタル技術・手法の活用に関して、議論しました。また、関係省庁(経済産業省)にも開発途上国支援に関する最先端の取組が共有されました。

JICAからは、2019年12月に設置された北岡理事長直轄のDXTFのメンバーが、世界銀行からは、2017年6月に発足した開発課題の解決に向けて先端技術の活用を行っているT&I Lab及び東京事務所のメンバーが参加しました。

世界銀行T&I Labからは、先端技術を活用して開発の諸課題を解決するために行っている取り組みについて説明がありました。世界銀行保健・栄養・人口グローバルプラクティスとT&I Labは、保健分野について、ブロックチェーン技術(注)を用いてサービス提供の効率性を高める取組が説明されました。この他、移動インフラ分野ではブロックチェーン技術を活用して交通運賃を回収することで、コスト削減、透明性担保、政策立案、を効率化するための取組について紹介がなされました。また、民間向けの投融資を行う世界銀行グループの国際金融公社(International Finance Corporation:IFC)が投資を行う際に環境・社会・ガバナンス(ESG)要素を効率的に確認するための人工知能(Artificial Intelligence)技術が紹介されました。

JICAのDXTFからは、日本経団連との共創により、日本のODAを通じて開発途上国のデジタルトランスフォーメーションを推進するべく、優れた技術とノウハウを有する日本企業から提案されたデジタル技術・手法について紹介しました。移動インフラ分野では、交通事故などの重大事故が発生しやすい交差点や大渋滞を引き起こす交差点の改善のため、必要な道路交通情報を監視カメラ画像から抽出し、日本の数十年分のビッグデータ(事象と対策のノウハウ)と突き合わせて、最適な改善方法をリコメンドする提案を紹介しました。この他、今後実証を進めることが提案されているコンセプトとして、ブロックチェーン技術を活用した日本と開発途上国の間の人材情報管理システム及び途上国の国民IDシステムの整備や、農村部での健康診断データを活用した生活習慣病(主に糖尿病)予防などのアイデアが説明されました。

両組織は、今後も開発分野における、デジタル・テクノロジー・イノベーション手法の活用可能性について、その知見を共有しつつ、SDGs目標達成を連携して支援していくことで一致しました。

(注)ブロックチェーン技術:分散型台帳技術と呼ばれる。例えば、受診などのデータを各病院のシステムで管理するとデータの連携に多くの困難を伴うのに対し、データを台帳(ブロックチェーン)上で各病院が共有するもの。台帳の更新時に参加者間の合意をとることで、データの共有を円滑に行い、第三者による改ざんを防止し、管理コストを抑制する。