「キルギスの汚職は撲滅できるか?」−キルギス日本センター

2011年4月8日

2011年3月16日、キルギス日本人材開発センターとキルギス民族大学は、同志社大学グローバルスタディ研究科の小山田英治教授をお迎えし、民族大学の法学部学生約40名を対象に、「汚職が政治経済に与える影響」についての特別講義を開講しました。日本の大学教授による民族大学での特別講義は同年1月28日の神戸大学と国際大学の教授陣による「日本経済」の講義に続き第2回目です。

【画像】講義冒頭には東日本大震災で亡くなった方へのご冥福を祈り、民族大学の講師と学生から黙とうが捧げられました。

これまで長い間国際社会の中で取りざたされなかった「汚職」は、冷戦の終了やグローバリゼーション、援助機関の考え方の変化、といった状況の中、近年急激にクローズアップされ始めました。特別講義はBBCの調査で2010年に最も話題となったイシューのひとつに、気候変動や貧困、環境問題、世界経済等と並んで「汚職」が浮上してきた状況分析から始まりました。キルギスにおいて汚職は非常に深刻な社会問題で、その影響は税関や警察にとどまらず、広く日常生活に浸透していると言われています。学生たちは小山田教授の講義に真剣な表情で聞き入り、投げかけられる質問にも積極的に答え、汚職というテーマを重要視している姿勢が見られました。

【画像】また、世界の汚職政治家トップ10、世界的に見る汚職の発生率の推移、各国の「汚職」の語源、汚職の発生率とGDPや宗教、人間開発指数との関連性等、数多くの興味深いデータが提供され、抜本的な政治改革によって汚職を払拭した成功事例として、グルジアの取り組み事例が紹介されました。グルジアとキルギスは国家規模が似通っており、キルギス政府からは、グルジアの例に倣って汚職対策をすべきだという声も上がっており、この事例については特に学生と講師の関心を集めたようでした。

深刻な社会問題である汚職の撲滅にこれまで何度となく失敗してきたキルギスでは、国民が汚職を「変えられない現実」として捉えているかに感じることがあります。今回、学生たちがグルジアの取り組み事例を何を思いながら聞いていたのか。やはりキルギスでは実現できないと思ったか、方法は違ってもキルギスでも汚職の撲滅に成功できる日が来るかもしれない、と希望を抱いたか。一人でも後者のように感じた学生がいれば、それが「変えられない現実」を変える大きな原動力となるのではないかと期待します。