【インタビュー】前・カンボジア日本センター専門家(相互理解/広報・情報発信)田口明男さん−カンボジアと日本をつなぐ最初の窓口に

2011年6月27日

2006年2月に立ち上がり、ビジネスコース、日本語コース、相互理解事業の3つを柱に事業を展開するカンボジア日本人材開発センター(CJCC)。その中の相互理解事業は、両国の市民がお互いの理解を深めていくことを目的に、それぞれの文化、伝統行事、生活ぶりを紹介するイベントを開催しています。

【画像】今回、2009年6月9日〜2011年6月8日までカンボジア日本センター(CJCC)専門家を務めた田口明男さんが帰国したことを機に、相互理解事業の内容や、これからCJCCは事業にどう取り組んでいくべきかについて聞きました。

−CJCCが取り組む相互理解事業の詳細について教えてください。

【画像】相互理解事業では、カンボジアと日本両国の文化を理解し合うことを目的に、お互いの文化や伝統行事を紹介する展示会やイベントを開催しています。たとえば、こいのぼりの展示や日本の四季を紹介するパネルの展示、邦楽のコンサートなどです。また、見るだけでなく実際に体験をするイベントも開催しており、たとえば折り紙やお茶、生け花、和太鼓について学ぶ教室があります。月に1〜2回程開催し、20人くらいが参加しています。
こういったイベントの中でも季節もののイベントは人気があり、たとえば七夕には120人が参加しました。そこでは、現地から募ったボランティアに、浴衣を着てもらって、笹飾りや短冊の作成指導をしてもらいました。2010年で4回目となる盆踊りには2,000人もの人が参加し、会場には金魚すくいなどの出店や日本料理をふるまう屋台などが出ていました。また、カンボジアで活動する日本のNGOが事業内容について発表する場も提供し、NGOが制作した民芸品を販売するブースも設置しました。

−カンボジアの人たちが日本に関心を持ってもらう最初の入り口を提供しているわけですね。その中でもユニークなものは。

【画像】カンボジアの学生との交流を希望する日本人学生に対して、「スタディツアー」をアレンジしています。具体的には、カンボジアに関心のある日本の学生と、カンボジアで日本語を学んでいるカンボジア人との交流の場を設けるとともに、日本側の要望に合わせて、市場などさまざまな施設の見学ツアーを実施しています。日本の学生にとってはカンボジアの文化に触れることができ、カンボジアの学生にとっては日本語を実践できる、貴重な機会となっています。このツアーではアレンジ料と施設の使用料をいただき、自主事業として運営しています。

【画像】また、JICAカンボジア事務所からの委託を受け、「JICAボランティア現地語研修」も行っています。これは、青年海外協力隊やシニア海外ボランティアにクメール語を習得してもらうために、一日4時間の語学研修を、12日間、計48時間実施するものです。かなりハードな内容ですが、現地での活動や交流にクメール語は欠かせないため、皆必死に学んでいます。

−今後の相互理解事業のあり方について、聞かせてください。

現在、カンボジアは急激な発展を遂げています。また、ポルポト時代に難民となって欧米諸国に出ていた人たちが、近年、欧米で教育を受けて戻ってきており、文化的にも急激な変化を遂げています。こういった中でカンボジアでの市場を開拓しようと、中国や韓国の進出が激しくなっており、日本の存在感が薄くなってきています。
しかし、カンボジアの人たちは日本の技術力の高さは分かっており、信頼感も依然高いので、日本側からカンボジアに向けて、もっと積極的に情報を発信していくことが重要です。そこでCJCCが担う、唯一の顔の見える日本の窓口としての役割は大きいです。
相互理解事業が、日本に関心を持つ最初のきっかけとなり、そこから、新たなビジネス事業や日本語研修事業につなげていければ、と考えています。

<プロフィール> 田口明男

大学卒業後、専門学校にて映画・テレビ制作を学び、12年間放送局・制作会社にてテレビ番組制作に関わる。
また同時に、優れたアジア伝統芸能の日本への招聘活動を行うためオフィス・アジアの運営に関わり1981年から国際交流基金の「アジア伝統芸能の交流」の一部を担当した。
その後、青年海外協力隊員としてタイ国キングモンクット工科大学建築学部コミュニケーションアート学科にて映画・ビデオ制作を指導、帰国後JICA専門家としてケニア・フィリピン・ニカラグア・タンザニア・ガーナでの保健医療、特に家族計画・母子保健分野IEC専門家として、また教育分野の教育工学専門家として継続的にJICAプロジェクト事業に携わった。2005年よりカンボジア日本人材開発センター広報部門のコンサルタント専門家として4年間継続的に関わり、2009年6月より相互理解/広報・情報発信専門家として赴任。