【研修レポート】中央アジア3カ国の日本センター「現地講師育成研修」を実施−住友商事で総合商社の真髄に触れる

2012年4月5日

ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスの中央アジア3カ国の日本センターは、それぞれ、ビジネスコースを通じて現地のビジネス人材を育成しています。国際協力機構(JICA)は現在、この日本センターの自立化に向けて技術協力を実施していますが、その際、とくに現地講師の育成を重視しています。このため、今回、これら3カ国の日本センターの現地講師計19人を対象に2月13日〜24日に実施された研修では、電機、製薬など製造業のほか、商社や外食、流通・小売りなど多彩な日本企業を訪問。人材育成管理や経営戦略、マーケティング手法など、日本企業の実践事例を学びました。「日本式経営」の実例を数多く身に付けてもらうことで、日本センターでの講義に役立ててもらう狙いがあります。その中から、2月17日(金)に訪問した住友商事株式会社での研修の様子を紹介します。

瀧本さんの説明に熱心に耳を傾ける研修員

住友商事は1919年創業の総合商社で、約400年の歴史を持つ住友グループの中核企業です。国内外139拠点、グループ会社790社、グループ全体の社員数は約2万5000人。資源・環境からIT、物流、農業まで、幅広い領域で事業展開しています。

研修では、まず、同社欧州・CIS・中東チームリーダーの岡本武さんが「“総合商社”は日本特有の企業形態です」と強調。続けて、株式会社住友商事総合研究所代表取締役社長の瀧本忠さんが、戦後から今日まで、日本経済の変化に合わせて進化してきた総合商社の役割や機能について、年表や写真を使って丁寧に解説しました。

瀧本さんの説明に熱心に耳を傾けていた研修員は、「成長段階に合わせてビジネスモデルや組織構造を変えるのは、口で言うほど容易ではなかったはず」「400年も前の創業の精神を今でも大事にしているとは非常に興味深い」といった感想を述べました。

人事制度や人材育成制度についてはとりわけ関心が高かった

次に、住友商事人事部主任の西川健さんが、同社の人材育成制度を紹介。「現場で経験やノウハウを身に付ける“OJT”と、企業内大学(Sumisho Business College)や各ビジネスラインのニーズに基づき実施している部門内研修などの“OFF−JT”を両輪にしています」と説明しました。

すると研修員は、「研修の効果や社員の評価システムは?」「社員のモチベーションはどのように維持していますか?」と矢継ぎ早に質問。人材育成制度に対する関心はとりわけ高かったようです。これに対し、西川さんが「研修終了後のアンケートや一部の科目に導入している修了テストなどを通じて研修の効果を把握しています」「モチベーションについては金銭面よりも“やりがい”の影響が強いと思いますので、本人に適度にストレッチした業務目標を設定するなど工夫しています」などと回答すると、研修員は「(住友商事の)人材育成は大規模で体系的。社内で一人前に育てることを重視している」と感心していました。

人事制度や人材育成制度についてはとりわけ関心が高かった

カザフスタンから研修員として参加した経営コンサルタント会議所の人材管理コンサルタント、ヴァレンティーナ・グレゴリエヴァさんは、「国内のコース受講者は日本企業の成功の秘密に強い関心を持っています。研修でその精神をしっかりと学び、受講者の経営にも生かせるよう努力したいと思います」と話しました。

ヴァレンティーナさんによると、カザフスタンでは長い歴史を持つ会社やグローバル展開する企業がまだ多くなく、社員一人ひとりの仕事に対する意識や意欲をどう高めるかが重要な経営課題の一つになっているそうです。「企業理念が社員全員に行き届いている」点に興味を持つ研修員もいました。ほかにも、研修員からは正規・非正規社員の比率や実力主義の給与体系などについて突っ込んだ質問が寄せられ、自国内の講義に生かそうと日本企業のノウハウを積極的に学び取ろうとする姿勢が感じられました。

今回の研修組立と実施では、関西圏を中心に幅広いネットワークと研修受け入れ経験、ノウハウを持つ(財)太平洋人材交流センター(PREX)さんにご協力頂きました。