【研修レポート】カザフスタン日本センター「省エネ」で意見交換会−両国企業が交流深める

2012年9月5日

カザフスタンの電力事情を解説するモルドバエフさん

カザフスタンは現在、省エネ法の施行に向け着々と制度整備を進めています。これを受けて、6月から8月に行われた「カザフスタン日本人材開発センター(KJC)・企業振興プロジェクト 省エネセミナー」では、同国内の各都市でエネルギーや電力分野の関係者向けに日本の省エネ技術を紹介するセミナーや省エネ診断が実施されました。このうち、7月31日には、現地のエネルギー・プラント関係者を招き2週間にわたって行われた本邦研修の一環として、電力会社や商社、設備関連など日本のエネルギー・プラント関係者を交えた意見交換会を実施。両国の参加者は活発な議論を交わすとともに、交流を深めました。

本邦研修というと日本企業からの説明が中心ですが、今回の意見交換会はカザフスタン企業から日本企業に紹介する形を取りました。お互いの理解を深めることが目的です。会合では、まず、国家福祉基金「サムルーク・カズナ」の傘下にある、「サムルーク・エネルゴ社」(国営電力会社)のモルドバエフさんが、同国の電力事情や電力投資計画を紹介。モルドバエフさんによれば、高い成長を背景に、石炭が中心の同国の発電能力を2011年の19,798メガワットから20年には24,441メガワットに増強する見込み。さらに発電能力の増強にあわせ同年までに単位当たり燃料消費量を17.5%削減する目標が掲げられています。こうしたなか、同社は20年までに電力の産出量を11年比2.6倍の350億キロワット時、熱の産出量を同年比1.2倍の9.3百万Gcalに増やす計画で、最新の発電技術やNOx・SOx除去技術といった環境技術を導入することで効率向上を図っていく考えを示しました。再生可能エネルギーの導入にも力を入れ、風力発電、太陽光発電とも、それぞれ出力300メガワットに増強するそうです。

参加した研修員たち

続いて、石炭や重油を燃料に用いて電力と熱を生産し、首都アスタナに供給しているアスタナ第2石炭発電所のトクトバエフさんは、16年頃までに発電タービンや蒸気ボイラーを増設し、同発電所の出力を600メガワットに増強する計画を紹介。現行の第1、第2ユニットに続く第3ユニットを新設する予定で、19年までに稼働開始できる見通しを明らかにしました。さらに、電気、機械、住宅などを扱う総合メーカー、アラギアムグループのイリヤソフさんが、省エネタイプの変圧器をはじめとする同社の電気関連製品をアピール。同時に、省エネセミナーで実施してもらった省エネ診断の結果、生産設備に空気漏えい個所が見つかったエピソードを披露し、「おかげですぐに改善できました。従業員ともども感謝しています」と感謝の意を表しました。

省エネ法への質問に丁寧に応えていたアリベコフさん

最後に、政府系省エネ技術促進センター、「カザフ・エネルゴ・エクスパタイズ」のアリベコフさんが同国省エネ法の動向を解説しました。同法は、エネルギー消費量1,050トン(原油換算)以上の企業を対象に、5年に1度の「エネルギー監査」の実施とエネルギー効率の改善を義務付ける内容です。併せて、エネルギー管理のための国際規格、ISO50001の認証取得も求めています。一方で、達成企業に対しては、法人税の減免や資金支援といった優遇措置も用意されています。アリベコフさんの説明が終わると、日本側の参加者から「工場単位でも義務付けの対象になるのか」「エネルギー監査の実施主体は?」など次々と質問が寄せられ、同法に対する関心の高さが伺えました。こうした質問に一つひとつ丁寧に応えたアリベコフさんは、カザフスタン企業の取り組みにあたって日本企業の支援・協力を歓迎する姿勢を示しました。

本邦研修に同行したKJCのJICA専門家の阿部直美さんも、日本側参加者に「KJCは“日本の顔”として浸透しつつあります。カザフスタン内での10年間にわたる活動を通じて培ったネットワークがありますので、相談していただければお役に立つこともあるかと思います」とKJCの活用を呼びかけました。会合後には懇親会が行われ、両国の参加者は親交を温めました。