【研修レポート】ベトナム日本センター「経営塾」第3期生が研修のため来日しました!

2012年10月5日

各発表後、熱心な意見交換が行われた

ベトナム産業界を牽引する若手経営者の育成を目的に、ベトナム日本センターで2009年に開始した「経営塾」。ベトナムで10カ月間にわたる研修の総仕上げとして、ベトナム中小企業の経営者や幹部、大学教員たちから成る第3期生23人が2012年8月、日本で2週間の本邦研修を行いました。

JICA関西が受け入れ先となった本邦研修ではベトナムで学んだことを日本の現場で実際に見ることで、日本の生産管理や日本的経営について理解を深めることができました。そして最終日となる8月3日には塾生たちによる研修成果の発表会と意見交換が行われた後、本邦研修の評価会、閉講式が行われました。

成果発表会は、塾生たちがグループを作り、日本・ベトナム企業の協業、マーケティング戦略、組織管理、研究開発、採用・人事制度の5つのテーマについて行いました。それぞれの発表から、彼らの「経営塾」での真摯な学びが伝わってきました。

日本企業の組織管理について語るラム氏

「この10カ月の学びがコンパクトにまとまっている」と、講師を務めるパナソニックエクセルインターナショナルの関忠夫氏から評価されたグエン・ホアン・ラム氏(ヴィナハサ・ベトナム社・副社長)のグループは、日本企業の組織管理の強みについて発表しました。特に本邦研修中に訪問した企業の中で、従業員数が50人以下の中小企業を例に挙げながら、「工場の規模は同程度なのに、ベトナム企業の数十倍の利益を上げている会社もあり驚いた」と述べ、その理由を「生産ラインの合理化や、“3S(整理・整頓・清掃)”活動などによる生産能力・品質の向上にある」と分析。また、日本企業は経営理念をしっかり持っているのが印象的と述べましたが、ラム氏のグループの塾生たちからは、今後の自社の目標として「経営理念の従業員への浸透」を重視していきたい、というコメントが出されました。

ブイ・ダン・フォン氏(ギアカーン技術通商社・社長)のグループは、日本・ベトナム企業の協業の利点と課題について発表しました。ベトナムはインフラなどの整備が不十分だが経済発展のスピードが速く、日本企業が技術協力や投資することで、互いにメリットがあると強調。またベトナム行政機関との諸手続きを円滑に進めていくためにも、両国企業の連携が重要だと指摘しました。なお、発表後の意見交換時に、他の塾生から「日本企業は要求するスペックをたびたび変更するので対応が難しい」という意見も出ましたが、フォン氏は「お互い忍耐力を持ち、なるべく長く協議時間を設け相互理解を促進するべきでは」と述べました。

最も塾生同士の議論が白熱したのが、採用・人事制度に関する発表です。チャン・タイン・タム氏(外国貿易大学教員)のグループは、ベトナム企業における人事評価制度の公平性欠如が従業員のモチベーションを下げていると指摘し、その解決のため経営理念を生かした魅力的な企業作りや、KPI(重要業績評価指標)を通して従業員に公平に報いる仕組みづくりなどを、日本企業から学ぶべきと訴えました。ただし、意見交換の際「今はもっと人材を大切にする企業が増えている」といった反論や、「インターン制度の導入や、社員を大学で再教育する仕組み作りなど、大学との連携をもっと強めて行くべきでは」といった意見も出ました。

また、マーケティング戦略について発表したチャン・ミン・トゥー氏(トルク・アン社・副社長)のグループでは、事例としてパナソニック・ベトナム社を取り上げ、SWOT分析を用いながら、強みと弱み、機会と脅威について分析。同社の課題として、サムソンなどの強力なライバルに対し顧客を勝ち取るためターゲットを絞り込みマーケティングをしていくべきと指摘しました。講師の関氏は、「日本がアメリカを追い越して世界一になったかと思ったら、もうサムソンに負けている。この業界はマーケットリーダーの入れ換わりが早い。今回の事例を参考に、自分の企業がどうしていくべきか考えてみてほしい」とコメントしました。

評価会では、「もっと日本企業と話したい」という声が相次いだ

そのほか、チャン・ティ・トゥ・ハン(ベトナム農業製品・食品輸出入JSC社・社長)のグループでは、研究開発(R&D)について発表。世界のR&Dの潮流変化がより激しく複雑になっている現状について述べつつ、ベトナム企業が取り組むべきR&Dのポイントについて説明しましたが、一方でベトナム企業はほとんどが中小規模のため、R&Dを行う資金力が不足しているといった問題を指摘しました。関氏は、「ベトナム企業がR&Dに取り組む上で、何に優先順位を置いて進めていくべきかまで考えるべき」とアドバイスしました。

閉講式では第1期塾生が作った「経営塾の歌」を合唱

発表会の後に行われた本邦研修に関する評価会では、「ベトナムに関心のある日本企業と対話する時間を多くしてほしい」という塾生からの要望が相次ぎ、彼らの日本企業との協業に対する熱意が伝わってきました。また、閉講式では講師の関氏が、「みんなとても自信に満ちた顔をしている」と、この10カ月での塾生たちの成長を褒めたたえました。彼らを通し、さらなるベトナム産業の発展、そして日本とのビジネス関係の強化が期待されます。