【インタビュー】前・カザフスタン日本センター ビジネスコース運営管理総括 阿部直美さん−品質管理、省エネ技術普及の促進

2012年11月6日

急速な経済発展を続けるカザフスタンで、2006年2月〜2012年9月30日まで日本センターでJICA専門家としてビジネスコースの運営を担当されてきた阿部さん。現地での取り組みや、6年間の経験を通して見たカザフスタン人の気質などについて聞きました。

−ビジネスコースではどんな取り組みをされたのでしょうか。

6年間の業務を振り返る阿部さん

在任中に心がけたのは、カザフスタンの発展に寄与しつつ、日本の良さを売りこむことです。その上で特に力を入れたのは、「カイゼン」など品質管理の向上、それから省エネ技術の普及でした。

「カイゼン」は、ビジネスコースで多くの現地企業人に教えてきました。その良さが国にも認められ、2010年に策定されたカザフスタン国家プログラム「Productivity 2020」の中にも「企業のカイゼン推進」という項目が取り入れられたのは、望外の喜びでした。

カイゼン授業の様子

一方、省エネ技術に関しては、これまで日本の省エネ技術を紹介するセミナーや、エネルギー・プラント関係者を日本に呼び研修をするといった取り組みを行いました。なお、これまでカザフスタンの発電所には環境ガイドラインがありませんでしたが、2011年に省エネルギー法が改正され、再生可能エネルギーなどとあわせて、環境基準についても日本のものにほぼ準拠した内容となっており、今後は円借款プロジェクトでも環境ガイドラインをクリアできる可能性が高くなることから、この分野でも日本企業の一層の進出が期待されます。

ビジネスコース全体の受講者は年間200〜300人ほどです。金融系やメーカー、経営コンサルタント、公務員など実にさまざまな業種の方が参加しました。日本というと、優れた技術力や戦後の高度経済成長による復興・発展のイメージが強く、また同じアジアということから、その生産技術や経営ノウハウへの強い関心を持ってくれています。

日本からの進出企業については、当初は商社のみだったのが、現在はトヨタやパナソニック、ソニー、コマツなどのメーカーのほか、ミニストップなどの小売業も進出しています。カザフスタンの人口は1,600万人程度ですが、高い経済成長を遂げており、購買意欲もとても高いので、市場としても魅力的ではないかと思います。

−カザフスタン人についてどのようにお感じですか。

ビジネスコースの授業風景

年長者を敬うなど日本人に近い習慣があり、ビジネス面でも、例えば従業員を大切にする日本的経営を教えると、「我々もこうありたい」と強い感動を覚えるようでした。基本的に、日本のビジネスパートナーとして親和性の高い国ではないかと思います。

ただし、長年にわたる社会主義政権下で身に付いてしまった減点主義の弊害で、自分からイニシアチブを取って動こうとしない傾向があります。失敗して怒られたらどうしようという恐れが強く、ミスを隠そうとしたり、不都合なことについてなかなか報告しないことがあったり。そのためスタッフに対してひどく怒ったこともありました。

ただ、彼らの内に挑戦心を育んでいけるよう、失敗そのものに対しては怒らないように努めてきました。また、物事に挑戦して取り組むことの楽しさも伝えてきましたが、この点については、スタッフもかなり良くなったのではないかと思います。

なお、スタッフには、経営改善のため引き続き受講生獲得に努力してもらいたいですね。

−カザフスタンに進出を考えている企業の方たちへのメッセージをお願いします。

今後も、短期の専門家派遣などを続け、提供するサービスのクオリティを保ち続けるよう仕組みを整えていますので、これからも日本とカザフスタンの交流の拠点として活躍していけると思います。

なお、カザフスタンの日本人コミュニティには、互いを助け合う素晴らしい雰囲気があります。日本人にとってカザフスタンはまだ「よく分からない国」でしょうが、日本センターはもちろん、現地の日本人からもさまざまな助けを得ることができます。ぜひもっと多くの日本の企業に進出してきてほしいと思います。