【インタビュー】カンボジア日本センター所長 カム・ウオンさん「ABC」を胸に−人材育成の「エクセレントセンター」目指して

2012年12月28日

2011年2月にカンボジア日本センター所長となったカム・ウオンさん。以前はカンボジア教育省高等教育局次長として国の教育政策に関わっていましたが、「現場レベルの仕事に携わりたい」との思いが所長就任の動機だったと言います。日本センターの運営や今後の目標について聞きました。

−センターの運営方針は。

ウオン所長

私の究極のゴールは、日本センターを人材育成の「エクセレントセンター」にすること。たとえ2週間の短期コース卒業生であれ、日本センターで学んだ人材が、ハーバード大学生のように社会から求められるようになるのが夢です。

その夢に向け、就任初日、私はスタッフの前で「ABC」のコンセプトについて話しました。Aは飛行機(Airplane)。パイロットだけでなく、全てのスタッフが各々の仕事にきちんと取り組まなければ、本当に良いサービスは提供できません。Bはボート。全てのスタッフが息を合わせ、仕事を進めていくことが大切です。Cは協力(Cooperation)。このセンターは日本とカンボジアの関係の象徴。このセンターがうまく行かないと、国と国の関係もうまく行かない。だから両国のスタッフが手を携えてがんばっていこうと思っています。

−センターの活動の注力点や課題について教えて下さい。

日本語コースの授業風景

日本語コースについては、年間に1,500を数える応募者がいます。特に現在は日系企業の進出加速により日本語学習者が増加していますが、プノンペン市内では民間の日本語学校も多くなってきています。今後はその差別化も含め、もっとビジネスに特化した日本語を教え、日系企業のニーズに応えていきたいと思っています。また、現在の1年という期間は長過ぎるので、3カ月程度の短期でフレキシブルに受講できる仕組みにしたいですね。

ビジネスコースに関しては、ビジネススキルの向上、そして起業の支援という2つの取り組みを主に行っています。しかし近年はその両方で、受講者が少し減っています。これに対しては、コースのテーマと名前をもっと魅力的なものにしていきたいと思います。また日本人講師たちがカンボジアの事情に沿った分かりやすい授業をできるよう、彼らにカンボジア人のアシスタントを付け、この国に関するより深い知識を持ってもらおうと思っています。

ITスキル育成コース

なお、相互理解事業も今後もっと盛り上げていきたいですね。特に、日本とカンボジアには似たような文化が多くあります。日本センターではこれまでに、日本の「餅」とカンボジアの「アンボック」(米のお菓子)を作ったり、カンボジア版「七夕」の映画を見る催しなどを行いましたが、そういったものをもっと見つけ、そして参加者が体験できるイベントを開催し、お互いの文化に対する理解促進を図りたいと思います。

−今後の目標を教えて下さい。

起業家をファイナンス面でも支援できないか模索しています。他の国と違い、カンボジアは政府からの起業家支援があまりありません。そのため、事業立ち上げの資金は銀行などに頼らざるを得ませんが、家や土地などを所有していないと金を借りるのが難しいため、起業家は苦労しています。現在、私たちは日本センターを通して出資をしてもらえるよう銀行などに依頼することもありますが、もし日本センター自身がファイナンス機能も持てば、もっと深く起業家の支援ができるでしょう。

七夕祭り

また、経営層の育成にもっと力を入れていきたい。現在、カンボジアにある多くの企業の管理職はタイ人やベトナム人が占めていますが、過去にアンコールワットまで作ったカンボジア人に才能がないわけではない。経営に必要な知識を学ぶ機会が少ないだけです。

また、中小企業向けの賞を設けたいと考えています。賞は彼らの事業のインセンティブになるほか、銀行からの出資や良いビジネスパートナーの獲得にもつながります。

こうしたことを実現していくため、日本からは今後とも支援をお願いしたいと思います。