【研修レポート】ウズベク・キルギスの現地講師候補者が本邦研修に参加−「もっと質問の時間を!」−

2013年3月5日

ウズベキスタンとキルギスでは、現在、日本センターの現地化に向けたさまざまな取り組みを行っています。その一環として、将来のビジネスコースを担う現地講師の候補である8人の現地経営コンサルタントたちが、2月18日〜3月1日まで日本を訪れ、さまざまな企業や施設などで研修を行いました。

その中でも、来日後まもなく行われた一般財団法人日本科学技術連盟(JUSE)における研修では、特に熱心な質疑応答が行われ、実り豊かな時間となりました。

熱心に聴講する研修生たち

小春日和となった2月20日の朝、JUSEの東京・東高円寺事務所の教室に入ると、8人の研修生たちが事前資料を読んだり、これから行われる研修について会話を交わしていました。JUSEは研修などを通じて、製造業をはじめ日本の多くの企業の生産性向上に貢献してきた団体ですが、現地企業を育成する使命を担う研修生たちは、JUSEの活動に強い関心を抱いているようです。

研修の前半は、JUSEの常務理事・小大塚一郎さんがまずJUSEの活動について説明しました。

JUSEは1946年の設立後、多様なビジネスセミナーを開催してきたほか、QCサークル(注1)の活動支援、TQM(総合的品質管理)に関して優秀な成果を上げている組織を表彰する「デミング賞」の創設など、さまざまな取り組みを行ってきました。小大塚さんは特にセミナー事業に関して「参加者のモチベーション向上のため、自らの会社で問題になっていることを課題のテーマにしてもらうなど工夫をしている」といった話をし、研修生たちは熱心にメモを取っていました。JUSEは「品質改善活動を推進していくと生産性は自ずと向上する」という考えを持っているとのことでした。

ダミール・ムザファーロフさん

ここで、「セミナー講師はどのように選ぶのか」と質問が飛び出しました。質問者はウズベキスタン日本センターのビジネスコース・コーディネーターを務めるダミール・ムザファーロフさん。講師の選抜方法は自らの業務にも関係する事柄です。小大塚氏は、質問に対し「セミナーを特に優秀な成績で修了した人の中から選ぶことも多い」と答えました。ムザファーロフさんはさらに講師の評価などに関する質問を続けて行いました。

ディヤス・ムターロフさん

その後の休憩時間、ウズベキスタン日本センターでビジネスコース講師をを務めるディヤス・ムターロフさんが小大塚さんに「もっと質問の時間を多く取ってほしい」と要望。また、ムターロフさんは消費者団体などの運営にも関わっていますが、こうした非営利組織の運営ノウハウに関しても、小大塚さんに熱心に質問していました。

キルギスの民族衣装の帽子とお礼状を渡すアルマズ・ナスィーロフさん

休憩後、まず小大塚さんが「デミング賞」の歴史などについて簡単に説明すると、キルギスで世界銀行関連プロジェクトの専門家として働いているアルマズ・ナスィーロフさんが「審査の基準は」「受賞企業数は」と質問。さらに、キルギスの事情にも関連して「発展途上国におけるこうしたコンテストでは、順位を上げるため審査員に金を渡したりするが、『デミング賞』ではロビー活動などが必要なのか」と尋ねました。小大塚さんは「そういうことをした企業はすぐに落選する」と断言。そして、「応募組織の事前調査はもちろんのこと、書類審査に加え、現地で活動実態を2〜3日かけて調査し、不正を防ぐようにしている」と話しました。

また、ムターロフさんは続けて「サービス業向けの生産性向上にはどのような活動があるのか」と質問。小大塚さんは「例えば、銀行では窓口でのお客様の行列具合などのデータをとり、改善策を作成したという事例もある」と説明し、「自分がお客様だったらどう感じるかを想像し、改善策を考えていくことが重要」と指摘しました。

そのほかにも多くの質問が相次ぐ中、2時間の研修時間はあっという間に終わりを告げました。最後に、講師を務めた小大塚さんに対し、キルギスの研修生からは現地の民族衣装である帽子、またウズベキスタンの研修生からはティー・コージー(ポットを保温するためのカバー)が贈呈され、和やかな雰囲気の中、研修は終了しました。

研修終了後は全員で写真撮影

なお、キルギスでカイゼンなどに取り組むコンサルタントであるマリーナ・ドゥボヴィコーヴァさんに今回の本邦研修について聞いたところ、「キルギスでは現在、カイゼン(注2)が人気になっているが、日本にはそうした品質向上活動の長い歴史があり、あたかも一種の哲学となっている。われわれはまだ、それを表面的に理解しているにすぎない。今後、もっと日本に学んで行きたい」と意気込みを述べました。今後の彼らの成長に期待がかかっています。

(注1)同じ職場内で、相互啓発を通し品質向上活動を行う小グループ
(注2)工場などの現場作業者が中心になって行う品質向上の活動