【インタビュー】前・キルギス日本センター業務調整員・浜田恵美子さん

2013年7月8日

インタビューを受ける浜田さん

2010年12月から2013年6月までキルギス日本センターの業務調整員を務めた浜田さん。在任中に苦労したスタッフ育成の取り組みなどを振り返ってもらいました。

−日本センターに着任されたのは、日本センターとキルギス民族大学との関係が改善へ向かいだした時期だと思いますが。

私が赴任したのは、井口忠雄前共同所長などの尽力もあり、ちょうど関係が良好になりつつあった時期です(詳細は井口前共同所長インタビューは関連リンクに掲載)。その後、テミール・ジュマカディロフ共同所長の就任などに伴い、日本センター内の業務体制も整ってきたおかげで、日本センター自立化にむけた各事業に集中して取り組むことができました。私は運が良かったと思います。

−在任中に特に力を入れて行った取り組みは。

スタッフの能力強化です。赴任してすぐに気付いたのは、スタッフによって仕事量の差が大きく異なっているほか、「自分の仕事しかやらない」というセクショナリズムが支配的なことでした。

「キルギス理解講座」でプレゼンテーションを行うAijan職員(2013年3月)

彼らにはセンター全体を考えて行動できるようになってほしい。そうした思いから、まず取り組んだのは、業務分担の変更です。私の赴任後、多くの新規事業が始まりましたが、その主担当には、「この仕事は絶対この人に割り振られることはないだろう」とスタッフたちが考えていたような人を、あえて当てました。

例えば、現地の日本語学習者と現地邦人が交流する「日本語で話そう会」という事業を2011年5月から始めましたが、その業務責任者に任命したのは、それまで書類の印刷といったことしか携わったことのない総務の男性でした。彼はおとなしい性格で、人の前に出て仕事をするということがありませんでしたが、2年を経て、現在はミーティングの設定から会合のテーマ決定、スタッフ間の仕事の割り振りもしっかりこなせるようになっています。

「留学フェア」の垂れ幕

また2009年から開始され、2010年は政変のために中止になったものの、2011年秋に再開された留学フェアの運営についても、中心となったのは、図書館司書のおとなしい女性のスタッフです。しかし、彼女のもと、昨年の留学フェアは来場者800人以上を数える大盛況となりました。

−経験の乏しいスタッフたちに責任ある仕事を任せるということで、苦労も多かったのではないでしょうか。

来場者でにぎわう「留学フェア」

最初は「自分でやったほうが早いな」と感じることばかりでしたが、「スタッフの成長のため」とこらえました。時々こらえきれないこともあったのですが(笑)。業務がしっかり進行するために、留学フェア等の大きな行事では、各人の作業の一覧表を作って、誰が何をいつまでにやるのかを目に見える形にし、スタッフ全員に共有できるようにするといった取り組みによって、少しずつ改善してきたと思います。

私の着任当時の日本センターは、赴任前に想像していたほど人の出入りが多く、活気のあるものではありませんでしたが、現在はスタッフ全員の取り組みの成果が日本センターの活気という形で表れているのではないでしょうか。現在スタッフたちは「忙しい忙しい」と言いながらも楽しそうに仕事をしているので、やって良かったと思います。

−日本人との国民性の違いなどから、スタッフ育成に関して苦労された点もあるのでは。

「留学フェア」来場者に丁寧に対応する職員

国民性の違いなのかは分かりませんが、彼らは、こちらが何かを言うと、すぐに「分かりました」と答えます。しかし実際に仕事をやらせてみると、いろいろとほころびが出てきて、やっぱり分かってなかったのか、となることが多々ありました。この点に関しては、今後も改善が必要ですね。

−キルギスという国に対しては、どのような印象を抱きましたか。

キルギスは、年長者を大切にすることに加え、家族や親族のつながりが強く、人間関係の温かさがあります。また、概して日本に良いイメージを持っていることもあり、日本人にとっては、とても住みやすい国だと思います。

ただ、かつての社会主義の影響から、サービスの質は悪いですね。例えばお店に行っても店員がずっと携帯をいじっていて、客を見ようとしないといったことがあります。こうしたサービスの在り方については、まだまだ日本からキルギスに伝えるべき部分があるのではないかと思います。

−現地にとっての日本センターはどのような存在なのでしょうか。

熱心なやり取りが行われている会場の様子

現地の日本センター利用者の方々と接していると、「日本センターに来たら、日本の文化が分かる」「日本語が聞ける」、そして「ビジネスについて学べる」という、三拍子がそろってこそ日本センターなのだとつくづく感じます。

日本センター自体は、現在、自立化に向けてビジネスコースをはじめとする収益事業を特に強化していく段階にあると思いますが、相互理解事業、日本語コースもおろそかにすべきではないのではないでしょうか。

もっとも、収益事業に関しても、スタッフたちには「お金をよりもらえるようにするからには、それに見合ったサービスの向上が必要」と強く言い続けました。彼らもそれを理解し、徐々にサービスに力を入れるようになってきていたので、収益事業の方も今後、さらなる向上が期待できるのではないかと思います。

−今後の日本センターに関しては、どのようにお考えでしょうか。

キルギス人にとっての日本の情報の発信地、日本人にとってのキルギスの情報の発信地であるべきだと思います。特に、日本において、キルギスに関する情報が得られる場所はなかなかないですよね。私の任期中には残念ながらできなかったのですが、今後はホームページでもっとキルギスの最新の情報を発信していけばよいと思います。日本の方にも、ぜひお気軽にキルギス日本センターに連絡し、活用してくれればと思います。