【研修レポート】ベトナム日本センター「経営塾」第4期生が研修のため来日しました!

2013年8月23日

工場の施設を興味津々に見て回る研修生たち

ベトナム日本センターでは、同国の産業界の発展を担う経営者の育成を目的として、主に中小企業の若手経営者や幹部社員などを対象に「経営塾」を2009年から開講しています。ベトナムでの10カ月に及ぶ研修の総仕上げとして、その第4期生27人が、7月下旬から8月上旬にかけて約二週間日本に滞在し、関東と関西のさまざまな企業や施設を見て回りました。

7月24日の午前8時、幡ヶ谷にあるJICA東京に集合した塾生たちは、神奈川県川崎市にある大川工業団地に向かいました。前日の雨の影響で少し涼しくなった曇天の下、活気にあふれる塾生たち。バスの中では彼らが同塾で歌い継がれている「経営塾の歌」を歌い出す一場面も見られました。

工業の街として発展してきた川崎市には、東芝、キヤノン、富士通などをはじめとする大手企業の工場が多く立地し、加えてそうした大手企業を支える優れた技術を持った中小企業も多く集まっています。また、同市の製造業を支える川崎商工会議所は近年、ベトナムとの関係を特に重視をしており、これまでベトナムからの視察団などの受け入れなどを行ってきました。

今回の研修を実施した大川町工業団地は、製造業など63社に上る企業が入る企業集積地です。24日の午前は、この大川町工業団地に工場を構える株式会社日の出製作所と角丸金属有限会社の見学を行いました。

工場で製造している部品について説明する岩さん

日の出製作所は自動車部品の製造などを手掛ける金属加工メーカー。まず同社の概要を説明するため塾生たちの前に立った専務取締役の岩武志さんは、「ここでは皆さんに、よそでは話せない秘密をお伝えします」と述べ、同社を含め日本の製造業関係の中小企業が置かれている厳しい状況と、その中で生き残るために同社がどのような工夫を行っているかを説明してくれました。

ロボット競技会に出しているロボットを操作する日の出製作所社員の方

続いて同社の工場を案内してくれた岩さんは、実際に社員が作業をしている現場を見せつつ、同社が作っている部品や、40年前から使っているという加工用の機械などを紹介。また、同社は川崎市が実施しているロボット競技会に協賛しており、また自社の社員も選手として参加させていますが、社員が自ら作ったロボットを動かして見せると、塾生たちから歓声が上がりました。「こうした取り組みを通して、若者に、私たちのような中小のものづくり企業に関心を持ってもらえるようにしているのと同時に、社員のモチベーション向上も図っている」と岩さん。

角丸金属で製造している部品について語る竹内さん

一方、金属部品の精密加工を手掛ける角丸金属は、ベトナム人スタッフを雇用し、7年前からホーチミンに工場を展開しています。同社代表取締役の竹内三郎さんは、主に金型の試作品などを作っている工場を案内しつつ、少人数の社員で多くの作業をこなすための工夫などについて説明しました。その後、同社のオフィス内で、同社が作っているさまざまな部品を見せながら、日本の中小企業は非常に優れた技術を持ち、日本の産業を支えていることを話し、同社でもかつてスーパーコンピューターの中に使われている部品を作ったことなどを紹介しました。それから、「現在、日本では優れた技術や提案力を持っている高齢の技術者が多くいる反面、少子化で若者が少ない。しかし、ベトナムは戦争の影響などから高齢者が少ないが、若者は多くおり、そして非常に熱意を持っている。今後、日本とベトナムが手を組んでやれば、大きなことができるのではないか」と指摘しました。

なお、竹内さんのお話に、宝石加工などを手掛けるGLジュエリー社の社長チュオン・ティ・ハインさんは「これほどベトナムに関心を持ってくれている日本企業があるのを知り、とても嬉しく思った。ベトナムはまだ小さな国だが、今後ぜひ、日本のパートナーとして、共に発展していけるようになりたい」とコメントしました。

昼食を挟んで、岩さんと竹内さんを囲んで行った質疑応答では、「入社試験を受ける人に対し、必要な資格などの条件は出しているのか」「社員の離職率を下げるためにはどうしたらいいのか」など、さまざまな質問が飛び交い、非常に充実した時間となりました。

岩さんと竹内さんを交えた質疑応答の様子

なお、今回の研修には、昨年ベトナムに滞在し、「経営塾第3期」に聴講生として参加した日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部の大久保文博さんが同行しました。大久保さんは、「ベトナムの今後の経済発展のためには裾野産業の育成が必要だが、製造業の技術向上は一朝一夕ではいかず、地道な努力が必要となる。ただ、ベトナム人は工場で油まみれになるのもいとわず働くなど、現場を大切にする日本人にも通じる仕事観を持っており、将来、良いものづくりのパートナーになれる可能性は高い。『経営塾』のように、毎年一定数の中小企業の経営者を育て、同国の製造業の質の向上を図るのは非常に意義がある。」と指摘しました。

来期以降も続く「経営塾」。今後の発展が期待されます。