カンボジア空港会社シェムリアップ国際空港での5S-KAIZEN研修−カンボジア日本人材開発センター

2013年9月13日

世界遺産アンコールワットと周辺の遺跡群への観光客が利用するシェムリアップ国際空港は、年間利用客が180万人(2011年)を超えるカンボジアの主要な空の玄関です。2013年8月19日と20日の2日間、CJCCは、カンボジア空港会社シェムリアップ国際空港からの要望に応え、5S-KAIZENを導入するための研修を、同空港のマネジャーなど管理職約30名に対して行いました。

まず、7月下旬に同空港から、CJCCに5S-KAIZENの研修を実施してほしいとの打診があり、8月上旬にCJCCの研修部門のマネジャー代理レアックさんとJICA専門家の渡部の2名が先方を訪問し、要望内容をヒアリングしました。先方が抱えている「悩み」は「マネジャー層は優秀だが、スタッフが日常業務の幅を超えて能力を高めようとしない」ことでした。また、ヒアリングの結果、「5S-KAIZENの考え方を用いて、現場で働くスタッフが改善提案を行い、それがスタッフによって実施される活気のある職場を作りたい。また、スタッフを指導する中間管理職に対し、5S-KAIZENを含む優れた日本型のビジネスマネジメントスキルを学ばせたい」ことがニーズと分かりました。

研修を行うCJCCスタッフ、レアックさん

CJCCでは、このニーズをもとに研修目標を「マネジャーが、5S-KAIZENの知識とツールを身につけ、5S-KAIZENをスタッフに指導できるようにする。日本型マネジメントの好事例に学びながら、リーダーシップを高める。5S活動を始めるためのアクションプランをマネジャーがみずから作る」ことに設定しました。そして、研修1日目には(1)5S-KAIZENの基礎知識とサービス業で導入する際の事例紹介、(2)リーダーシップとコミュニケーションを高めるために役立つ日本型マネジメント入門(ワイガヤ、三現主義、OJTの効果的進め方、報連相、PDCAなど)、(3)CJCCが行っている5S活動から得られた教訓、(4)5S活動を進める上で有効なツール(モニタリング用チェックリストなど)に関する講義を行いました。日本でJICAが行った5Sに関する研修に参加した経験があるCJCCスタッフのレアックさんは、CJCCで5S活動のリーダーとして活動に取り組んだ事例を扱う講義を担当した他、5Sの意義を理解するための数字パズルゲームなどを紹介し、研修参加者から「とても実感がわいた」として高く評価されました。

2日目の空港内の現場訪問の様子

また、2日目には、午前中は空港内の「現場」である旅客ターミナルやワークショップ、事務棟などを、通常の担当職務を離れた約5名ずつで構成された6つの混成グループに分かれて訪問しました。1日目に学んだ5Sの視点に基づいて、改善する必要のある場所、すなわち整理整頓ができていなかったり、故障や不具合が生じている場所などの状況写真を撮りました。午後にはこれをもとに各グループが5S活動のアクションプランを作成し、最後には空港トップのエアポートマネジャーの前で各グループから活動計画の発表会を行いました。各講義とワークショップの切れ目では、コミュニケーションとリーダーシップの役割を理解するための「エア・サッカーゲーム」をレアックさんのファシリテートで楽しんだり、優れた日本企業の現場でのKAIZEN活動や現場スタッフによる提案制度を紹介したJICAが日本センター用に作成したビデオ教材も上映しました。

アクションプランを作成する参加者

最初は5S-KAIZENを知っていた人はいませんでしたが、2日間の研修を終えた参加者は、5S活動にどのように取り組むのかについての知識と、職場環境改善活動を通じて現場スタッフのやる気を引き出すという5S活動から得られる意義を、マネジャー層とあって非常に良く理解し、研修の最後に作られたアクションプランは、6グループとも具体的な改善案とスケジュールを示した優れた内容でした。また、普段は空港内でそれぞれ別の職務を担当しているマネジャー同士が協力して5S活動に取り組むために、部門を超えたコミュニケーションを改善する必要を感じたとの声が参加者の間から聞かれました。

シェムリアップ国際空港では、9月から5S活動を現場で働くスタッフへのトレーニングを開始するとともに、職場でのコミュニケーションを促進するための「Y-GAYA Club(ワイガヤクラブ)」というマネジャー同士の話し合いの場を設けることにしたそうです。第1期の5S活動の取組み計画は、エアポートマネジャー(トップ)から2か月間と期限を設定されました。これから2か月後の11月に、同社の5S活動の取組みの進捗をうかがうことが楽しみです。