【研修レポート】ラオス日本センターの研修生たちが本邦研修−「独自性の追求」が競争力向上には大切

2013年9月26日

ラオス日本センターでは、同国の経済グローバル化に対応した優秀なビジネス人材を育成することを目的に、2008年からラオス国立大学経済経営学部と連携し、MBAコースを開設しました。同コースには公務員から企業、援助機関、NGOなど、さまざまな人が参加し、これまで135人に上る卒業生を輩出しています。

熱心に聴講する研修生たち

2013年8月19日〜30日にかけて、同コースの卒業生あるいは現役生から選抜された6人を含む8人の研修生が来日し、関西や東京のさまざまな企業を視察して回りました。

8月23日の午前は、東京の新宿・都庁近くに立地するホテル「パーク ハイアット 東京」で、人材育成やカスタマーサービスに関する研修が実施されました。曇天で蒸し暑くなったこの日、最寄の初台駅から歩いてきた研修生たちは、額に汗を浮かべつつも、これから始まる研修に対して期待あふれる表情でホテルにやって来ました。

「パーク ハイアット 東京」は世界46カ国で500軒以上のホテルなどを経営しているHyatt Hotels Corporationの運営で、19年前に開業しました。研修では、まず同ホテルの人事部トレーニングマネージャー・松村晋祐さんがホテル内のさまざまな施設を案内してくれました。まず、デリカテッセンやライブラリー、最上階のレストランやバーなどを見て回り、それぞれの調度品や部屋のデザインなどを視察。同ホテルは高層ビル「新宿パークタワー」の中の39階から52階までを占めていますが、レストランなどからは東京の街並み、あるいは晴れた日には富士山まで展望できるようになっています。その見晴らしの良さに、研修員たちは歓声を上げ、カメラを取り出しました。

続いてレセプションに行きましたが、松村さんは「当ホテルでは、一人一人のお客様にきめ細やかで心地よいサービスを提供するために、お客様が座ったままリラックスしてチェックインの手続きができるようテーブル席のレセプションを設けています」と説明。加えて「ホテルの入口からここまではかなり距離がありますが、この”Arrival Experience”がご到着されたお客様の非日常感を高めつつ、ホテルの雰囲気もより味わっていただくことができます」など、高い顧客満足度を得るための細やかな工夫についても説明しました。さらに客室に関しては、一つ一つの部屋が展望を大切にして設計されているだけでなく、例えば調度品に桜の木を使ったインテリアを設置し、自然の温もりと日本らしさを醸し出すなど、さまざまな心遣いがあることを教えてくれました。なお英語の堪能な研修員たちは、宿泊料や各施設のデザイン設計の背景などについて、積極的に松村さんに質問を投げ掛けました。

小薮さんに「競争環境の激化が従業員に及ぼした影響は?」と質問する国際連合世界食糧計画(WFP)のルンさん

その後、ホテルの宴会場で、同ホテルの人材育成や経営戦略に関する説明を受けました。まず、パークタワーホテル株式会社・常務取締役経営企画部長の大畑秀文さんが同ホテルの特長と経営環境について説明。「『流行に左右されない、タイムレスなデザイン』を特長として、当ホテルは多くのファンを獲得してきました」と述べつつ、近年は競争環境の激化やリーマンショック、東日本大震災の影響などで、一時は部屋の稼働率が最盛期の半分近くまで落ち込んだ時期もあったともいいます。そうした中で、「顧客視点をより重視したサービスの展開に加え、サービスを担う従業員の資質の向上に注力し、ホテルの業績は回復に向かい、とくに最近はその傾向も顕著である」と、努力が成果に結びついたことを話してくれました。そして、今後こうした競争にさらに打ち勝っていくためには、「パーク ハイアット 東京らしさ」の追求が重要だと大畑さんは強調しました。

「自分もこのホテルの従業員になりたい」と冗談を言いつつ、人事評価制度などについて質問したビジネスコンサルタントのカマンさん

続いて、同ホテル顧問の小薮敏夫さんが、従業員の雇用や育成について語りました。「従業員への教育システムを充実させ、経営側と従業員の関係を良好にすることが、結果的に顧客満足度の向上につながる」と小薮さんは力説。そして従業員のモチベーション向上のために、グッド・プラクティスを行った従業員の表彰や、従業員と経営層との定期的な対話の実施、また3カ月に1度の社員総会など、さまざまな取り組みについて説明しました。研修生たちは熱心にメモを取りながら聞いており、質疑応答では「従業員の教育にはどのくらい予算をかけているのか」「優秀な従業員を継続的に雇い続けるためのコツは」「競合ホテルに対する対策は」など、人材育成のみならず、経営面も含めてさまざまな質問が飛び出し、予定時間をオーバーするほどでした。

研修終了時は、ラオス日本センター(LJI)のイヤさんがラオスのお土産を大畑さんと小薮さんに贈呈

研修後、MBAコース5期生で現在はスイス開発協力機関(SDC)のオフィスマネージャーとして働くヴィエンマニー・チプヴォンサイさんは、「私はMBAコースではマーケティングを学んだが、競争に勝つ優れた企業になるためには、顧客の声に耳を傾けつつ、自らの独自性を追求することが大切だと感じた」と感想を述べました。日本での学びを生かした、今後の彼らのますますの活躍が期待されます。