【研修レポート】カンボジア日本人材開発センターの研修員たちが日本で研修−日本の中小企業との交流会を実施

2013年11月18日

「ポストチャイナ」の有力候補として、製造業を中心に日本企業の進出が相次ぐカンボジア。同国にある「日本センター」、カンボジア日本人材開発センター(CJCC)のビジネスコース受講生など10人が10月21日〜11月2日にかけて来日し、関西の企業などを訪問、生産現場やサービス産業の改善に関わる取り組みの5S・KAIZENなどを学びました。

MOBIOについて質問をする研修員

そのうち10月24日午後は、東大阪市にある「ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)」での研修を受講。同センターの中小企業活性化の取り組みを学んだほか、日本企業との交流会「MOBIO Cafe」に参加しました。

MOBIOは大阪府によって平成22年に創設され、中小企業を対象にビジネスマッチング支援をはじめ、さまざまな活動に取り組んでいます。研修ではまず大阪府商工労働部の課長補佐・小山庸子さんが、大阪の中小企業の状況について説明。「大阪府には繊維や金属加工など多様な分野で活躍する中小企業があり、オンリーワン技術を有しグローバルニッチトップとして活躍する企業も多い」としつつ、「国際競争力の強化や若い人材の確保が現在、問題になっている」と指摘。そのためMOBIOでは、海外販路開拓や貿易実務のアドバイス、日本のものづくり力の維持・育成に関わる支援などに取り組んでいると語りました。

これに対し、研修員の一人で医療機器などを扱うメデックス社取締役のセイ・リービアさんが「MOBIOのような中小企業振興の活動を成功させるための秘訣は」と質問。「こまめに企業訪問をし、中小企業の方々のニーズを知ること」と小山さんは答えました。リービアさんは研修終了後、「MOBIOの活動は素晴らしいが、カンボジアには、これほど充実したサービスを提供している機関がまだないのが残念」と感想を述べていました。

展示物を熱心に見る研修員

その後はMOBIOの常設展示場を見学。ここではビジネスマッチングの機会を増やすことを目的に、中小企業がその技術を生かして作った製品が展示されています。展示品を見ながら、CJCC総務・財務部門マネージャー代理のプン・ソックヘインさんは、「将来はCJCCにもこのような展示スペースを作り、企業の人が交流する場にしていきたい」と抱負を述べました。

夕方には「MOBIO Cafe」が開催。同カフェでは「ものづくり企業の新たな出会いの場の創出」を目的にさまざまなテーマで月に10数回、30人までの少人数でセミナーや交流会が行われています。今回は金融、人材、物流、製造業など、多分野の日本企業から参加者がありました。

日本企業からも多数の参加者があったMOBIO Cafeのセミナー

まずソックヘインさんがCJCCの活動について紹介。現地の経営者育成のほか、特に「日本就職フェア」などのイベントを通して、日本企業とカンボジア人を結びつける役割を担っていることを強調しました。それに対し日本企業側からは、「カンボジア人の英語レベルは」「平均所得はどのくらいなのか」など、相次いで質問がなされました。

その後は軽食を交えての交流会。通訳もいましたが、英語の話せる研修員たちは日本企業からの参加者たちに自ら話しかけ、積極的に交流を図っていました。

MOBIO Cafe交流会の様子

大阪府商工労働部の小山さんに日本企業とのマッチングについて相談していたのは、衣料事業を手がける3シスターズ・カンボジア社取締役のモム・ソーロットさん。彼女は以前、ある日本企業がカンボジアで実施した学校建設事業に参加、その仕事のノウハウなどに感銘を受け、日本のビジネスに関心を抱いたことがきっかけで、CJCCのビジネスコースを受講したと言います。「現在われわれは学校制服を生産し、アセアン地域に広く販売していこうと考えており、日本のビジネスパートナーを探している」と言う彼女に対し、小山さんは「MOBIOでは海外企業のビジネスマッチング相談も受けつけている。具体的にどのような協業に向け、どんな企業とパートナーを組みたいか等、詳細を聞かせてもらえれば支援できる」とアドバイスをしていました。

またサラヤの海外事業部主任・中川広海さんは、「当社は国際協力機構(JICA)やユニセフなどのプログラムを活用してウガンダやカンボジアで保健衛生関係の商品を展開しているが、貧困層だけをターゲットに独自にビジネスを行っていくのはまだ難しい。そのため、中間所得層も含めてのビジネス展開を図っていきたいと考えているが、こうした場に参加することでそのきっかけがつかめたら」と語り、「この交流会のような形で、現地で起業家として活躍するJICA研修員と接点を持つことができ、大きな刺激を受けた」と感想を述べました。

MOBIO Cafe交流会の様子

同じく交流会参加者で人材コンサルタントの若村一章さんは、「私は日本企業によるベトナム人の人材採用を支援しているが、現在、ベトナム人採用は急速に増え、ビザの発給が間に合わないほどになっている。近い将来ベトナムに代わる新たな労働力市場として、地政学的にもインドシナ半島の先進国であるタイとベトナムに挟まれたカンボジアには大きな可能性がある」と指摘しつつ、「今後のアセアンにおける自由貿易協定(FTA)や環太平洋パートナーシップ(TPP)などに関する交渉の行方を見守りながら、カンボジアとの付き合い方を考えていきたい。本日は良いきっかけの場となった」と語りました。

交流会の後、MOBIOの参事・領家誠さんは、「外国の方々との交流会は言葉の関係などでうまくいかないこともあるが、カンボジアの研修員たちは英語が話せる上、自分から名刺交換などを積極的に行っていたので、交流会が盛り上がった」と語りました。こうした取り組みを通して、日本企業とカンボジア企業とのさらなる関係強化が期待されます。