【インタビュー】ウズベキスタン日本センター前共同所長・西脇英隆さん−長期的視点で実り豊かな日・ウズベク関係を

2014年3月7日

インタビューに答える西脇英隆前UJC所長

中央アジア4カ国のほかアフガニスタンとも国境を接し、地下資源も豊富など、政治・経済において重要な国であるウズベキスタン。西脇英隆さんは、2011年2月から3年にわたって、その首都タシケントにあるウズベキスタン日本センターの共同所長を務めました。その経験も踏まえ、日本は今後、「長期的視点」から同国との関係を築いていくことが重要だと語ります。

−在任中に特に注力したことを教えてください

2点あります。1点目は、同国における日本センターの認知度を高めること。2点目は多様なステークホルダーとの関係を強化することです。

ウズベキスタン日本センター設立10周年記念行事で披露された和太鼓の演奏(2011年9月23日-24日実施)

私が着任した2011年は、ウズベキスタン日本センターの設立10周年にあたる節目の年でした。「このチャンスを活用しない手はない」。そう思い、10周年記念イベントを企画しました。同年9月に開催したこのイベントでは、相互理解コースで実施している和太鼓教室の発表会などさまざまな出し物を行ったほか、現地政府の要人などを招いてパーティーを開き、結果的に700人に及ぶ市民が来場する盛大なものとなりました。さらに、その翌年に設立5周年を迎えたブハラ分室でも記念イベントを開催。こちらは来場者数600人以上を数えました。

オープンビジネスフォーラムにて、企業経営者上級研修に参加した研修員ラジズ・アダモフ氏によるプレゼンテーションの様子(2013年11月20に実施)

こうした一般市民向けの取り組みに加え、現地のビジネスマンに対するプレゼンス強化にも力を入れました。日本センターのビジネスコースは、同国における数少ない社会人向けビジネススクールです。ここには、同国の有望企業の幹部などが多く参加しています。こうしたビジネスコースの修了生との交流の促進を目的に、「オープンビジネスフォーラム」を2011年に新たに立ち上げ、以後、毎年開催しています。同フォーラムでは日本人専門家による講演会や交歓会などを行っていますが、ビジネスコース修了生以外の現地ビジネスマンが多数出席し、ビジネス情報交換の重要な場となっています。

−ステークホルダーとの関係強化については、どのような点に力を入れたのでしょうか

センターで働くスタッフの様子

センターで働くスタッフの様子

センターで働くスタッフの様子

特に意識したのは、日本センタースタッフと同国の政府関係者、日本の関係者です。

日本センタースタッフに関して言うと、彼らは全般的に実務能力が高く、指示されたことは着実に実行します。その一方、チームワークが苦手で、自ら考えて動くことが不得手な人が少なからずいました。そのため、部署ごとに毎週ミーティングを実施するようにし、スタッフ間の情報共有を促進したほか、各スタッフとの個別面談を年に一度実施し、彼ら一人ひとりの能力に合わせた個人目標を設定するようにしました。

政府関係者に関しては、同国政府側のカウンターパート機関である対外経済関係・投資・貿易省との関係作りに力を入れました。特に、年1回実施される合同調整委員会には同省の副大臣に必ず出席してもらえるよう、調整に骨を折りました。ウズベキスタン日本センターはもともと、同国の大統領令に基づいて設置されており、免税措置などの恩恵を受けていますが、こうした努力を通して、イベントへの協力などさまざまなコミットメントを得ることができています。

そのほか、JICA事務所や日本大使館などとも、さまざまな事業において密な連携をとるように心がけました。

−そうした活動を通して、日本センターは同国においてどのような存在となっているのでしょうか

日本センターは、同国における日本のシンボルといっても過言ではないと思います。日本と接点を持とうとする同国の人のほとんどは、日本センターを訪問します。また、同国に関心のある日本のビジネスマンの多くも、同国を訪問する際に日本センターを訪れます。

なお、中国の孔子学院やドイツのゲーテ・インスティチュートのように、さまざまな国が、語学教育や文化の発信を行う文化センターを外国に設置していますが、「ビジネス」と「文化」両方を学べるのは日本センターならではの特徴だと思います。そして、それゆえの相乗効果もあります。たとえば日本の経営ノウハウに関心がありビジネスコースを受講している現地の企業人が日本文化に関心を持ち親日家になったり、逆に文化に興味を持って日本センターに足を運ぶようになった人が日本とのビジネスに関心を抱くようになるなど。こうした点も踏まえ、今後とも、「ビジネス」「文化」両方を取り組んでいくことが大切でしょう。

—残念ながら、日本におけるウズベキスタンへの関心は、現在はまだ、それほど高いとは言えないと思います。今後、日本はウズベキスタンとどのように関わっていくべきでしょうか

ウズベキスタンは、中央アジアの中心部に位置する、地政学上の要衝です。そのため、外交面での関係強化について日本はもっと力を入れていくべきだと思います。

同国にはさまざまな規制があるため、外資企業が参入しにくいという事情があります。そのため、同国に関心のある日本企業があっても、実際にビジネスにつなげるのはまだ難しいのが現状です。しかし、同国には豊富な地下資源があるほか、農業も盛んで、教育レベルの高い労働者も多い。将来的に、非常に高いポテンシャルを秘めていると言えます。

こうした同国との関係を考える上で大切なのは、長期的視点です。現在ブームとなっているミャンマーのように、状況が変化すれば、同国は一気に経済発展が加速する可能性もあります。そして、現地とのパイプ作りは一朝一夕にはいきません。なかなか形にはなりませんが、ウズベキスタンがある中央アジアに興味を持つ日本の企業は多く、日本センターにも多くの方が訪れました。今まで培ったネットワークを活用し、日本の企業の方には積極的に現地の企業を紹介しました。こういった観点からも、日本センターは、現地に拠点を持つ強みを生かし、今後も地道に現地の人脈作りを行っていくべきでしょう。

なお、ウズベキスタン人には、アニメをはじめとする日本のポップカルチャーが好きな若者も多く、親日的な感情を抱いている人も多くいます。日本側の努力で、さらに関係を発展させる余地は大いにあるでしょう。