【インタビュー】中小企業の視点に立った支援を期待−日本人材開発センターのサービス利用者の声を聞きました

2014年7月3日

森山工業 代表取締役 森山和真さん

ミャンマー日本人材開発センター(MJC)は現在、ミャンマーに関心を持つ日本の企業人との交流に力を入れて取り組んでいます。2014年1月27日、MJCは宮崎県工業会と共同で日本企業6社、ミャンマー企業20社が参加する交流会を開催しました。その参加企業の一つである森山工業株式会社の森山和真代表取締役に、同社の海外戦略などを聞きました。

−貴社の事業内容を教えてください。

チタンやニッケルなどの特殊金属を溶接・加工する高い技術力を持つ森山工業株式会社

当社は、チタンやニッケルなどの特殊金属を溶接・加工する高い技術力を持っています。それを生かし多様な製品を手掛けており、特に化学製品の原料となる苛性ソーダなどを生産するプラントの受託製造では高いシェアを誇っています。

発注元である商社や大手メーカーを通して、当社製のプラントは世界各地の工場に納入されており、1970年代以降は、そのメンテナンスのため社員を海外に派遣する機会も多くありました。当初は欧米が多かったのですが、世界の工業生産の中心が中国などに移るにつれ、近年はアジアに行く機会も増えてきています。

−人口減少により、日本国内の市場縮小が危惧される中、新興国・開発途上国の市場開拓に乗り出す中小企業も増えています。貴社の海外戦略は?

これまでのような、商社などからの発注に対応した受託製造だけではなく、当社自身が独自に営業して海外、特にアジアのニーズを拾い上げていく必要を痛切に感じています。アジアの中でも、中国やベトナムはすでに多くの企業が進出しており、競争も激しくなっていますが、ミャンマー、ラオス、カンボジアなどの新興メコン諸国は参入の余地が大きいと考えています。特にミャンマーは、国内の人口の多さだけでなく、地理的に中国やインドに近いことからアジアを広くカバーする営業拠点になりうる場所として、注目しています。

−1月の交流会は、森山さんを含む宮崎県工業会に所属する若手経営者たちの働き掛けがきっかけとなって、開催されたと聞きました。

議事進行を行うミオ・テットMJC所長

私を含め、宮崎県工業会にはミャンマーに強い関心を抱いている若手経営者たちが多くいます。私たちは、かねてから何らかの形で現地との関係作りをできないか考えていましたが、そんな中、JICA九州で地域国際協力アドバイザーを務めている富山隆志さんを通じて、MJCの存在を知りました。

日本センターが実施している現地のビジネス人材育成などの活動を耳にし、「MJCを通して、現地企業人との交流イベントができるのでは」と、富山さんを通してMJCに打診したところ、センター側も積極的に対応してくれ、結果的に、現地から20社もの企業が参加する交流会を開くことができました。

−交流会では、他の日本企業の経営者たちと一緒に、ミャンマーと宮崎をつなぐ架け橋となる人材の育成を提案していますね。

熱心に日本企業に質問するミャンマー人参加者

中小企業が海外展開しようとする時、一番ネックとなるのは、資金不足に加え、現地の事情に通じた人材がいないことです。

そうした問題を乗り越えるため、私たちはミャンマーの企業人たちに対し、両国の企業間の信頼関係を築くとともに、両者をつなぐ人材を育成することを提案しました。

具体的には、ミャンマーの若手人材を宮崎県工業会に所属する企業に一定期間受け入れ、われわれの有する技術を教えつつ、彼らが帰国した後は宮崎とミャンマーの企業が共同でビジネスに取り組む際の橋渡しになってもらおうというものです。ミャンマーの製造業関係の中小企業の多くに、技術者を育てたいというニーズがあることを聞いていたので、ウィンウィンの関係が築けると思いました。実際、彼らは私たちの提案にとても真剣に耳を傾けてくれ、「これから一緒にできそうだ」という手応えを感じました。受け入れ時期や人数などについては、現在、JICAやMJCの協力も得ながら詰めているところです。

−日本センターに対する印象や、ご要望をお聞かせください。

中小企業には、資金や人材不足など、大企業とは異なる問題が多くあります。

私たちはMJCに何度か現地進出に関する相談をしましたが、中小企業特有の問題もしっかりと踏まえつつ的確なアドバイスをしてくれました。今回に関しても、MJCの協力なしでは現地企業が20社も参加する交流会は実現できなかったと思います。その熱意ある協力に、感謝しています。

今後はホームページの更新の頻度を高めたり、ニュースレターを配信するなど、現地事情に関する情報発信をさらに強化していっていただけるとありがたいですね。

中小企業が海外に出て行くのは、大きなリスクが伴います。しかし、それを踏まえても海外に進出しなければならないのが現状だと思います。そうした中、日本センターのサービスも積極的に活用しつつ、海外展開のさらなる強化を図っていきたいと思います。