【インタビュー】川崎市の企業とラオスの関係強化を−日本人材開発センターのサービス利用者に聞きました

2014年8月8日

専務理事 小泉幸洋さん(右)
事務局長 岩井新一さん(左)

京浜工業地帯の中心に位置し、大手から中小まで多様な企業が参加する川崎商工会議所。2012年にラオス商工会議所と覚書を交わし、現地にミッションを派遣するなど現在、積極的にラオスとの関係強化を図っています。同会議所の小泉幸洋専務理事と岩井新一事務局長に、今後の取り組みや日本センターへの要望を聞きました。

−川崎商工会議所の海外戦略の中で、ラオスはどのような位置付けなのでしょうか。

小泉さん:ラオスをはじめ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーを含むメコン地域は、中国やタイの次に経済発展が見込まれる地域として期待されています。
ラオス自体は小さな国ですが、メコン地域の中心に位置しているため、メコン進出の拠点と成り得る国として注目しています。2012年に実施したミッションで、私たちは現地のバイク工場を訪問しましたが、タイで製造された部品がラオスに運ばれ、組み立てられていることが印象的でした。2015年にASEAN経済共同体が形成されれば、ラオスと他のASEANの国々との経済的な関係はますます強まるでしょう。

2012年4月に行われた川崎商工会議所とラオス商工会議所の協力協定の締結キサナ・ヴォンサイ会長(左)と山田長満会頭

岩井さん:川崎商工会議所では、2008年に神奈川新聞と共同でベトナムにミッションを派遣して以来、メコンの国々と関係を強化してきました。
ラオスに対しては、2012年4月にソムサワート・レンサワット副首相やラオス商工会議所のキサナ・ヴォンサイ会頭並びに会員企業を川崎に招聘し、互いに貿易や投資などを促進することを目指し、ラオス商工会議所と覚書を締結しました。
同年11月には、こちらから当会議所の役員・議員や市内の企業、大学関係者など53人から成るミッションを派遣しました。このとき、ラオス日本センターにも訪問し、施設のご紹介並びに現地のビジネス環境に関するセミナーを開催していただいています。その後、2013年9月にも、8人と小規模ですが、現地調査に行きました。

−視察などを通してラオスから受けた印象は。

小泉さん:ラオスの人々は親日的で、今後の連携への期待が高まりましたが、一方で多くの課題も垣間見えました。
まず、製品加工業が発展していないことが挙げられます。例えば、現地には豊かな森林資源がありますが、多くの場合、木材は原料のまま安値で輸出されています。加工すれば、付加価値が付き、現地により多くの富をもらすことができますが、彼らにはそのための技術がありません。
これに関しては、現地も危機感を抱いており、現在、当会議所に所属するパルプ材加工の会社が、現地の企業と連携を模索しています。このような連携を通じ、日本側・ラオス側双方においてウィンウィンの関係を築いていけたらと考えています。

2012年11月に実施されたラオス・カンボジア経済ミッションでは日本センターを訪問

岩井さん:また、ラオスは亜熱帯に属し、豊かな農地があるため、食料に困ることがあまりない。そのためか、人々はどちらかというと勤労に対して消極的な傾向があるように感じます。こうした人々の意識を変えることも重要ですが、特に現地への進出を目指す日本企業にとって喫緊の課題となるのは、こうした現地の労働者についてよく理解し、マネジメントできる中間管理職を確保することです。ここは、日本センターのビジネス人材育成に期待したいところです。
なお、当会議所に参加している年配の経営者たちの多くには、「私たちが日本の発展を支えてきた」という自負があります。彼らには、現在のラオスの状況は自らの若いころに重なって見えるようです。彼らのラオスを支援しようとする姿勢を見ていると、現地の市場開拓だけではなく、純粋に「現地に役立ちたい」という気持ちもあるように見受けられます。

−日本センターに対して、どのような支援を望みますか。

2012年のミッションでは、現地の工場なども視察した

岩井さん:日本センターは、現地のビジネス環境や商習慣に関する深い知見と、現地企業人などとの広いネットワークを持っています。例えば、われわれのような経済団体が現地に視察に行こうとすると、現在は旅行会社を中心にコーディネートを頼らざるを得ない状況です。これを、日本センターが現地の政府関係者や企業人との面談をアレンジするなど協力してくれれば、ミッションも更に充実し、日本企業ももっと開発途上国に出て行きやすくなるでしょう。
なお、JICAには現地の法整備の支援を進めてほしいと考えています。ラオスを含めメコン地域では、ビジネスに関する法制度が十分に整っていないため、進出した日本企業が不正なわいろを要求されるといった事態も発生しているようです。企業が安心して事業に打ち込むためには、商売の公平性を担保してくれる法律が欠かせません。

−今後の展望を教えてください。

小泉さん:われわれはASEANの東西経済回廊におけるビジネスの可能性を調べるため、専修大学と連携し、今年の9月には、ラオスのサバナケット及びベトナムのダナンを訪問し、現地に進出している日系の製造業や物流企業の実態や課題を調査する予定です。こうした取り組みを含めて、メコン地域への企業進出の橋渡しに努めていきたいと考えています。
その際、市場開拓はもちろんですが、われわれとしては現地の発展にも役に立ちたいと考えています。例えば、現地の企業会計実務能力の育成に関して協力できることがないか検討しています。こうした点についても今後、日本センターとも連携を進めていければと考えています。