【インタビュー】工業団地で出張講座を開催−ベトナム日本人材協力センター(ホーチミン)のサービス利用者の声を聞きました

2014年10月10日

「経営塾」をはじめ、産業人材の育成に関して多様な取り組みを展開しているベトナム日本人材開発センター(VJCC)。その一つが、特定の企業からの要請に基づき出張講座を開催する「カスタマイズコース」です。

今年6月、VJCCはホーチミン近郊にあるベトナム・シンガポール工業団地において、生産性向上に関するカスタマイズコースを実施し、日系企業で働くベトナム人社員などがのべ100人参加しました。同工業団地の運営を行うベトナム・シンガポール工業団地のカスタマーサービス部・渡辺ちひろアシスタントマネジャーに、カスタマイズコースの狙いや成果を聞きました。

−貴社の概要を教えてください。

「新QC7つ道具の活用」講義の様子1)

ベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)は、シンガポールの政府系企業Sembcorp社とベトナムの政府系企業Becamex社が合弁会社を設立する形で、1996年、ホーチミン中心部から北に17キロメートル離れたビンズン省南部に建設されました。

現在、総テナント数は490社、そのうち日系企業数は122社(2014年9月現在)が入居しています。総テナント数、日系企業数ともに、ベトナムで最大の工業団地です。製造業では、キユーピー株式会社やロート製薬株式会社、日東電工株式会社など、多様な分野の企業が工場を出しています。さらに、工業団地内で働く労働者のために設置された住宅・商業用地には、イオン株式会社が今年11月にショッピングモールをオープンするほか、日本食レストランが誘致されるなど、住み心地の良い街づくりも進んでいます。

−今回は、どのような経緯でカスタマイズコースを実施されたのでしょうか。

「新QC7つ道具の活用」講義の様子2)

今回のカスタマイズコースに参加したのは主に、入居している日系企業で生産・管理部門の中間管理職を務めているベトナム人社員です。

ベトナムにはすでに多くの日系企業が進出しています。しかし、職場の整理・整頓などを進める「5S」、報告・連絡・相談を適宜実施する「報連相」といった、日本の製造業ならではの強みと言えるノウハウはまだ、現地の労働者に浸透しているとはいえません。また、それらを先頭に立って取り組む現地の中間管理職が不足しているのも、悩みの種です。

こうした生産性向上のノウハウを教えるビジネス研修は、ホーチミン市内では数多く開催されていますが、郊外で実施してくれる事業者はほとんどいません。また、社員に経費を出し、市内の研修に参加させるのも難しい。そうした中、VJCCから出張講座をやっていただけるという話を頂き、当工業団地に入居されている日系企業のニーズに応える上でも、渡りに船だと思いました。実施に当たっては、VJCCと当社で事前に打ち合わせを行い、研修内容を詰めていきました。

−具体的には、どのような研修を実施されたのでしょうか。

「新QC7つ道具の活用」講義の様子3)

「新QC7つ道具の活用」、「ものづくりロスZeroへのアプローチ」という二つのコースを実施しました。

「新QC7つ道具」では、単に製造工程だけでなく、営業企画を立てたり製品を設計したりする段階から業務効率や質を改善するために使える思考フレームと、その具体的事例について講義していただきました。

また、特に製造業の管理職が参加した「ものづくりロスZeroへのアプローチ」では、製造現場で発生する不良品の減らし方について講師に語ってもらい、終了後は参加者とディスカッションを行いました。

どちらのコースに関しても、「このような研修を定期的に開催してほしい」という希望が出るなど、高い評価をいただくことができました。

一方、今回は日本人の講師に担当していただきましたが、日本語からベトナム語への通訳を挟むため、コースが長時間になり勝ちな反面、具体的な事例紹介の数が少なかったといった声も上がりました。今後は、例えば資料の内容を変更するなど、こうした意見に対応していくことで、さらなる満足度の向上が見込めると思います。

−今後の展望についてお聞かせください。

今回のカスタマイズコースを実施したビンズン省の工業団地のほか、当社では現在、北部のバクニン省やハイフォン、中部のクワンガイ省でも工業団地を展開しています。これらの工業団地でも、さらに多くの日系企業に活用していただけるようサービスを充実していきたいと考えています。そのため、今後も引き続きVJCCと連携を取りつつ、日系企業のニーズの把握や研修の企画を行い、共に発展していければと思います。