【インタービュー】ラオス日本センター 前プロジェクト・コーディネーター 三好陽さん−タイとの関係生かし自立性を高める

2014年10月22日

インタビューを受ける三好さん

豊かな森林や水、鉱物資源に恵まれたラオス。一方、労働人口が少ない、内陸国で物流事情が悪いといった理由から、外資系企業の誘致や産業開発は十分に進んでいません。

そうした状況を打破すべく、ラオス日本センター(LJI)では、さまざまな取り組みを行っています。2009年3月から2014年9月にかけて相互理解コースの専門家とビジネスコースのプロジェクト・コーディネーターを務めた三好陽さんに、LJIの取り組みの特徴や、今後の展望を聞きました。

−LJIでは、現在、どのような取り組みに注力しているのでしょうか。

バンコク出張にて

LJIの最大の課題は、経営の自立性を高めることです。そのためにまず取り組んでいるのが、収益事業の創出です。

残念ながら、現時点でラオスへの日系企業の進出数は決して多くありません。そのため、日系企業などのクライアントを独自に開拓するのが難しい。しかし、ASEAN域内に目を向けてみると、実はラオスには、隣国タイから日系企業を含めて多くの投資が入っています。

歴史的に両国は同じ文化を有しており、タイ語とラオス語は良く似ています。タイ人がラオスに進出するのはもちろん、タイに出稼ぎに行くラオス人も多く、両国は経済的なつながりも強い。この点に着目し、LJIでは近年、タイとの関係作りに注力しています。

−タイに関しては、具体的にどんな事業を実施しているのでしょうか。

まず、バンコクにある泰日経済技術振興協会(TPA)や泰日工業大学、カセサート大学のMBAプログラムと交流協定を結び、LJIのMBAプログラムで学んでいる学生をスタディツアーに派遣することを通して、定期的な交流を行っています。

さらに、2014年には、チュラロンコン大学にあるサシン経営大学院のサシン日本センターとも交流協定を結びました。サシン日本センターは、バンコクの日系企業に対してコンサルティングを行っているため、今後バンコクの日系企業がラオスへの投資を検討する際にこの連携が活きてくるのではないかと思います。

なお、これらタイの教育機関との連携は、スタディツアーだけに留まりません。例えば、TPAの出版物をLJIが出版したり、提携大学からインターンを受入れるほか、国際フォーラムを開催するなど、LJIでは積極的に事業の幅を広げており、書籍販売やフォーラムでの施設利用などはLJIの収入向上にもつながっています。

これ以外にも、日本人の専門家が講師を務めていたLJIのビジネスコースに積極的にタイ人の専門家を登用し、タイ語での授業を行うことでラオス人の参加者が参加しやすいようにするといった試みも行いました。

また、LJIでは全体の運営資金のうちJICAの支援を20%以下に抑えるという目標を掲げています。そのため、プロジェクトにて負担していた費用をLJI側に支出してもらえるように働きかけると同時に前述のような収入向上への取り組みも行いました。

また、節電やカラーコピーの利用を減らすなど、細かい点でのコストカットにも努めています。

−センターの自立性を高めるには、現地スタッフが日本人スタッフに依存しすぎず、主体的に運営に関わることも大切です。

ラオス日本センターのスタッフ

私が特に意識したのが、スタッフ同士の連携と、スタッフの自発性の強化です。

例えば、私が担当した総務部門においては以前、主任と副主任が部下の業務内容をちゃんと把握できていないことも多々見受けられました。そのため、定期ミーティングを開催するほか、ホワイトボードを活用してそれぞれが現在取り組んでいる業務を共有し、円滑に連携できるようにしました。

また、何か問題が起きたときには、「何が原因なのか」「どうすれば良いか」をスタッフ自身に考えさせ、「このようにやれ」といった指示は極力少なくするよう心掛けました。

こうした取り組みを通して、多くの場面で彼らの自発性が感じられるようになったと思います。

例えば、LJIの施設レンタルや日本の団体からの要請で行うイベントに関しては、以前は日本人スタッフがクライアント対応の窓口となり、現地スタッフは裏方の事務だけやっていました。それが現在は、クライアント対応を含めた業務全般を現地スタッフでこなせるようになり、日本人スタッフは進捗状況を管理するだけで大丈夫になりました。

ラオス日本センターの建物内

先述のタへのスタディツアーに関しても、先方との交流協定を結ぶときなどはもちろん私たち日本人スタッフが関与しましたが、現在は運営の大部分を現地スタッフが担っています。

そのほか、整理・整頓などを通して職場環境を改善する「5S」活動をLJIスタッフが積極的に行ったり、来客がLJIを活用しやすいよう、ロビーに館内地図を掲示したり、ロビーの大型テレビをコンピューターとつなぎ案内板として利用するなど、彼ら自身が考え、積極的にLJIの改善に取り組んでいます。

なお、LJIのスタッフはラオス国立大学に所属する公務員が大半を占めており、転職者が少ないのも、こうした改善を進める上での大きなアドバンテージとなっていると思います。

−ラオスの発展のため、LJIは今後、どのような役割を果たしていけばよいでしょうか。

ベトナムやタイに比べ、ラオスにビジネス進出したいと考えている日系企業を支援できる民間コンサルタントがほとんどいません。そのため、いざ進出しようと思っても、どこで情報収集すればよいのか分からないといったことをよく聞きます。LJIには日本とラオスを結ぶ拠点的な意味合いもありますので、こうした点をLJIが支援することが大切です。もっとも、2014年にJETROも事務所を出したので、彼らとの役割分担や、どう連携するかも検討していくべきでしょう。

なお、今後メコン諸国は投資先として、ますます注目されていくことと思います。メコン諸国には各国に日本センターがありますので、日本センター間の連携を密にして、メコン諸国の日本センターネットワークを強化していくことも重要だと思います。ラオスは地理的にメコン諸国の中心部に位置することもあり、先述のタイに加えカンボジア、ベトナム、ミャンマーなどをつなぐ役割を積極的に担っていくことが、ラオス、そしてLJIの今後の発展のカギとなると思います。