【インタビュー】ミャンマー日本センター 前業務調整員・玉垣謙一さん−センター設立に一から関わる

2014年11月17日

インタビューに答える玉垣さん

2013年8月に開設されたミャンマー日本センター(MJC)。「ビジネスプラン」「人材管理」などに関する研修を実施しているビジネスコースには、定員の倍以上の応募者が殺到するなど、現地から熱い注目を集めています。MJC開設に準備段階から関わり、2013年10月から14年10月にかけて業務調整員として現地の運営に尽力した玉垣謙一さんに、MJCの現状や、今後の展望などを聞きました。

−MJCを一から立ち上げ、運営していくにあたり、玉垣さんはどのような業務に携わられたのでしょうか。

プロジャクトスタッフと

私が担当したのは、主にスタッフの確保や備品の調達、財務管理に加え、外部の関係団体との調整です。

スタッフに関しては、現在、日本人スタッフ2人に加え、直接雇用のほか派遣の現地スタッフ10数人で切り盛りしています。MJCにとって幸運だったのは、現在ビジネスコースのマネージャーを務めているタン・タン・アウンさんという優れた人材を獲得できたことです。彼女は日本に合計17年間滞在し、名古屋大学で博士号も取得した日本通。日本語はもちろんのこと、日本人の仕事の進め方もよく理解しており、現地スタッフとわれわれ日本人スタッフの間をうまく調整してくれました。

現地スタッフたちは、はじめは業務の作業手順などをわれわれが指示をしなければなりませんでしたが、この1年間で見違えるほど自発的に動けるようになりました。これは勤勉なミャンマー人の特性に加え、彼女の功績も大きいと思います。

一方、施設内の備品をそろえるのは、予想以上に手間がかかりました。というのも、製造業も小売業も十分に発展していない同国では、パソコンや、こちらの望むような規格の机・椅子などを国内で入手できないことも多く、シンガポールから取り寄せなければならなかったためです。改めて、同国の産業開発が大切だと肌身で感じました。

−外部の関係団体との調整に関しては、どのような活動をされたのでしょうか。

ミャンマー商業省やミャンマー商工会議所連盟(UMFCCI)、ヤンゴン日本商工会議所など現地の関連団体に対しては、定期的にMJCに関する広報を行ったほか、先方の要望聴取を行い、ビジネスコースの研修内容に反映するようにしました。また、日本経済団体連合会(経団連)とも良好な関係が築けるよう、MJC職員や受講生との交流会などをアレンジしました。

こうした中、特に経団連とのパイプはどんどん太くなってきています。まず、2014年3月、経団連がMJCの研修生に奨学金を出してくれることが決まりました。これは、ビジネスコースの受講料とほぼ同額の資金を成績優秀者に提供し、継続的な受講を支援するものです。また、私の帰国後ですが、この10月末には、受講生の中から選抜された14人が経団連の支援の下で日本に訪問したほか、経団連の冠講座も実施されました。

−MJCのビジネスコースは大変な人気だと聞いていますが、どのような点が現地のビジネス人材にとって魅力的なのでしょうか。

プロジャクト合同調整会議の様子

実践的なビジネススキルを身に付けられる点です。同国では、例えば大学で経営学を学ぶことができます。しかし、その内容は経営理論が中心で、実践で生かせるノウハウを学べる場所はほとんどありません。

また、同国は、文化的な背景もあり、一般的に若手人材は年長者の指示がなければ動かない傾向が強くあります。しかし、企業を強くするためには、自らの頭で考え、自発的に動ける人材が多く必要。そのため、MJCでは単に講義をするのではなく、グループワークや受講生によるプレゼンテーションを積極的に取り入れ、彼ら一人ひとりが自分で考え、発信する力を鍛えることを目指しています。

なお、ビジネスコースの受講を希望する人は非常に多く、なかなかニーズに対応し切れていないのが現状です。そのため、MJCでは現在、例えば日本人講師の通訳を務めている現地スタッフを今後は講師として育成するなど、講師の数を増やす方向で進めています。

−MJCの今後の展望について、ご意見を教えて下さい。

ミャンマーは「アジア最後のフロンティア」と呼ばれていますが、多少、過大な期待がかかっているきらいがあると思います。大きなポテンシャルがあるのはもちろんですが、インフラ整備や人材育成はまだ端緒についたばかりです。

人材に関して言うと、前述したような自発性の問題も含めてですが、ミャンマー人が持つ常識自体を変えていかなければ、国際標準のものづくりやサービスはできません。例えば、彼らは一般的に製品の品質を一定に保つといった意識が弱いと思います。極端に言うと、ビール工場でビールを作る際、各ビンに入っている分量にばらつきがあっても気にしない、というような傾向がありますが、彼らはこれまでずっとそうした形で仕事をしてきたので、それが当たり前になってしまっているのです。

こうした彼らの常識を変えるのは、外国人としての視点を持つMJCならではの仕事だと思います。MJCには、今後もさらなる発展を遂げ、ミャンマーのニーズに応えていってほしいと思います。