【研修レポート】日本企業の心構えを学ぶ−ミャンマー日本センターの研修員が初めての本邦研修に参加

2014年12月26日

閉講式の様子

延岡鉄工団地見学。研修員からは工場の技術や経営に対して多くの質問が寄せられました。

研修員のリーダーを務めたトゥン・リインさん

発表をするタン・タン・アウンさん

延岡市でのビジネス交流会で自社企業の説明をする研修員。東京・大阪・宮崎でそれぞれ交流会を実施した結果1件契約が成立し、実際のビジネスが始まりました。

延岡・ミャンマー友好会主催の歓迎会で、マスコットキャラクター“チキンな番長”との記念撮影

多くの日本企業から熱い注目を集めるミャンマー。日本経済団体連合会(経団連)は、同国の産業人材の育成を支援するため、2014年3月、ミャンマー日本人材開発センター(MJC)のビジネスコース成績優秀者に対する奨学金制度を設立しました。MJCでは、同奨学金の授与対象者の中でも特に優秀な研修員により見識を広めてもらうため、日本に派遣して研修を実施することを決めました。

日本研修に選抜された15人の研修員は、10月19日に首都ヤンゴンを発ち、成田空港に降り立った後、まずは関西に移動し、大阪で関西経済連合会や関西企業との交流会を実施しました。その後、宮崎県延岡市で、発電所や農場、中小企業の製造現場などを視察したほか、宮崎大学や延岡工業高校にも訪問。さらに、東京で経団連関連の企業の方々との意見交換会も行いました。

風が肌寒く感じられるようになった10月31日の昼過ぎ、東京・千代田区にあるJICA本部の一室の扉を開けると、熱気とともに研修員が活発に議論を交わす様子が目に飛び込んできました。そう、この日は日本での研修の最後を飾る成果発表会。各人が日本滞在中に学んだことについてプレゼンテーションを行います。今回の研修のコーディネーターを務めたパナソニックエクセルインターナショナル株式会社の森みさ子さんは、「皆さん、昨日はほぼ寝ないで発表の準備をしたようです」と苦笑します。

成果発表会では、まず研修員のうち最年長で、ゴム製造業の工場長を務めるトゥン・リインさんが、今回の研修で訪問した多様な企業において、経営者や社員が自信を持って仕事に向かっていた姿を振り返りつつ、「常に経営を改善し、技術革新を進めていく日本企業の力の源にあるのは、オープンマインドをもって不断に自らの仕事を改善していこうとする一人ひとりの心構えにあると知った」と語りました。さらに、「私の工場では、日本の専門家の協力を得て、すでに職場環境の改善に取り組む「5S」や、生産効率を向上させる「カイゼン」活動を導入したが、この研修を通して、日本企業の持続的な成長の背景には、そうした活動に対する経営者や社員の主体的な取り組みがあることに気付いた」と指摘しました。

また、今回の引率責任者でもあるMJCビジネスコースのマネジャー、タン・タン・アウンさんは、今回見学した松下幸之助歴史館などに言及しつつ、「『ものをつくる前にまず人をつくる』という松下幸之助の言葉に代表される経営哲学や、『おもてなし』などの文化が、日本のビジネスの力の源なのではないか」と指摘。さらに、宮崎大学を見学した際に知った、大学と企業の連携によるR&Dの取り組みについて、「こうした産官学の連携を、ミャンマーでも促進したい」と語りました。
また、関西滞在中に参加した「ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)」が実施する中小企業の交流会「MOBIO Café」についても、「安い費用で、参加者が密に交流ができるのが印象的だった。今後、ぜひMJCでも同様の取り組みを行いたい」と語りました。

そのほか、お茶類の小売業に取り組むイェ・トゥ・ミンさんが、「環境に配慮し、間伐材などを利用した木質バイオマスを活用する延岡の発電所を視察して、最新の技術を導入するには、それを使う人の方も新しい考え方を持たなければならないと感じた」と語ったり、食品関連企業で管理職を務めるトゥン・トゥン・ワインさんが「ホームステイや中学、高校、大学への訪問などを通して、日本の産業の強みを支える日本の文化や教育システムについて知ることができたのが良かった」と述べるなど、各研修員からもさまざまな発表がありました。

発表会の後、ファシリテーターを務めたパナソニックエクセルインターナショナルの関忠夫さんは、「皆さんが今回の研修で多くのものを得て、それをミャンマーに持ち帰って実行しようとしている姿勢は素晴らしいと思う。“Think globally, act locally.”大きなことを考えながら、身の回りから着実にアクションを起こしていってほしい」と彼らを激励しました。

最後に、今回の研修工程を振り返る評価会が実施されました。ここでは、「ホームステイ先の家族と過ごす時間をもっと増やしたり、一つ一つの訪問先での滞在時間を長くしたほうが、より充実した研修となるのでは」など、今後のさらに実りある本邦研修を実施するための、さまざまな意見が交わされました。

なお、2013年8月に設立されたばかりのMJCにとって、今回は初めての本邦研修でしたが、延岡市で1週間の長期にわたるホームステイを実施するなど、新しい試みが行われた画期的な研修となりました。参加した研修員たちが日本から持ち帰った経験が、今後のミャンマーのさらなる発展につながることが期待されます。

ミャンマー日本人材開発センター 研修員の声を聞きました!

2013年12月に始まったミャンマー日本人材開発センター(MJC)のビジネスコースは、現在、募集枠の倍にも上る受講希望者が殺到する人気ぶりとなっています。そうした中、厳しい選考を経てMJCで学んでいる研修員たちは、まさに同国の未来を背負って立つ人材と言えます。

ここでは、2014年10月19日〜11月1日に実施された日本研修に参加した二人の研修員に、MJCの魅力や、日本での研修から受けた印象を聞きました。

ナン・ネィ・ヌェ・ポーン・ミャンさん

延岡市のホームステイ先での一コマ。初めて着る日本の着物はミャンマーの女性にも大好評でした

医薬品関連企業 マーケティング担当
ナン・ネィ・ヌェ・ポーン・ミャンさん

私の会社では、医薬品の卸売に加え、ミャンマーで伝統的に使われている漢方薬の製造や、販売促進にも取り組んでいます。

MJCのビジネスコースは、2013年12月に「品質・生産管理」や「マーケティング」コースに参加しました。もともと日本は世界の中でも特に発展している国の一つという印象を抱いていました。そんな中、多くの日本人講師が直接教鞭を取るMJCが設立されると聞き、「ここで学べば多くの経験や知識を得ることができるのではないか」と思い、受講を決意しました。実際に授業に参加してみると、多様な知見を得られただけでなく、それをどのように自らの業務に応用すればよいかも分かりました。

今回の日本での研修で特に深く印象に残ったのは、宮崎県延岡市で実施されたホームステイ・プログラムです。1週間にわたり一般の家庭に滞在させていただいたこのプログラムのおかげで、私は日本の「お父さん」「お母さん」を持つことができました。ただ、彼らとはもう少し時間をかけて深い関係を築くことができれば、と心残りを感じました。そのため、今後、もう一度必ず日本に行こうと思います。

今回の日本研修の経験、そしてMJCで学んだことを生かし、まず自分自身の力をもっと高めていきたいです。その上で、日本で得た知識を、自分のコミュニティーや会社の同僚と、そしてできれば国家レベルで共有していければと考えています。たとえ小規模であっても、日本とミャンマーの協力関係を深めるために、私が役に立てればとても嬉しいです。

イェ・トゥ・ミンさん

日本の文化視察として宮崎県の名勝「高千穂峡」を訪問しました。

茶類の製造・販売関連企業 社長
イェ・トゥ・ミンさん

私の家族は40年以上、オーガニックの紅茶とコーヒーを販売する会社を経営しており、私は現在、社長を務めています。

以前から日本の経営手法に強い関心を抱いており、2013年12月、MJCのビジネスコースの「マーケティング」「ビジネスプラン」に参加しました。授業に参加する中で、教壇に立つ日本人講師がとても経験豊かな上、段階的に分かりやすく学べるカリキュラムが組まれており、さらに運営するMJCスタッフもコースを良くしようという熱意に溢れていることに、とても好印象を持ちました。

今回の日本での研修では、宮崎県延岡市の旭化成エヌエスエネルギー発電所を見学した際、間伐材を活用したバイオマス発電など最新の技術を活用して自然環境に配慮したシステムを創りあげていることに強い印象を受けました。また、この発電所の運営の仕組みについて学ぶ中で、こうした最新の技術を活用するには、運営する人の創造的な思考力などを養う「人材の思考育成(Human Idea Development)」が必要ではないか、と感じました。これは、今後、私の会社の社員育成を行う上でも、ぜひ心掛けていきたいと思います。

また、短い時間ですが、茶畑にも訪れる機会がありました。ミャンマーと比べて各種インフラが整備されているのはもちろんですが、このような場所で働いている方々もとてもにこやかでホスピタリティーに溢れていることに驚くと同時に、日本人のサービス精神の成熟ぶりを感じました。

今回の日本研修では、単なる一時の付き合いではない、人生の友と呼べるような出会いに恵まれました。ここでできたネットワークも生かしつつ、今後、自らの事業をさらに改善していきたいと思います。

MJCのFacebookには、今回の研修の様子が掲載されております。合わせてご覧ください。