カンボジア日本センターの講師によるコンポンチャム州立病院での出張セミナー −リーダーシップとチームワーク養成講座−

2015年7月23日

「日本のマネジメント」についての講義。受講者は皆熱心に聞き入っていました。

カンボジア日本センター(CJCC)講師陣によるリーダーシップとチームワーク醸成研修を、「母子保健改善プロジェクト」に対して実施し、JICAプロジェクトによる横の連携が実現しました。

およそ20年にわたる内戦の影響によりカンボジアの保健医療システムは壊滅状態となりました。終戦後、その状況は少しずつ回復しつつも依然として多くの問題を抱えています。カンボジア保健省は全国に質の高い助産師を増やすことを目指しており、JICAはその支援を継続的に行ってきました。現在も妊産婦と乳幼児の健康改善を目的とした助産能力強化を通じた「母子保健改善プロジェクト」を実施中です。

左から2番目はカンボジア人講師キム・ソクヘン氏

プノンペンに位置する国立母子保健センターはJICAの支援の下設立された国立の産婦人科病院で、質の高い助産師を養成すべく様々な研修を実施しており、全国から医師、助産師が集まってきています。JICAプロジェクトは保健省の意向に沿って、基礎的緊急産科ケア研修を地方でも実施できるようにするため、コンポンチャム州病院に州研修部を立ち上げる支援を行ってきました。その結果、正式に人が配置され、組織として機能し、研修を自立的に運営できるようにまでなっています。しかしプロジェクト終了を目前にして、大きく2つの課題が残りました。1つはトップマネジメントが脆弱であること、2つ目はチームワークが機能していないことです。そこで「リーダーシップ」と「チームワーク」の醸成を目的に、上記プロジェクトがCJCCに研修を委託したことで、CJCC講師らのオーダーメイドセミナーが実現しました。

「おもてなし」についての講義の様子。実践的な練習を交えての講義でした。

今回の研修は7月1日〜3日の3日間にわたり、主に病院のトップマネジメントを対象として実施されました。1日目は、「リーダーシップに必要な資質」、2日目は「おもてなし」、3日目は「日本のマネジメント(協力精神・ホウレンソウ・5S・カイゼンなど)」について講義を行いました。

セミナー後、受講者からは絶えることなく熱心な質問が飛び交い、それぞれが抱える問題について考えることができたようでした。トレーニング後には、これまで提出されてこなかった業務書類が、研修部長から初めて提出された、というような目に見える成果が表れました。これは、CJCCのトレーニングにより、研修部長のトップマネジメントとしての意識が高まったことの現れであるといえます。

全員での集合写真

今回のセミナーの依頼者である高橋優子さん(同プロジェクト専門家)は「今回の研修では、自分自身も含めて、マネジメントを担うリーダー達への大きな勇気付けとなった。業務で悩んでいたことや壁にぶつかっていたことへの重要なヒントや答えを頂き、これまでよりもっと良い仕事ができそうな気がする。」と話されていました。

今回のセミナーはトップマネジメントだけではなく、ミドルマネジメント、現場で働くスタッフにとっても、現在の課題を考える良い機会となり、今後の改善が期待されます。