VJCC(ハノイ)第8期経営塾が塾生企業を訪問〜「経営戦略」を現場で学ぶ〜

2017年4月28日

 2017年4月13日(木)、第8期経営塾の塾生による企業訪問が行われました。
 
 経営塾は、「ベトナム日本人材開発インスティチュート(VJCCインスティチュート)」が実施する長期研修コースです。ベトナムの経営者を対象としており、日本式経営のノウハウを10か月間で実践的に学びます。企業訪問では、参加塾生の企業を実際に訪問し、事業に関する説明や製造現場の見学を通して、講師だけでなく塾生同士で改善点や疑問点を議論しあい、学びを深めます。

 TOMECOの従業員による事業説明

 今回は、「経営戦略」研修の一環として、第8期経営塾のメンバーの一人であるクインCEOが経営する「Toan Cau Mechanic Electrical JSC(以下、TOMECO)」を訪問。TOMECOは、主に工場・家庭で使用される換気扇や送風機の製造・販売を行う企業です。「顧客からの高い信頼」、「ISO9001に準拠した高品質」、「海外の輸入品よりも安価」という観点からTOMECO製品は高く評価され、消費者のニーズも高まっています。また現在は、東南アジアにとどまらず、ヨーロッパや北米にも工場を展開し、展示会への出展やCSR活動など、国内外への情報発信も積極的に実施しています。

 TOMECOの事業説明を受けて、経営塾の河口講師は、「TOMECOの最大の強みは、世界的にも高品質である製品を低コストで生産し、購入者に安価で提供できること。ただ、新たな競合他社や購入者のニーズの変化などのリスクが予想されるので、ビジネス環境に応じて絶えず改革していくことが不可欠。」とコメント。

 その後、TOMECO製品の生産工場や倉庫の見学では、「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」の実施が進み、経営塾のテーマである「日本式経営」の要素が随所に見受けられました。塾生たちはクインCEOの説明に熱心に耳を傾け、時には、工場内の作業員に直接質問するなど、積極的に学ぶ姿勢が印象的でした。

  塾生による意見交換会の様子

 工場見学後は、講師・塾生同士による意見交換が行われ、塾生の一人から、「受注生産が7割を占めるというTOMECOの現状では、より効率的な生産を行うために作業員の能力・時間に応じて生産計画を立てて、それをルール化することが必要なのではないか」という指摘がありました。これに対して、クインCEOは「率直な意見をいただけてうれしい。生産計画は、作業員への意欲向上につながるだけでなく、生産のキャパシティを図ることができます。今後6か月以内にこのシステムを導入していきたい。」とコメントし、この後も塾生同士の白熱した議論が交わされました。

 講師・塾生の意見交換を受けて、クインCEOは、「同じ経営者という立場からの、鋭い意見や指摘が多かったのでとても参考になりました。今後の経営に、皆さんの意見を取り入れていきたいです。」と笑顔で語りました。

 河口講師は、「皆さんが今学んでいる日本式経営をそのままベトナム企業で真似るのではなく、ベトナムの企業風土に合うように、皆さん自身で工夫をすることが最も重要です。」と締めくくりました。実際の生産現場を見学できただけでなく、講師および塾生同士の活発な議論によって、訪問企業の塾生にとっても、ほかの塾生にとっても実りの多い企業訪問になりました。

【画像】

         Toan Cau Mechanic Electrical JSC(TOMECO)のオフィスで記念撮影