VJCC(ハノイ)で経営塾クラブ「第15回フォローアップセミナー」を開催〜“MONOZUKURI”における生産管理を考える〜

2017年6月3日

 2017年5月13日(土)、ハノイ経営塾クラブが主催する「第15回フォローアップセミナー」が行われ、これまでの経営塾の塾生など約30名が参加しました。

 経営塾クラブとは、経営塾を修了したOB・OGからなる組織です。その活動の一環である「フォローアップセミナー」は経営塾への参加企業を会場として、講師やOB・OG、現役の塾生らが実際に生産現場を見学し、意見交換や経営に関する情報共有を通して学びを深める場です。

 第7期経営塾OB
 チュン工場長

  
 今回は、第8期経営塾のメンバーのアイン社長が経営するH&A Fashion Co., Ltdの生産工場を訪問。同工場は、主に女性用のウエディングドレスから普段着まで、幅広い衣料品のデザイン・製造・販売を手がけています。また、ファッション性の高い高級ドレスは、「PANTIO」のブランドでベトナム北部を中心に22店舗を展開しており、海外のマーケットにも積極的に進出しています。さらに、同工場の社長、工場長は第6期・第7期の経営塾のOBでもあります。

裁断工程の見学の様子

現場指導が行われた倉庫

大量生産の製品の縫製工程

ドレスの生産現場の様子

 
  
 今回のテーマである“MONOZUKURI”にちなんで、第7期経営塾OBのチュン工場長から同社での生産管理に関する発表があり、生産工程では各段階で必ず品質のチェックが行われ、顧客のニーズに応じて様々な方法で品質管理がなされると説明。さらに、課題として「在庫を保管するための倉庫が足りないこと」や「生産ラインにおける移動距離が長く、ムダな動きが多いこと」を挙げ、改善策として「生地の裁断・縫製の工程で、機械による自動化システムの導入を検討している」との説明がありました。
 
 
 その後の工場内や倉庫の見学では、「倉庫の棚の表示がないが、保管するものが増えると混乱が生じるのではないか。」、「ICタグをつけるとコンピュータで簡単に管理ができるので実施すべき。」など、講師陣による熱い現場指導が行われる場面もありました。


 工場見学後は、塾生同士による意見交換・講師陣によるアドバイスが行われました。塾生からは「LED電球を導入してはどうか」、「商品は棚ごとに分け、リフトによる積み下ろしなどの在庫管理を徹底すべき」などの指摘や提案、実際の改善事例が共有されました。

コメントする平田講師

 
 経営塾で“MONOZUKURI”を指導する平田講師は、「それぞれの工程の生産スピードは、生産量が少ない製品の生産スピードに影響を受け、全体が遅くなりがちです。」と指摘。同じ工場内で、スピードが求められる大量生産と、時間がかかるドレスの生産が同時に行われていることが原因であるため、商品ごとに生産リードタイム(すべての生産工程を完了するまでにかかる時間)をしっかりと決めて、効率よく生産を行ってほしいとコメント。

コメントする清水講師

 
 同じく同科目を指導する清水講師は、「今やるべきことは自動化システムの導入ではなく、ムダを減らすこと。」とコメント。そのためには、まず(1)加工時間、(2)仕掛が停滞している時間、(3)運搬時間、(4)検査時間 の4つの時間を調べることが必要。そうすると、全体の工程のどこでムダが発生しているかがわかるので実践してほしい、とアドバイスをしました。

 これらを受けて、アイン社長は「塾生の皆さん、先生方のたくさんのご意見に感謝します。そして、自社の生産管理に関するこれまでの考え方を変えていくことを目指します。1年後、ぜひ皆さんに変化を見ていただきたい。」と新たな決意を語り、参加者から大きな拍手が送られました。

【画像】

H&A Fashion Co., Ltdの生産工場のオフィス前で記念撮影