VJCCインスティチュートで“Biblio Battle in VJCC”が初の開催

2017年8月31日

今回のイベントを企画した
関西学院大学からのインターン森口さん
(写真左)

VJCCインスティチュート
リエン副所長

 
 2017年7月22日(土)、ベトナム日本人材開発インスティチュート(VJCCインスティチュート)で、“Biblio Battle in VJCC”が開催されました。
 
 Biblio Battle(ビブリオバトル)とは、2007年に、日本の有名な大学のひとつである京都大学の学生がはじめた書評イベントです。“Biblio Battle in VJCC”では、5人の発表者が日本語で3分間、自分のお気に入りの本について紹介し、それぞれの発表の後に全員でQ&Aを2分間行います。最後に、「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員で行い、最も多くの票を集めたものを『Champion book』とします。
 
 現在、大学や小中学校、カフェ、書店など様々な場所で開催され、日本のみならず世界でも人気が高まっています。また、「他言語を効果的に学習できるプログラム」としても注目され、日本語学習者には「日本語で“話す力”や“聞く力”を磨く場」となることが期待されます。

発表者によるプレゼンテーションの様子

歌をとり入れたユニークな発表スタイル

本の魅力を熱弁する発表者

発表についてのQ&Aの様子

 
 まず、リエン副所長から開会の挨拶があり、9月から本格化するVJCCインスティチュートのインスティチュート化に向けた“Biblio Battle in VJCC”への期待や、VJCC図書館の活性化についてお話いただきました。 

 
 その後、5人の発表者による「お気に入りの本」についての発表が行われました。発表された本は、“ファンタジー”“小説”“健康”“ノンフィクション”など、バラエティ豊富なジャンルがそろいました。また、発表内容やスタイルは、まさに“十人十色”。「独自の視点からストーリーを紐解く発表」や「ストーリーに関連する歌を織り交ぜた発表」、「ストーリーを、かつての自分の境遇になぞらえた発表」など個性豊かな発表ばかりでした。

 
 それぞれの発表の後のQ&Aでは、会場の参加者から「物語に登場する“花園”は実在するのか。それとも、皆の心の中に存在するのか。」「“牛乳は肌荒れや病気を悪化させる”という説は本当なのか。」など様々な観点からの質問があり、会場全体で発表者とのコミュニケーションを楽しんでいました。

 
 
 全ての発表が終わると、会場の参加者から惜しみない拍手が送られました。そして、発表者を含めた参加者全員による投票が行われた後、結果発表および表彰式が行われました。それぞれの発表者には、水野隆チーフアドバイザーから賞状が、リエン副所長から賞品が授与されました。受賞した発表者たちは、皆はじけるような笑顔で賞状を受け取り、その喜びを表現していました。

Champion Book賞を受賞したクインさん
(写真右)

 
 
 
 Champion Book賞(第1位)には、Frances Hodgson Burnett著『The Secret Garden(秘密の花園)』が選ばれました。落ち着いた優しい雰囲気の発表が評価されたクインさんには、賞状、VJCCマグカップおよび2年間のVJCC図書館利用カードが授与されました。

第2位を受賞したフオンさん 
(写真右)

 

 
 第2位には、新谷弘美著『病気にならない生き方-ミラクル・エンザイム』が選ばれました。他にはないジャンルの発表が好評だったフオンさんには、賞状、VJCCマグカップおよび1年間のVJCC図書館利用カードが授与されました。

第3位を受賞したスアンさん
(写真中央)

 
 
 
 第3位には、稲盛和夫著『生き方』が選ばれました。力強い発表スタイルが印象的だったスアンさんには賞状、VJCCマグカップおよび半年間のVJCC図書館利用カードが授与されました。

特別賞を受賞したトゥさん、アインさん 
(写真右から2人目・3人目)

 

 
 特別賞には、シン・ギョンスク著『母をお願い』、村上春樹著『ノルウェイの森』が選ばれました。個性的な発表スタイルが好評だったトゥさん、アインさんには、賞状、VJCCマグカップおよび漢字辞典が授与されました。

VJCCインスティチュート
水野隆チーフアドバイザー

 
 最後に、水野隆チーフアドバイザーから「ベトナム語や英語で本を読んだとしても、“日本語で”発表するという点で新たな発見がありました。母国語ではない“日本語で”聴衆に訴えかけ、いかに感動したかを伝えることで、その本を「読みたくさせる」わけです。言葉で書かれた書物の内容が、その媒体である言葉を超えて、感動を共有できる能力を競うイベントであったといえるでしょう。」と閉会の挨拶があり、“Biblio Battle in VJCC”は幕を閉じました。

 今回、発表者として参加したトゥさんは「皆の前で発表するのは緊張しましたが、とても貴重な体験でした。日本語で発表する力や表現力もアップしたと思います。またBiblio Battle in VJCCが開催されたら、ぜひ参加したいです。」と感想を語りました。また、参加したベトナム人学生の一人は、「どの発表も魅力的で、もっと日本語を勉強したいと思いました。知らない本も多かったですが、発表をきいて読みたくなりました。」と笑顔で語りました。

 ベトナム人と日本人が共に現代の日本文化に触れることができたこと、5冊の本との出会いを通じ、ベトナム人と日本人が交流を深めることができたこと、そして何よりも、新たな本の魅力を発見することができた点において、非常に実りの多いイベントとなりました。

【画像】

発表者および参加者全員による記念写真