LJIによるビジネス人材育成の新たな取り組み

2017年11月2日

 近年、経済成長率が7〜8%と中国にも匹敵する目覚ましい勢いで発展するラオス。
しかしながら、ラオスはアジアで最も貧しい国の一つとして、今なお後発開発途上国(LDC)に指定されています。この様な状況を打破すべく、ラオス政府は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成やLDCからの脱却を目標に掲げ、更なる経済成長を目指しています。
 
 我が国は、ASEANの経済統合、近隣国との連携強化、国内の格差是正等を図る観点から、JICAを通じて社会インフラの整備、農業発展や森林保全、保健医療サービスの改善、教育環境の整備や人材育成の改善を重点分野として支援してきました。

 ラオス日本センター(LJI)においても、JICAの支援により、ビジネス人材の育成を主たる目的として、2000年から日本的経営手法を柱として、実戦ビジネスコースに加え、テーラーメイドコース(企業の要望に応じた研修)、カスタマイズコース(現場指導を含む研修)等を実施してきています。またLJIは、2008年からはMBAプログラムも開始され、経営学修士号が取得できる高等教育機関へと成長してきました。

 2017年10月、LJIは更なる発展のために、新たな3つの取り組みを開始致しました。
 1つ目は、「LJIビジネスカフェ」です。これはビエンチャン在住のビジネスマンへの情報提供と交流を通じた情報交換の場の提供であり、リソースパーソンの講師による30分程の講義に基づき質疑応答が行われ、その後ビール片手に自由な意見交換を行うもので、今後、毎月1回の開催を予定しています。
 2つ目は「スタートアッププログラム」(若手起業家育成プログラム)です。これは将来的に起業を目指す若者たちを対象に半年間で起業に不可欠な最低限の知識・教訓等を提供し、自ら起業できる人材を育成しようとするものです。
 そして、3つ目は「経営塾」です。これはすでに起業している中小企業の経営者らを対象に、半年間のトップマネジメント研修を通じて自社の改善計画を立てられるようしようというものですが、この取組はベトナム日本人材育成センター(VJCC)が9年前に開始し大成功を収めている「経営塾」を手本とし、ラオスの現状にあった形に見直し実現したものです。
 これら3つの新たな取り組みの共通点は、いずれも参加型手法で行われ、情報を共有し、自らが考え答えを導き出すことに重点を置いていることで、実際の現場での行動力が身につき易いと考えています。

 これら3つの取り組み、特に「経営塾」に関しては、近隣国の経済発展状況と比べ、ラオスでは時期尚早との意見も少なからずあったのも事実です。しかしながら、ブンルアンLJI所長のリーダーシップのもと、着々と準備が進められ、第1回の講座では、所長自らが補助講師として教材作成の補佐、講義の通訳に徹していたこともあり、LJIスタッフ全体の士気が高まる相乗効果が現れ、参加者からの評価も非常に高いものとなりました。

 LJIは、ラオスのビジネス業界において、常にホットな最新情報を提供し、ビジネス関係者が気さくにしかも熱く語れる場を提供できるように、また新た取り組みが今後とも長く継続出来るように、参加者の協力を得て、講師、スタッフ全員が一丸となって進んでいく所存です。

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経営塾開講式:14名の参加者を始め、NUOL学長、引原大使、米山JICAラオス事務所長、そして日本から遠山講師(基調講演)、戸田講師(第1回講義担当)、田中課長(JICA本部)にご参加いただいた。