ハイフォン経営塾第4期生がEBA社を訪問

2019年8月16日

 2019年8月7日、ハイフォン経営塾(※)の第4期生30名が第1週目の講義「今日に明日を築く —Build Today For Tomorrow—」の一環として、戸田講師とともに野村ハイフォン工業団地内にあるEBA Machinery Corporationへ訪問しました。

 同社は、本社であるエバ工業株式会社の工業製部品供給センターとして2003年に設立されました。工業団地内に約3万㎡の土地を構え、従業員は現在444名にのぼります。主な製造品は、本社へ輸送するための工作機械及びその周辺装置、風力発電装置の部品です。大型部品が多く、主な輸出先は日本であることから、港まで車で約30分でアクセスできるハイフォンを拠点として選びました。本社の位置する三重県まで船で搬送するには約2週間かかりますが、日本国内で部品を調達した場合でも様々なサプライヤーを経由することになるので、それに比べてかかる時間は短いといえます。

企業概要について説明を受けている様子

 まず、社長の山川氏から企業概要の説明があり、同社の強みである一貫生産についての紹介がありました。溶接・鋳造などの作業工程から梱包にわたるまでの全工程が一つの工場内で行われることにより、輸送費や手間が省けるだけでなく、従業員が製造の流れを理解しやすくなり各工程の品質向上につながることを説明されました。
また、従業員教育に力を入れていることも述べられました。入社後2カ月間は全従業員が日本語教育を受けること、現在約100名に及ぶ溶接作業員は毎月技能訓練とテストを受け、出来具合に応じて給与やレベルが設定されることなどが紹介されました。一から技術を教え込むことにより、作業員は流れ作業や単純作業ではなく、図面を見れば部品を完成できるまでの技能を身に着けられるようになります。

質疑応答の様子

 その後、工場内を見学しました。溶接や鋳物の工場入り口には、作業員が製造した良品が展示されていました。製造者の名前や写真と共に視界に入る箇所に展示することで技術力の見える化を図り、他の作業員の頭の中にも良品のイメージを記憶させることを目的としています。

 つづいて、質疑応答の時間が設けられました。ベトナム人の幹部職員6名が加わり、質問に応じてくれました。「製造の際にムダを出さないためにはどうすればよいか?」という問いに対しては「設計段階から梱包の際の使用材料と経費を考慮している。先を見据えて計算することが大切。」との回答が寄せられました。また、生産能力向上の方法について、山川社長は「一を聞いて十を知れ、という言葉を大切にしており、従業員が自分で考える力を培えるようにサポートしている。」と述べられました。

戸田講師からのコメントの様子

 戸田講師からは、「一貫生産という方式は珍しいと感じる。また、従業員一人一人に技術を基礎から教えることにより指導者の手間が省けて生産能力が上がるので、効率的な手段だと感じる。」とのコメントをいただきました。

 ハイフォン経営塾第4期は開講されて間もないですが、塾生達は、さっそく地元ハイフォンにある模範的な日系企業を視察することで、講義で学んだ内容を、実際の現場の取り組みの中で確認していました。受講生一人一人が、今後も学びの姿勢を大切にし有意義な10か月を過ごしていくことが期待されます。 



(※)経営塾とは、企業経営者や幹部などを対象とした、ベトナム産業界を牽引する経営者育成のための日本式経営の研修。月5日間の授業及び実践が約10か月にわたり実施されます。2009年から開始された本プログラムはVJCCの看板事業となり、現在はハノイ2、ホーチミン1、ハイフォン1の計4コースが実施されています。

【画像】

山川社長を囲んで記念撮影