VJCCホーチミン ビジネス・フォローアップセミナーの開催

2019年9月30日

 2019年9月28日土曜日、ベトナム日本人材開発インスティチュート・ホーチミン(以下VJCC HCMC)では、経営塾(*)の同窓会組織である経営塾クラブ(*)とVJCC HCMCの共催により、ビジネス・フォローアップセミナーが開催されました。

 ビジネス・フォローアップセミナーとは、経営塾の修了生や現受講生が日本人講師と共に、経営に関する情報共有や意見交換を通し学びを深め、さらに経営塾生同士の交流を深めることにより、ビジネスの質をより良いものにしていくことを目的とし、2014年からVJCC ハノイ、ホーチミンでそれぞれ開催されているセミナーです。

講師を務める戸田長作氏

 今回のセミナーでは、9月から開始された経営塾第14期の講師として教鞭をとられていた戸田長作氏を招き、「米中貿易摩擦」をテーマに講義が行われ、そこからベトナムはどう行動していくべきかについて、約30名の参加者と共に、熱い議論が交わされました。10年前、海外への関心が薄かったベトナム経済も、今や大きく発展を遂げ、米中の影響も大きく受ける立場になってきています。講義の中で、戸田講師は、米中間での関税引き上げの問題を主題とし、その背景にある両国の覇権争いにつき、様々なデータ、ご自身の実体験を交えながら、深い洞察に基づいた内容の濃い講義を行いました。

 今回参加者は、「農業」と「裾野産業」の2つのテーマにおいて、米中貿易摩擦によるベトナム経済への影響につきディスカッションを行いました。
農業分野では、米中貿易摩擦の影響か、以前にはなかったアメリカからの農産物が安価にベトナムに入ってくるようになったため、国内農産物との競争が激化し、売り上げを14%も落とす企業もあるとの報告がありました。また、裾野産業では、中国と日本の政治的軋轢から、中国を嫌ってベトナムに取引先を移す日系企業が増加し、その恩恵を受けていたのもつかの間、米中貿易摩擦の影響もあり、中国政府は企業に補助金等の多大な支援を施したため、中国企業が再び顧客を取り戻し、その影響をベトナム企業も受けて困っている、との報告もありました。
こうした発表に対して戸田講師は、顧客を満足させ、感動させるValue(価値)を生み出していくこと、そのための開発、デザイン力を磨き、「メイド・イン・ベトナム」を増やし、広く世界に認知させることが重要と説きました。そのためには、「人を思いやる気持ち、状況を読む力、将来を読む力」が不可欠であり、この力を磨いていくことが必須、と参加者を鼓舞しました。

熱心に質問を行う参加者

 参加者の多くが、戸田講師の講義に熱心に耳を傾け、かつ、質疑応答の時間には、自らの企業での経験、データを元に今後どのように海外製品と差別化を図り競争していくのか、米中間の貿易摩擦をベトナムはどのように乗り越えていくべきなのか、また、TPPからなぜアメリカは脱退したのか等、幅広い質問が寄せられ、講師と熱い議論が交わされました。
 
 参加者はそれぞれ、今後ベトナムが米中覇権争いの渦中でどのように舵取りをしていくべきなのか、こうした状況下でのビジネスチャンスとは何かなのかにつき、深く学ぶきっかけを与えられました。

 VJCCでは、通例の研修事業のみならず、時勢に即したビジネストピックを題材に、フォローアップセミナーのような形で広く深く学べる環境を提供しています。

(*)経営塾:VJCCが実施するベトナム企業経営者・幹部に対して、企業経営に必要な実践的な知識を、約10ヶ月かけて学ぶ、体系的な研修制度。自らの力で課題を見つけ、解決策を考え、実践する力を養成することを目的としており、講義の他、ベトナムの事例を題材にしたグループディスカッション、企業訪問など多角的に学べる環境が提供される。講師は主にビジネス経験豊富な日本人の専門家であり、講義やコンサルティングを通じ、経営者の使命や企業の社会的責任含む日本式経営についても教えている。

(*)経営塾クラブ:経営塾の修了生によって組織されている同窓会組織。日本式経営に基づいてイノベーションを行い、自らの価値を高めていこうとするベトナム人経営者の強力なネットワークの場となっている。