富山県東南アジア貿易投資ミッションがVJCCを訪問

2020年1月31日

 2019年12月20日(金)、富山県国際経済交流推進協議会が主催する東南アジア貿易投資ミッションが、ベトナム人材開発インスティチュート(以下VJCC)を訪問されました。同ミッションは、寺下利宏氷見商工会議所会頭(団長)以下、県商工労働部、経済団体及び企業の14名により構成され、ベトナムとの経済交流を促進しビジネス機会の創出を図るため派遣されたものです。富山県は、2016年にベトナム計画投資省と覚書を締結し、両国間の経済交流の活性化に取り組んでおり、既に、県内の32社37事業所がベトナムに進出しており、近年増加傾向にあります。

VJCCの説明の様子

 はじめに、VJCCの佐々木チーフアドバイザーがVJCCの概要を説明し、その後、両機関の代表挨拶、施設見学及び質疑応答が行われました。同ミッションは、VJCCの活動の中で、特に経営塾(※1)について興味を持たれ、日本式の経営マインドを持ったベトナム企業家が卒塾生として500名を超える規模となり、日本企業との取り引きを望んでいることに今後の展開の可能性を見出されていました。VJCCヒエン所長は、来訪を歓迎し「私たちはJICAの技術協力により経営塾というプログラムに取り組んでおります。経営塾に参加した優秀なベトナム企業とのビジネスマッチングが出来れば良いと考えております。また日本式経営を学ぶJIB(※2)という学部も2017年に設置し、今後は卒業学部生を日本企業に幹部候補生として送り出したいとも考えております。(一部省略)」と今後の展望を述べました。

富山県東南アジア貿易投資ミッション 氷見商工会議所の寺下利宏団長の挨拶

 続いて、氷見商工会議所の寺下利宏団長から、視察受入れのお礼と共に「富山県とベトナムとは2016年に経済活動の覚書を締結しており、今回のミッションは経済交流の一つとして実施しております。富山県をはじめ多くの日本企業がベトナムに進出する理由として、政治的安定性や治安の良さの他にベトナムの皆さんの勤勉な国民性、そして豊富な労働力などが挙げられます。そうした中でVJCCにおきましては、ベトナムにおいて日本式経営哲学の手法を取り入れビジネス人材(企業)を育成すると共に、それらの人材(企業)とベトナムに進出する日本企業のビジネス交流やネットワークの促進などを行っており、今後の高いポテンシャルを感じます。VJCCのビジネスコースの現状や、経営塾等で育成された人材の活躍状況などを把握し、今後の県内企業のビジネス機会の創出に役立てたいと考えております。(一部省略)」とベトナムとVJCCへの期待の言葉を述べられました。

 施設見学では、経営塾13期生の経営計画・実践ワークショップ(第8回目のセッション)と日本語コースを視察していただきました。経営塾13期は2か月後に日本研修が予定されており、長岡市で新潟県企業とのビジネス交流会が企画されています。これを聞かれた同視察団は、今後、富山県においても経営塾生とのビジネス交流会の場を開きたいと希望を抱いておりました。

 最後の質疑応答では、多くの方から質問がありました。特に、ベトナム企業の品質に関する考え方やビジネスの手法については、突っ込んだ意見交換がなされました。日本企業があたりまえとしている品質への高い追及が、どの程度経営塾企業で実践できているのか?ビジネス交流が商談に結び付いているのか?といった質問に対し、日本式経営やものづくり実践を知識のみならず身体としても学んだ経営塾企業においても、日本水準の品質管理ができている企業は、まだ一部にすぎない点や、現在実施しているビジネス交流は商談会レベルではなくお互いを知る入口の交流段階である点、それでもこれまで10件を超える契約が成立していること、などの説明がなされました。また、ベトナム中小企業の経営者の傾向として、ビジネスチャンスがあると見れば、異業種においても果敢に資金投入により起業することなど、日本企業との違いについても意見交換がなされました。

 お互いの文化や考え方の違いにより、両国の企業が取り引きに至るまでには、相当の努力と時間が必要となります。今回のような訪問を受け、今後の企業間の交流が促進され、お互いのことを十分知り、Win-Winの関係が構築できるように、VJCCはこれからも点滴穿石の気持ちで取り組んでいきます。

※1 経営塾とは、ベトナムの企業経営者・幹部を対象に行われる日本式経営の研修。ベトナム産業界を牽引する経営者の育成を目的としており、月5日間の授業及び実践が約10か月にわたり行われます。2009年から始まった本プログラムはVJCCの看板事業でもあり、2019年に10年目を迎えました。

※2 日本式国際ビジネス学士課程とは、2017年4月にVJCCが貿易大学内のインスティチュートとして正式に認定されたのを契機に同年9月より開設した学部。一般教養及び専門経営の56科目から構成され、"Japanese Culture and Cross-Culture in International Business", "Japanese Business and Economy", "Monozukuri", "Japanese Human Resource Management", "V-BIZ Business Plan 1, 2, 3", "Japanese Business Communication and Organizational Behaviors"などの科目の履修が義務付けられている。

【画像】

VJCCで集合写真