経営塾10周年記念式典がハノイで開催!

2019年12月19日

会場の様子

 2019年11月15日(金)、ハノイにて、ベトナム日本人材開発インスティテュート(VJCC)が2009年から実施している「経営塾」の10周年記念式典が盛大に執り行われました。同式典は、国際協力機構(JICA)、経営塾クラブの共催により実施され、ベトナム全土から約310名の経営塾卒業生が一堂に会しました。「経営塾」とは、ベトナムの産業界を牽引していく人材を育成するために、日本式経営・日本企業の知見を軸とした経営手法を包括的に学ぶための場を提供するもので、ハノイ、ホーチミン、ハイフォンの3か所で実施され、2009年の開始からこれまで、約530名の卒塾生を生み出しています。同塾では、経営に必要な実践的知識を身に付けるため、ビジネス経験豊かな日本人講師を日本から派遣し、ベトナムの事例を題材にしたグループディスカッションや講義、企業訪問やプレゼンテーション、日本研修など多角的に学べる場が提供されています。同塾の卒業生は、「経営塾クラブ」を組織し、多数の卒業生企業がベトナムに進出した日系企業のサプライヤーとなったり、日本に拠点を置く企業と直接商談を成約するなど、ベトナム経済界の一翼を担う存在に成長しています。

政策研究大学院大学教授の大野健一氏の基調講演

 本式典は、日本より来越した政策研究大学院大学教授の大野健一氏の基調講演を皮切りに、第1部ワークショップ、第2部日系企業との交流会、第3部記念式典、第4部ガラディナーで構成されました。

 大野氏の基調講演では、経営塾企業に期待することとして、今後もベトナム国内において、日本式経営やものづくりの精神を伝えていく中心的存在の役割を果たすこと、まだまだ未熟なベトナムの裾野産業を成長させるために、彼らが中心となってもっと政府にアドボカシーを行うこと、日本企業とのマッチングを今後も積極的に実施すること、が大切であり、とにかく「すぐやること、行動あるのみ」という点が強調されました。

 続く、長年経営塾の講師を務められた元パナソニック幹部の山本亘苗氏と戸田長作氏は、それぞれ「心に火をつける経営者の道」「Build Today For Tomorrow “新時代のビジネスに向けて”」と題する講演で、経営塾卒業生たちに向け、この厳しく変化の多い時代を経営者としてどう生き抜くかについて、ユーモアを交えながら、そのための実践的な知恵、本質について語りかけました。

パネルディスカッションの様子。中央は経営塾クラブのチャン会長

 第1部の締めくくりでは、大野健一氏とVJCC所長のヒエン氏、経営塾クラブ会長のチャン氏が中心となり、ハノイ、ホーチミン、ハイフォンからそれぞれ駆け付けた経営塾OB企業5社と共に、「日本式経営によるベトナム企業の発展」と題してパネルディスカッションが行われました。各社とも、経営塾に参加してから売上が向上した、社内のKAIZENが進んだ、自社製品の付加価値化が進んだ等、様々なプラス面があったことを報告しました。しかしながら、中には、70%の従業員が辞めてしまう等の苦難を経験した企業もいました。同社はその困難の中、経営塾で学んだことを胸に、いかに冷静にモチベーションを保ち、失敗事例を糧に成功に導けるかを探った結果、見事に逆境から抜け出すことができた、と報告しました。ここでもパネリストの一人である大野氏は、民間主導で行動を起こす重要性、経営塾の価値をもっとベトナムコミュニティに積極的に展開していくこと、すぐに行動を起こすことの重要性を繰り返し強調し、経営塾生たちを鼓舞しました。

 第2部では、計35社53名の在越日系企業関係者を招いて、ビジネス交流会も開催されました(詳細は下記「関連リンク」をご参照下さい)。

貿易大学学長、ブイ・アン・トゥアン氏の挨拶

 第3部の記念式典では、貿易大学学長、ブイ・アン・トゥアン氏が開幕の挨拶に立ち、「経営塾はベトナムビジネスコミュニティの発展に不可欠な存在に成長しつつあり、今後も発展し続ける」と語りました。また、ベトナム政府から、計画投資省外国投資庁のドー・ニャット・ホアン長官が出席し、これまでの日本政府ならびにJICAの支援に対する謝意と共に、「経営塾はベトナムへの外国投資促進に必要な人材育成に多大な貢献をしている」と、同塾への感謝と期待を表しました。また、在ベトナム日本大使館の岡部公使は、「ベトナム経済の競争力を高め、成長力を強化するには、今後もより多数の元気な経営者が必要となる。経営塾には今後もベトナムを牽引するリーダーとしての役割を期待している」と語りました。この他、同式典では、経営塾に関するビデオ上映や、VJCCに対するJICA理事長賞の表彰ならびに経営塾クラブに対する第1回JICAベトナム事務所所長賞の授与式も執り行われました。また、経営塾クラブからは、貿易大学、ならびに歴代の経営塾講師に対し、感謝の意の表明があり、同クラブのチャン会長は、今後も経営塾で学んだことを胸に、質の高いモノづくりを続け、同活動を通じた社会貢献も積極的に行っていきます、と力強く宣言しました。

 各経営塾生たちは、チャン会長の思いと同様、自らが学んだことを社会に活かし、今後もベトナムひいては国際社会の発展に寄与することを誓い合いながら、同式典を後にしました。

VJCCでは、今後も、経営塾ならびに各種研修コースの運営・実施を通じて、ベトナムひいては世界の社会経済発展に寄与する企業家を多数生み出すべく支援を継続していきます。

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歴代の経営塾講師に対する感謝状の授与

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会場の様子