業務調整員としての仕事 −縁の下の力持ち−

市原 正行 Masayuki Ichihara

JICA国際緊急援助隊事務局 オペレーションチーム (社団法人青年海外協力協会所属)

2003年イラン地震 国際緊急援助隊医療チームを皮切りに、2004年インドネシア地震・津波国際緊急援助隊 自衛隊部隊、2005年インドネシア・ニアス島地震 国際緊急援助隊医療チーム1次隊、2005年パキスタン地震国際緊急援助隊 救助チームに一貫して業務調整員として派遣。1989-1993、バングラデシュで青年海外協力隊(家畜飼育)として活動。東京都あきる野市在住。

業務調整員とは?

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診療所テントに掲げる国旗を準備する筆者(インドネシア)

国際緊急援助隊が派遣される際に、業務調整員という職種の隊員が数名同行します。これは医療チームであっても救助チームであっても同様です。チームは海外 の被災地で医療活動なり救助活動なりを行うわけですが、実はそういった直接の支援活動以外に非常に多くのことを隊員は行う必要があります。例えば、被災地 までの移動・機材の輸送手段の確保、被災地での宿泊場所や隊員の飲料水・食糧の確保、パソコンや通信機器の取り扱い、現地語を話せる通訳の雇用など、とて もそのすべてをここには書き切れません。これらの作業を迅速かつ的確に行えなければ、いかに優秀な医療職や救助隊員が派遣されても被災現場で満足な支援活 動は展開できないのです。この、チームが現地で活動し、現地で生活するための環境整備を専門に担当するのが業務調整員と呼ばれる隊員です。

業務調整員に求められるもの

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医療チーム隊員に現地の食事を提供(インドネシア)

緊急援助では、一刻も早く被災地で支援活動を開始することが求められます。現地での機動性を高めるために、チームの人員は必要最低限の人数で構成されてい ます。業務調整員もその例に漏れません。業務調整員の人数が多ければ様々な業務を分担して実行することができるのですが、そうはいかないのでそれぞれの業 務調整員が多種多様な業務をこなす必要があります。その姿は、医療活動・救助活動以外のあらゆる業務が降ってくる、まさに『何でも屋』です。現場の状況に 応じて臨機応変に多様な業務をこなすことによって、医療職や救助隊員が支援活動に専念できる環境を整える。それが業務調整員には求められます。

私自身の経験から

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診療開始に向け診療所テントを設営中(インドネシア)

私自身も過去に数度、医療チームや救助チームの業務調整員として派遣されました。やるべきことは判っていても、なかなか予定とおりに進んでくれないのが災 害現場での活動です。パキスタンでは、救助隊員が先に現地入りした被災地に彼らの使う機材を首都からヘリで輸送するはずが、突然の大雨でヘリがなかなか飛 べなくてイライラしましたし、インドネシアのニアス島地震災害では、「明日で隊員用飲料水の備蓄がなくなる」という切迫した状況に陥ったものの、翌日何と か追加の水が到着して胸を撫で下ろしたこともありました。現地に入り、被災者への支援活動を開始できる段階までたどり着くと、まずは業務調整員としては ほっとします。支援のための環境整備を行うことにより、被災地への支援に貢献する。それが私たち業務調整員という仕事なのです。