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「ソーシャル・キャピタルの形成と評価」研究会報告書
『ソーシャル・キャピタルと国際協力 -持続する成果を目指して-



総論編表紙 事例分析編表紙

総論編表紙

事例分析編表紙

2002年8月発行



【総論編】
全文(PDF/356KB)
序文、目次、調査研究の概要、委員・タスクフォース一覧(PDF/84KB)
第1章 ソーシャル・キャピタルとは何か(PDF/68KB)
第2章 開発援助とソーシャル・キャピタル(PDF/136KB)
第3章 ソーシャル・キャピタルの計測手法(PDF/68KB)
第4章 今後に向けて(PDF/56KB)
【事例分析編】
全文1(序文~第2章まで)(PDF/764KB)
全文2(第3章~第6章まで)(PDF/356KB)
序文、目次、委員・タスクフォース一覧(PDF/88KB)
開発に影響を与えるソーシャル・キャピタルの活用と形成(PDF/136KB)
第1章 地域社会開発とソーシャル・キャピタル(PDF/196KB)
第2章 農業・農村開発とソーシャル・キャピタル(PDF/372KB)
第3章 森林保全とソーシャル・キャピタル(PDF/116KB)
第4章 プライマリ・ヘルスケアとソーシャル・キャピタル(PDF/80KB)
第5章 教育とソーシャル・キャピタル(PDF/96KB)
第6章 貧困削減におけるマイクロファイナンスとソーシャル・キャピタル(PDF/92KB)



「ソーシャル・キャピタル(Social Capital:SC)」は信頼や規範、ネットワークといった、目に見えませんが成長や開発にとって有用な資源と考えられるもので、これを経済的資本と同様に計測可能かつ蓄積可能な「資本」として位置づけたものです。規範やネットワークなどが開発に重要な役割を果たすことはよく知られていますが、従来、それらは協力を行う際の外的な条件と考えられ、明確な働きかけの対象とされることはあまりありませんでした。それを外部からの介入によって変化しうる「資本」として捉え、協力の中で明示的に位置づけようとするところにソーシャル・キャピタル論の意義があります。

ソーシャル・キャピタルは開発の成果の発現を促すとともに、その成果の持続に必要なものと考えられ、近年、ソーシャル・キャピタルに対する関心は高まっています。しかしながら、ソーシャル・キャピタルの定義や開発への活用については、いまだ議論が定まっていません。国際協力事業団(Japan International Cooperation Agency:JICA)においても社会開発の重要性は認識されていますが、開発の中でソーシャル・キャピタルを明確に位置づけ、その形成方法や評価手法を明らかにするには至っていません。そのため、各開発課題に対し、どのようなソーシャル・キャピタルに着目したらよいかを調査し、その有効性や形成/強化方法、評価手法を検討することを目的として本調査研究を実施し、報告書をとりまとめました。

報告書はソーシャル・キャピタルの概念を整理し、開発との関係や計測手法をまとめた「総論編」と分野別に実際の協力事例をソーシャル・キャピタルの観点から分析した「事例分析編」からなります。

「総論編」ではソーシャル・キャピタルを巡る議論の変遷を踏まえてソーシャル・キャピタルの考え方を整理し、開発援助で注目すべきソーシャル・キャピタルとして、社会・集団内の結束力を高める「内部結束型(Bonding)」と、社会・集団間の関係・ネットワークを構築する「橋渡し型(Bridging)」のソーシャル・キャピタルを挙げました。特に行政とコミュニティの間に「橋渡し型」ソーシャル・キャピタルを形成し、「シナジー(協働)関係」を築くことが持続的な発展には重要であると報告書では提言しています。また、制度や仕組みなどの「制度的(Structural)」ソーシャル・キャピタルと、規範や価値観などの「認知的(Cognitive)」ソーシャル・キャピタルにも着目しました。「内部結束型」も「橋渡し型」も「制度的」なものと「認知的」なものの双方を含み、これらが関連しあって形成・強化されています。さらに、「総論編」ではソーシャル・キャピタルの計測手法に対する考察や計測を行う際の留意点についても述べています。

「事例分析編」では、ソーシャル・キャピタルの影響が大きく、ソーシャル・キャピタルを意識的に考える必要があると思われる分野から、地域社会開発、農業、森林保全、プライマリ・ヘルスケア、教育、マイクロファイナンスを選定し、事例分析を行いました。事例分析では、まずその分野における開発課題とソーシャル・キャピタルの関係を概念的に整理し、その枠組みに基づいて具体的な事例を分析しています。

ソーシャル・キャピタルについてはまだ検討が始まったばかりであり、今後、活用・形成や評価の方法、ソーシャル・キャピタルが与える影響について経験を積み重ね、教訓を蓄積していく必要があります。そして、これらを基によりよい開発協力を目指していくことが重要です。

本報告書が、開発の持続可能性と社会的要素の関係性を考えていくための参考となれば幸いです。