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調査研究
『開発課題に対する効果的アプローチ ─都市・地域開発─


報告書表紙 都市・地域開発

2005年10月発行

 



サマリーペーパー(PDF/724KB)

【全文】
一括(PDF/828KB)

【分割】
序文、目次、調査研究概要、開発課題体系図、要約(PDF/620KB)
第1章 都市・地域開発の概況(PDF/28KB)
第2章 都市・地域開発に対する効果的アプローチ(PDF/80KB)
第3章 JICAの協力の方向性(PDF/28KB)
付録(1.主な協力事例、2.主要ドナーの取り組み、3.基本チェック項目、4.地域別の現状、5.効果的アプローチの活用に向けて、引用・参考文献・Webサイト、用語・略語解説(PDF/120KB)



「開発課題に対する効果的アプローチ」とは
「開発課題に対する効果的アプローチ」シリーズの報告書は、JICAの国別・地域別アプローチを強化するための取り組みの一環として作成されたものです。ある国の重要課題に適した協力を実施するために、個々の開発課題の全体像と、その課題に対する効果的なアプローチについての基本的な理解を深めることを目的としています。

個々の開発課題を体系的に整理し、その課題にJICAとしてどう取り組むべきか、を報告書では取りまとめており、案件形成や協力プログラムの検討のほか、「課題の見方」を示す参照資料としても活用されています。また、付録にはJICAの当該分野の協力実績や他ドナーの動向、案件実施・検討に際してチェックすべき点などがまとめられていて、実務への活用を志向した内容となっていることが特徴です。

「必要なときにすぐ読める」をモットーに簡潔にまとめられているため、途上国開発の視点から課題を理解するための入門書としても参照いただける報告書となっています。

「開発課題体系図」とは
開発課題に対する効果的アプローチ」シリーズの報告書では、それぞれの開発課題について課題を体系化したツリー状の図(開発課題体系図)を作成し、開発途上国における課題の全容とその解決に向けて考えられるアプローチの手段をわかりやすく示すことを試みています。

これは本書の大きな特徴です。開発課題体系図では、開発課題に取り組むに際しての基幹目標(「開発戦略目標」)、開発戦略目標の達成に必要な「中間目標」、中間目標の達成に必要な「中間目標のサブ目標」を階層的な論理構成によって示しています。また、体系図では中間目標のサブ目標を達成するための手段や手法の例も示しました。つまり、この体系図を参照することで都市・地域開発の目標を達成するために必要な要素と具体的な取り組み内容を容易に理解することができます。

この体系図は、わかりやすくするために調査研究の検討過程で見出された特定の切り口・視点をもとに直線的な論理構成で作成されています。しかし、開発途上国における問題の発現状況やその原因は現実には複雑で、様々な要素が絡み合っています。この体系図を利用して協力内容や活動を検討するうえでは、目標の達成手段を複合的に活用して課題を解決していく視点や工夫が必要となることに注意が必要です。

開発課題の体系図(都市・地域開発)
都市・地域開発においては、「都市開発」、「地域開発」それぞれを開発戦略目標として位置づけ、目標達成に向けて考えうるアプローチ群を構成要素として分解して整理することを試みています。このように設定したのは、「地域開発」および「都市開発」はともに解決すべき課題によって取るべき戦略とアプローチが異なるため、それぞれについて開発戦略をいくつかに類型化して目標設定を行うのが困難であり、また安易なパターン化は問題の本質を見失う原因ともなりかねないと判断したためです。地域開発、都市開発ともに多面的で複合的な課題に取り組むためにその都市や地域の実情に最も適した包括的なプログラムとして協力をデザインすることが求められており、体系図で示した問題解決のための様々な「要素」を課題に対応して組み合わせることが必要です。

「地域開発」は、開発の遅れた地域の振興を図ることによって全国的な地域間格差を是正することが主たる目的となります。複合的な課題を解きほぐし、中長期的な視野に立脚した地域発展のシナリオと具体的な全体計画を策定し、それを担保する対応を築くことが重要です。

「都市開発」は、地域開発と異なり、都市に内在する様々な開発課題を適切にコントロールする、という視点に重点を置く特徴があります。そのため、「都市開発」では、集中し拡大する都市域(都市圏)を適切に管理し、経済効率の低下、サービスの低下、都市環境悪化といった負のインパクトを抑制してより健全な生活環境を維持、回復、創出することが主たる目的となります。

報告書の第二章では、このような視点から「要素」を抽出して中間目標(下図参照)を設定し、それら個々の項目に関する効果的なアプローチ手法を論じています。

開発課題体系図(都市・地域開発)(抜粋)
開発戦略目標1 地域開発
中間目標 中間目標のサブ目標
1-1 地域開発政策の策定(地域開発政策) 基礎資料の整備、地域開発戦略の策定
1-2 地域経済開発の促進(経済開発) 地元産業の振興、投資促進のための制度整備、経済活動を支えるインフラの整備
1-3 地域における基礎的生活分野の改善(社会開発) 必要不可欠な社会インフラの整備、コミュニティ・アプローチの強化
1-4 地域の環境保全と防災対策推進(環境保全と防災) 自然環境の保全と回復、大気汚染・水質汚濁などの生活公害・産業公害の防止、防災対策の推進
1-5 地域開発のキャパシティディベロップメント 地域開発の計画策定・実施体制の強化、地方分権への対応、地域間連携の強化、人材の育成
開発戦略目標2 都市開発
中間目標 中間目標のサブ目標
2-1 都市開発政策の策定 基礎資料の整備、総合的・長期的な都市開発政策の策定、多様な都市課題への対応、都市間連携の強化
2-2 土地利用計画の策定 適正土地利用への誘導、都心部問題の防止・解消
2-3 総合的都市インフラの整備 運輸・交通環境の改善、上下水道・下水道・衛生環境の改善、エネルギー環境の改善、情報通信環境の改善、その他都市に必要なインフラ環境の改善
2-4 居住環境の改善 既存市街地の居住環境改善、貧困地区居住環境の改善
2-5 都市の環境保全と防災力強化 環境負荷の低減、(緑地・水辺などの)都市アメニティの整備促進、都市防災力の強化
2-6 都市管理能力の強化 都市開発の計画・実施体制の確立・改善、基礎情報・資料の更新・普及、都市開発の多様な課題に対応した人材育成・技術力育成
出所:報告書より一部抜粋・加工

今後の効果的な都市・地域開発分野の協力に向けて
JICAが都市・地域開発分野への協力に取り組んでいくに際しての基本的な考え方として、報告書では「人間の安全保障の視点を踏まえた都市・地域開発の推進」、「投入のベストミックスの推進」、「他の国際協力との協調・連携の推進」、「将来像を具現化するためのシナリオづくり」をそれぞれ挙げ、このような考えに基づいた協力を進めることを提言しています。

また、特に重点的に取り組むべき課題として以下のようなものを挙げ、今後JICAがより効果的・効率的な協力を進めるための提言を打ち出しています。
  • 総合・包括的なアプローチの推進(1. 対象地域のニーズや課題に応じた構成要素の統合、2. 総合的な視点に基づく都市・地域開発、3. 開発と環境、経済発展と貧困など、相互にトレードオフ関係にある諸要素のバランスへの配慮)
  • キャパシティ・ディベロップメントの重視
  • 地域開発における「経済開発」、「社会開発」、「環境保全」の間のバランスの重視、地域格差の解消と地域住民の視点の両者を踏まえたバランスのとれた地域発展の推進
  • 都市開発における「土地利用の誘導・規制」、「都市インフラの整備」、「居住環境の改善」、「環境保全と防災」のバランスの重視、住宅や都市公共サービスといった都市特有の個別課題への対応