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調査研究
『事業マネジメントハンドブック』

【写真】報告書表紙

2007年12月発行


本ハンドブックは、JICAの技術協力事業におけるマネジメントの基本的な考え方をとりまとめたもので、職員等の執務参考資料用として作成されました。第I部はプロジェクトの前段階にあたる、協力戦略の策定とプログラム化、およびプロジェクトを統合的に運営していくための「プログラム・マネジメント」に焦点をあてて解説しています。第II部はプロジェクト・マネジメントの基本的な考え方と基本的ツールを紹介しています。

表紙、要約、はじめに(PDF/499KB)

第I部 協力戦略レベルの事業マネジメントのあり方
1章 協力戦略の必要性(PDF/208KB)
近年、個別問題に対応するプロジェクトの単独投入だけでは、目標は達成できても、上位目標達成や自立発展性につながらないことへの問題意識が高まってきています。このため複数のプロジェクトを一つのプログラムとして統合的にマネジメントする「プログラム・マネジメント」が注目されています。こうした、「プログラム・マネジメント」を行うためには、JICAの「協力戦略」、すなわち、途上国の開発政策・戦略、および日本政府の政策に沿って定める「重要かつ中長期的な協力目標とそれを達成するための適切な協力シナリオ」をまず最初に検討する必要があります。
2章 協力戦略の立案 その1(PDF/941KB) その2(PDF/936KB)
戦略立案には、現存の国家開発計画・戦略の理解のもとに「あるべき姿」の把握が必要です。それと同時に、「ありのままの姿」、すなわち現状の把握を的確に行うことが不可欠です。そのためには援助対象国の開発政策・戦略、セクター情報の見直し、現場の経験・データの収集などを行います。現状把握にあたっては、キャパシティ・アセスメントを行うことも有用です。具体的な協力シナリオの立案にあたっては、協力のエントリーポイントを検討し、現実可能なシナリオを策定します。JICAの強み・事業経験を生かしながら、他ドナーと協調または役割分担を明確化し、最適な各事業スキームを考えます。開発のプロセスの中ではリスク分析とオーナーシップの尊重も忘れてはなりません。
3章 協力プログラムのマネジメント(PDF/707KB)
JICAの国別の協力戦略としては、国別事業実施計画、それを具体化するポジションペーパー、協力プログラムがあります。協力プログラムでは、共通の協力目標・シナリオに沿って複数のJICAのプロジェクトを統合的に運用する必要があります。そのためにはまず、目標や指標、期間、予算概算額と構成する事業、リスクや制約、関係実施機関や連携機関、そしてローリングプランなどの情報からなるプログラム計画書を作成することで協力戦略を可視化し、プログラムの関係者と共有します。実施の段階では、刻々と変化する現実に即してリスクに対処し、プログラムやプロジェクトの内容を見直すことが重要であり、このため、モニタリング指標を定めて、継続的・定期的にモニタリングを行います。また、プログラムの実施にあたっては、関係者が多岐にわたるため、関係者間の連絡・調整を効果的、効率的に行うための体制の確立が不可欠になります。
プログラムの評価にあたっては、現在「貢献」の概念が用いられています。
第II部 プロジェクト・マネジメント
4章 プロジェクト・マネジメントの考え方(PDF/557KB)
プロジェクトの特徴は、「一定の成果」を「一定の期限内に」達成するという、「独自性」、「有期性」にあります。したがって、プロジェクト・マネジメントにあたっては、変化する状況や新たに分かったことに柔軟に対応すべく、適切な変更管理を行なうことが重要になります。
計画、実施、評価の各段階における留意事項は以下のとおりです。
計画策定の際には、キャパシティ・ディベロップメントの視点とプログラム的発想、的確な現状把握、PCM手法・PDMの有効性と限界を踏まえた適切な計画ツールの利用が重要なポイントになります。
実施段階では、継続的なモニタリングに基づく変更管理やリスク管理、また、コミュニケーション管理やステークホルダー管理が重要になります。
評価の段階では、評価5項目を用いて評価を行ないますが、評価の実施時期によって視点の捉え方が異なることに留意が必要です。また、評価結果をフィードバックする仕組みをあらかじめ考えておくことも大切です。
最後に、各段階に共通するマネジメント上の重要な留意事項として、相手国側のオーナーシップ、リーダーシップを高めるためのプロジェクト運営をあげておきたいと思います。
5章 プロジェクトの計画(PDF/634KB)
プロジェクトの計画において重要なポイントは現状把握です。的確な現状把握を踏まえてプロジェクトのデザインが行われる必要がありますが、JICAではプロジェクト・デザインの結果はPDMの形で取りまとめられています。
PDMを作成する際の手法としては、PCM手法が最も整合的な手法といえますが、PCM手法には「大胆な解決方法が出てきにくい」、「外部条件の洗い出しが不十分である」などの弱点もありますので、リスク分析を別途行なったり、適宜、KJ法、SWOTなどのツールや、システム思考などの考え方を補完的に用いることが重要です。
また、計画段階において、カウンターパート機関の選定や専門家の人選など、実施体制を慎重に検討することが大切です。
6章 プロジェクトの実施 その1(PDF/946KB) その2(PDF/771KB)
プロジェクト実施中の主要な留意点としては、以下の3点が挙げられます。
第1点目はツールの話です。実施段階のツールとしては、PDMだけでは十分とは言えません。WBS(Work Breakdown Structure)をもとに、計画活動表(PO)を別途作成するなどして、スケジュール管理、コスト管理、人員管理を適切に行う必要があります。
2点目は、プロジェクト実施体制の維持管理の話です。プロジェクト実施体制管理のためには、コミュニケーション管理やステークホルダー管理を適切に行うことが必要です。
3点目は、モニタリングと変更管理です。モニタリングには、進捗モニタリング、達成度モニタリング、リスク・モニタリングがあり、それぞれのモニタリングごとに関係者間の役割分担を事前に定める必要があります。また、モニタリングの結果に基づく変更管理についても、その手順や役割分担を事前に明確化する必要があります。プロジェクトの見直しのタイミングとしては、原則として、中間評価時および運営指導調査時になります。
7章 プロジェクト評価(PDF/148KB)
終了時評価では、プロジェクトの現状・実績に基づいて、「妥当性」、「有効性」、「効率性」を検証するとともに、「インパクト」、「自立発展性」についても、それまでの実績、活動状況に基づいて、今後の動向や可能性について検証します。また、プロジェクトの評価では、評価5項目による価値判断に先立ち、プロジェクトの現状の把握と分析のために、「実績」、「実施プロセス」、「因果関係」の3つを検証することになっています。3つの視点のうち、「実施プロセス」については、プロジェクトの改善・見直しや今後の教訓の観点から、十分に検証・分析し、プロジェクトの進捗モニタリングやプロセスに関わる情報の把握・記録化をはかっていく必要があります。
参考資料1:現状分析のためのツール・思考法(PDF/640KB)
参考資料2:協力プログラム事例紹介 その1(PDF/942KB) その2(PDF/987KB) その3(PDF/872KB) その4(PDF/523KB)
参考資料3:PCM手法の考え方(PDF/420KB)
参考資料4:プロジェクト計画のツール(PDF/341KB)
参考資料5:リスク管理(PDF/402KB)
参考資料6:プロジェクト実施管理のツール その1(PDF/863KB) その2(PDF/861KB)
参考文献(PDF/243KB)