JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.1 Conflict and Land Tenure in Rwanda

紛争はしばしば大量の難民の流出入を引き起こす。帰還した難民にどのように土地を配分するかは、政治的に大きな問題となる。本稿では、ルワンダ内戦による土地所有の変化とその背景について、フィールドワークで得られたデータに基づき分析した。ルワンダでは、1994年の内戦と虐殺に伴い、大量の難民の流出入があった。内戦に勝利した「ルワンダ愛国戦線」(RPF)は、1962年の独立前後に流出した難民の第二世代を中核とし、そのエスニック集団は主に少数派のトゥチであった。RPFが政権を樹立すると、旧政権の政治指導者は多数派エスニック集団フトゥの一般市民を引き連れ、周辺国に逃れた。入れ替わりに、RPFと同じ政治的背景を持つ、大量のトゥチ難民がルワンダに帰還した。帰還したトゥチ難民の多くは、難民となって逃れたフトゥ農民の所有地を利用し、生活を始めた。フトゥ難民の多くは1996~97年に帰還したが、政府当局はその時、1994年以来彼らの所有地を使用しているトゥチ帰還民との間で土地を折半し、半分を移譲させた。内戦後のルワンダで、トゥチ帰還民に対する土地分配に極めてラジカルな政策がとられた理由として、RPFが武力で内戦に勝利したこと、そしてトゥチ帰還民がRPFと同じ政治的背景を持つことが指摘できる。今日まで、RPFが主導する政権は安定しており、土地分割に対する目立った抵抗運動は生じていない。しかし、土地分割を余儀なくされた住民に不満がないとは考えにくく、トゥチ難民が新たに獲得した土地の所有権はRPF政権の安定性によって政治的に担保されているに過ぎない。ルワンダの歴史を振り返ると、政治権力による土地所有への介入が繰り返され、時に紛争に結びついてきた。土地所有権が安定するためには、民衆が政権の正当性を認めることが不可欠であり、それを促す政策が必要である。

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