チリのサケ産業の発展を振り返る『Chile’s Salmon Industry』の出版記念セミナーを現地で開催

2017年5月18日

チリのサケ加工工場
チリのサケ加工工場

いまやサケの輸出大国となったチリ。約半世紀に及ぶサケ産業の発展の歴史と日本の協力の軌跡を振り返り、今後の発展に向けた教訓・提言をまとめた書籍『Chile’s Salmon Industry: Policy Challenges in Managing Public Goods』(英文)が2016年5月、Springer Japan社から発刊されました。この出版を記念し、JICA研究所は2017年4月、セミナー「持続可能な養殖開発を目指して」をチリの首都サンティアゴと、サケ養殖業が盛んなチリ南部のプエルモントで開催しました。セミナーには、産官学の関係者が多数参加し、チリのサケ産業が抱える現在の課題に関する報告も行われました。

4月25日に、サンティアゴのチリ大学で開かれたセミナーは、日本・チリ修好120周年記念事業の一環として開催され、平石好伸在チリ日本大使や産官学のチリのサケ養殖業関係者が約50人参加しました。

サンティアゴでのセミナー
サンティアゴでのセミナー

編者であるJICA研究所の細野昭雄シニア・リサーチ・アドバイザー(SRA)や国連大学マーストリヒト技術革新・経済社会研究所の飯塚倫子研究員、チリ大学経済学部のホルヘ・カッツ教授が書籍の内容を発表し、細野SRAは「チリのサケ産業の発展に必要だった技術・知識・人材の育成に日本の技術協力プロジェクトが貢献することができた」と話しました。

さらに、約30年前の技術協力プロジェクトに魚病専門家として赴任した全国水産技術者協会の原武史理事長が当時の様子を紹介し、東京海洋大学の佐野元彦教授が日本における養殖業のあり方と赤潮被害対策の事例を紹介しました。

チリでは立場の異なる養殖事業の関係者が一堂に会する機会が少ないなか、今回は産業界からチリ財団やチリサケマス協会、実際に養殖業を営んでいる民間企業、政府から水産庁、経済省、産業開発公社、学界からチリ大学などが参加。チリのサケ産業が現在直面している赤潮被害などへの有効な対策の実施やサケ産業のさらなる発展のために、お互いの一層の協力の必要性をあらためて認識する貴重な場になりました。

プエルモントでのセミナーで発表する細野SRA(左)
プエルモントでのセミナーで発表する細野SRA(左)

4月28日にプエルモントで開催したセミナーも、養殖が盛んな地域のため、Aqua Chile社をはじめとする養殖業関係者を中心に約50人が参加しました。当時の技術協力プロジェクトのカウンターパートであり、その後もAqua Chile社を立ち上げてチリのサケ養殖産業をけん引するパブロ・アギレラ氏やマリオ・プッチ氏らが出席し、原氏と28年ぶりの再会を果たすなど、日本とチリの長年の絆を改めて示すものとなりました。

今回のセミナーについて、細野SRAは「チリと日本のサケ養殖産業にかかわる産官学の関係者が一堂に会し、書籍の内容とともに、チリ養殖産業の課題や今後の展望について、率直な意見交換を行うことができ、非常に有意義だった。チリが現在直面している赤潮の問題や環境問題に関連する日本の経験を講演したことも非常に時期を得たもので、注目された」と話しています。

関連リンク (JICA広報室 セミナー・シンポジウム報告)