○技術協力及び青年海外協力隊の事業に関する日本国政府と東ティモール民主共和国政府との間の協定
(平成18年5月11日外務省告示第269号) |
|
日本国政府及び東ティモール民主共和国政府は、両国間に存在する友好関係を東ティモール民主共和国における技術協力及び青年海外協力隊の活動の促進により一層強化することを希望し、また、両国の経済的及び社会的発展の促進によりもたらされる相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
第1条 両政府は、両国間の技術協力及び青年海外協力隊の事業を促進するよう努力する。
第2条 両政府は、この協定に基づき、両政府間で合意する個別の技術協力計画を実施するための別途の取極を文書により行う。
第3条
1 | 次の形態による技術協力が、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)により、日本国の現行法令に従い、かつ、前条に規定する取極に基づき、自己負担で行われることになる。 | |
(a) | 技術訓練を東ティモール国民に提供すること。 | |
(b) | 専門家を東ティモール民主共和国に派遣すること(以下、派遣された専門家を「専門家」という。)。 | |
(c) | 幅広い技術と豊かな経験を有する日本人ボランティア(以下「シニア海外ボランティア」という。)を東ティモール民主共和国に派遣すること。 | |
(d) | 東ティモール民主共和国の経済及び社会開発計画の調査を行うため、日本国の調査団(以下「調査団」という。)を東ティモール民主共和国に派遣すること。 | |
(e) | 設備、機械及び資材を東ティモール民主共和国政府に供与すること。 | |
(f) | 両政府間で相互に合意するその他の形態の技術協力を東ティモール民主共和国政府に対して行うこと。 | |
2 | 青年海外協力隊の隊員(以下「協力隊員」という。)が、JICAにより、日本国の現行法令に従い、かつ、両政府の権限のある当局間で合意する別途の派遣計画に基づいて派遣されることになる。また、協力隊員の任務の遂行に必要な設備、機械及び資材が、JICAにより、その使用に供されることになる。 |
第4条 東ティモール民主共和国政府は、前条に規定する日本国の技術協力及び青年海外協力隊の事業が東ティモール民主共和国の経済的及び社会的発展のためのみに活用され、かつ、軍事目的に利用されないことを確保する。
第5条 JICAが専門家、シニア海外ボランティア、調査団及び協力隊員を派遣する場合には、東ティモール民主共和国政府は、自己の負担で次の措置をとる。
(a) | 専門家、シニア海外ボランティア、調査団及び協力隊員の任務の遂行に必要な適当な事務所その他の施設(電話及びファクシミリの役務を含む。)を提供し、かつ、それらの運営費及び維持費を負担すること。 | |
(b) | 専門家、シニア海外ボランティア及び調査団の任務の遂行に必要な現地要員(必要な場合には、適当な通訳を含む。)並びに専門家、シニア海外ボランティア及び調査団の相手方となる当該任務の遂行に必要な東ティモール人の要員を提供すること。 | |
(c) | 現地の条件及び東ティモール民主共和国政府の権限のある当局の財政事情が許す限り、専門家及びシニア海外ボランティアに係る次の諸経費を負担すること。 | |
(i) | 通勤費 | |
(ii) | 東ティモール民主共和国内の公用出張旅費 | |
(iii) | 公用通信費 | |
(d) | 専門家及びシニア海外ボランティア並びにそれらの家族並びに協力隊員に対し、適当な住宅の確保につき便宜を提供すること。 | |
(e) | 専門家及びシニア海外ボランティア並びにそれらの家族、調査団の構成員並びに協力隊員に対し、医療上の便宜を提供すること。 |
第6条
1(1) | 東ティモール民主共和国政府は、次の措置をとる。 | ||
(a) | 専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員及び協力隊員に対し、国外から送金される給与及び手当に対して又はこれらの給与及び手当に関連して課される所得税を含む租税及び課徴金を免除すること。 | ||
(b) | 専門家及びシニア海外ボランティア並びにそれらの家族、調査団の構成員並びに協力隊員に対し、次のものの輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。 | ||
(i) | 携帯荷物 | ||
(ii) | 身回品、家財及び消費財 | ||
(iii) | 東ティモール民主共和国に派遣される専門家1名につき1台及びシニア海外ボランティア1名につき1台の自動車 | ||
(c) | 東ティモール民主共和国に自動車を輸入しない専門家、シニア海外ボランティア及び協力隊員に対し、当該専門家、シニア海外ボランティア及び協力隊員が自動車を現地購入する場合には、専門家1名につき1台、シニア海外ボランティア1名につき1台及び協力隊員1名につき1台の自動車に対して課される付加価値税を含む租税及び課徴金を免除すること。 | ||
(d) | 専門家、シニア海外ボランティア及び協力隊員に対し、(b)(iii)及び(c)に規定する自動車の登録料を免除すること。 | ||
(2) | (1)に規定する自動車が、その後東ティモール民主共和国内において、租税(関税を含む。)の免除又は同様の特権を有しない個人又は団体に売却され又は譲渡される場合には、当該自動車に係るそれらの租税(関税を含む。)は支払わなければならない。 | ||
2 | 東ティモール民主共和国政府は、次の措置をとる。 | ||
(a) | 専門家及びシニア海外ボランティア並びにそれらの家族、調査団の構成員並びに協力隊員に対し、その任期中、東ティモール民主共和国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することを許可し、外国人登録要件に係る手続に関し便宜を与え、並びに領事手数料を免除すること。 | ||
(b) | 専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員及び協力隊員の任務の遂行に必要なすべての政府機関の協力を確保するために、専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員及び協力隊員に対し、身分証明書を交付すること。 | ||
(c) | 自動車運転免許証を保有する専門家及びシニア海外ボランティア並びにそれらの家族並びに協力隊員に対し、東ティモール民主共和国における自動車運転免許証の取得のための便宜を与えること。 | ||
(d) | 専門家、シニア海外ボランティア、調査団及び協力隊員の任務の遂行に必要なその他の措置をとること。 | ||
(e) | 協力隊員の任務の遂行に必要な無線通信機の設置及び使用を許可すること。 | ||
3 | 東ティモール民主共和国政府は、専門家及びシニア海外ボランティア並びにそれらの家族、調査団の構成員並びに協力隊員に対し、東ティモール民主共和国において同様の任務を遂行しているいかなる第三国又は国際機関の専門家及びシニア海外ボランティア並びにそれらの家族、調査団の構成員並びに協力隊員に類するボランティアに与えられているものよりも不利でない特権、免除及び便宜を与える。 |
第7条 東ティモール民主共和国政府は、専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員及び協力隊員の任務の遂行に起因し、その任務の遂行中に発生し、又はその任務の遂行に関連する当該専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員及び協力隊員に対する請求について責任を負う。ただし、そのような請求が専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員又は協力隊員の重大な過失又は故意から生じたことについて両政府が合意する場合には、この限りでない。
第8条
1(1) | JICAが東ティモール民主共和国政府に設備、機械及び資材を供与する場合には、東ティモール民主共和国政府は、それらの設備、機械及び資材の輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除する。これらの設備、機械及び資材は、陸揚港において保険料及び運賃込みの条件で東ティモール民主共和国政府の権限のある当局に引き渡された時に東ティモール民主共和国政府の財産となる。 |
(2) | JICAが東ティモール民主共和国政府に設備、機械及び資材を供与する場合には、東ティモール民主共和国政府は、それらの設備、機械及び資材の現地購入に関し、付加価値税を含む租税及び課徴金を免除する。 |
(3) | (1)及び(2)に規定する設備、機械及び資材は、別途の合意がない限り、第2条に規定する取極に定める目的のために使用される。 |
(4) | (1)及び(2)に規定する設備、機械及び資材の東ティモール民主共和国内における輸送のための費用並びにそれらの交換、維持及び修理のための費用は、東ティモール民主共和国政府が負担する。 |
2(1) | 専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員及び協力隊員の任務の遂行に必要な設備、機械及び資材であってJICAが用意するものは、別途の合意がない限り、JICAの財産である。 |
(2) | 東ティモール民主共和国政府は、専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員及び協力隊員に対し、(1)に規定する設備、機械及び資材の輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除する。 |
(3) | 東ティモール民主共和国政府は、専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員及び協力隊員に対し、(1)に規定する設備、機械及び資材の現地購入に関し、付加価値税を含む租税及び課徴金を免除する。 |
[第2条]
第9条 専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員及び協力隊員は、東ティモール民主共和国政府が指定する機関を通じ、同政府と緊密に連絡を保つものとする。
第10条
1 | 東ティモール民主共和国政府は、JICAが東ティモール民主共和国においてJICAの海外事務所(以下「事務所」という。)を開設し及び維持することを認め、また、日本国から派遣されてこの協定に基づく技術協力計画及び青年海外協力隊の事業に関連してJICAにより与えられる任務を東ティモール民主共和国において遂行する駐在員及び職員(以下「駐在員等」という。)並びにシニア海外ボランティア及び協力隊の調整員(以下「調整員」という。)を受け入れる。 | |||
2 | 東ティモール民主共和国政府は、駐在員等及びその家族、調整員及びその家族並びに事務所に対し、次の特権、免除及び便宜を与える。 | |||
(1) | 駐在員等及びその家族並びに調整員及びその家族については、 | |||
(a) | 駐在員等及び調整員に対し、国外から送金される給与及び手当に対して又はこれらの給与及び手当に関連して課される所得税を含む租税及び課徴金を免除すること。 | |||
(b) | 次のものの輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入に対する制限を免除すること。 | |||
(i) | 携帯荷物 | |||
(ii) | 身回品、家財及び消費財 | |||
(iii) | 東ティモール民主共和国に派遣される駐在員等1名につき1台及び調整員1名につき1台の自動車 | |||
(c) | 東ティモール民主共和国に自動車を輸入しない駐在員等及び調整員に対し、当該駐在員等及び調整員が自動車を現地購入する場合には、駐在員等1名につき1台及び調整員1名につき1台の自動車に対して課される付加価値税を含む租税及び課徴金を免除すること。 | |||
(d) | (b)(iii)に規定する自動車の登録料を免除すること。 | |||
(e) | その任期中、東ティモール民主共和国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することを許可し、外国人登録要件に係る手続に関し便宜を与え、並びに領事手数料を免除すること。 | |||
(f) | 駐在員等及び調整員に対し、身分証明書並びに専門家、シニア海外ボランティア、調査団の構成員及び協力隊員を送迎するために空港及び海港に出入国手続地点を越えて入るための特別通行証を、第11条を考慮して発行すること。 | |||
(g) | 自動車運転免許証を保有する駐在員等及びその家族並びに調整員及びその家族に対し、東ティモール民主共和国における自動車運転免許証の取得のための便宜を与えること。 | |||
(h) | 調整員の任務の遂行に必要な無線通信機の設置及び使用を許可すること。 | |||
(i) | 駐在員等及び調整員の任務の遂行に必要なその他の措置をとること。 | |||
(2) | 事務所については、 | |||
(a) | 事務所の活動に必要な設備、機械、自動車及び資材の輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。 | |||
(b) | 事務所の任務に必要な設備、機械、自動車及び資材の現地購入に関し、付加価値税を含む租税及び課徴金を免除すること。 | |||
(c) | 事務所の経費であって国外から送金されるものに対して又はこれに関連して課される所得税を含む租税及び課徴金を免除すること。 | |||
3 | 2に規定する自動車が、その後東ティモール民主共和国内において、租税(関税を含む。)の免除又は同様の特権を有しない個人又は団体に売却され又は譲渡される場合には、当該自動車に係るそれらの租税(関税を含む。)は支払われなければならない。 | |||
4 | 東ティモール民主共和国政府は、駐在員等及びその家族、調整員及びその家族並びに事務所に対し、東ティモール民主共和国において同様の任務を遂行しているいかなる第三国又は国際機関の駐在員等及びその家族、調整員及びその家族並びに事務所に与えられているものよりも不利でない特権、免除及び便宜を与える。 |
[第11条]
第11条 東ティモール民主共和国政府は、東ティモール民主共和国に滞在する専門家及びその家族、シニア海外ボランティア及びその家族、調査団の構成員、協力隊員、駐在員等及びその家族並びに調整員及びその家族の安全を確保するために必要な措置をとる。
第12条 日本国政府及び東ティモール民主共和国政府は、この協定から又はそれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。
第13条
1 | この協定の規定は、この協定が効力を生ずる前から両政府間で実施されている個別の技術協力計画にも適用され、また、当該計画を実施するために東ティモール民主共和国に滞在中の専門家及びその家族、シニア海外ボランティア及びその家族、調査団の構成員、駐在員等及びその家族、調整員及びその家族、協力隊員並びに当該計画に関連する設備、機械及び資材にも適用される。 |
2 | この協定の終了は、両政府間が明示的に別途の合意をしない限り、実施中の個別の技術協力計画が完了する日までの間当該計画に影響を与えるものではなく、また、当該計画に関連する任務を遂行するために東ティモール民主共和国に滞在中の専門家及びその家族、シニア海外ボランティア及びその家族、調査団の構成員、駐在員等及びその家族、調整員及びその家族並びに協力隊員に対して与えられる特権、免除及び便宜に影響を与えるものではない。 |
第14条
1 | この協定は、日本国政府が東ティモール民主共和国政府からこの協定の効力発生のために必要な国内手続を完了した旨の書面による通告を受領した日に効力を生ずる。 |
2 | この協定は、1年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対し少なくとも6箇月の予告をもって協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、毎年自動的に1年ずつ更新される。 |
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。 | |
2005年1月25日にディリで、英語により本書2通を作成した。 | |
日本国政府のために | 東ティモール民主共和国政府のために |
旭英昭 | オリンピオ・ミランダ・ブランコ |