○技術協力に関する日本国政府とジョルダン・ハシェミット王国政府との間の協定
(昭和60年11月7日外務省告示第359号) |
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日本国政府及びジョルダン・ハシェミット王国政府は、技術協力の促進により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、また、両国の経済的及び社会的発展を促進することがもたらす相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
第1条 両政府は、両国間の技術協力を促進するよう努力する。
第2条 両政府は、この協定に基づき、両政府の間で合意する個別の技術協力計画を実施するための別途の取極を文書により行う。
第3条 日本国政府は、日本国の現行法令に従い、かつ、前条にいう取極に基づき、自己の負担で次の形態による技術協力を行う。
(a) | 日本国における技術訓練のためにジョルダン国民を受け入れること。 |
(b) | 日本国の専門家(以下「専門家」という。)をジョルダン・ハシェミット王国に派遣すること。 |
(c) | ジョルダン・ハシェミット王国の経済及び社会開発計画の調査を行うため、日本の調査団(以下「調査団」という。)をジョルダン・ハシェミット王国に派遣すること。 |
(d) | 設備、機械及び資材をジョルダン・ハシェミット王国政府に供与すること。 |
(e) | 両政府間で相互に合意することのあるその他の形態の技術協力をジョルダン・ハシェミット王国政府に対して行うこと。 |
第4条 日本国政府が専門家及び調査団を派遣する場合には、ジョルダン・ハシェミット王国政府は、自己の負担で次の措置をとる。
(a) | 専門家及び調査団の任務遂行に必要な事務所その他の施設を提供すること。 | |
(b) | 専門家及び調査団の任務遂行に必要な現地要員(専門家及び調査団の相手方となるジョルダン人要員及び、必要な場合には、適当な通訳を含む。)を提供すること。 | |
(c) | 専門家に係る次の諸経費を負担すること。 | |
(i) | 通勤費 | |
(ii) | ジョルダン・ハシェミット王国内の公用出張旅費 | |
(iii) | 公用通信費 | |
(d) | 現地の条件及びジョルダンの関係当局の財政事情が許す限り専門家に対し住居を提供すること。 | |
(e) | 現地の条件及びジョルダンの関係当局の財政事情が許す限り専門家及び調査団の構成員に対し医療上の便宜を与えること。 |
第5条
1(1) | ジョルダン・ハシェミット王国政府は、次のことを行う。 | ||
(a) | 専門家及び調査団の構成員につき、海外から送金される給与及び手当に対し、又はこれらに関連して課される所得税その他の財政課徴金を免除すること。 | ||
(b) | 専門家及びその家族並びに調査団の構成員につき、次のものの輸入に関し、領事手数料、関税、内国税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得義務を免除すること。 | ||
(i) | 身回品及び家財 | ||
(ii) | ジョルダン・ハシェミット王国に派遣される専門家一名につき自動車1台 | ||
(2) | 前記の物品及び自動車については、それらがその後ジョルダン・ハシェミット王国内において、関税その他の租税の免除又は同様の特権を有しない個人又は団体に売却又は譲渡される場合には、当該関税その他の租税が支払われなければならない。 | ||
2 | ジョルダン・ハシェミット王国政府は、次の措置をとる。 | ||
(a) | 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し、その任期中、ジョルダン・ハシェミット王国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することを許可し、外国人登録義務手続のための便宜を与え、並びに領事手数料を免除すること。 | ||
(b) | 専門家及び調査団による任務の遂行に必要とされるすべての政府機関の協力を確保するために、専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し身分証明書を交付すること。 | ||
(c) | 専門家に対し自動車の運転免許証の取得のための便宜を与えること。 | ||
(d) | 専門家及びその家族に対し居住許可書を交付すること。 |
第6条 ジョルダン・ハシェミット王国政府は、専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し、ジョルダン・ハシェミット王国において同様の任務を遂行している第三国又は国際機関の専門家及びその家族並びに調査団の構成員に与えられているものより不利でない特権、免除及び便宜を与える。
第7条 ジョルダン・ハシェミット王国政府は、専門家及び調査団の構成員による任務の遂行に起因し、当該任務の遂行中に発生し、又はその他当該任務の遂行に関連して専門家及び調査団の構成員に対する請求が生じた場合には、当該請求に関する責任を負う。ただし、両政府がその請求が専門家又は調査団の構成員の重大なる過失又は故意から生じたことにつき合意する場合は、この限りではない。
第8条
1 | 日本国政府がジョルダン・ハシェミット王国政府に設備、機械及び資材を供与する場合、これらのものは、陸揚港においてc・i・f建てでジョルダン・ハシェミット王国政府の関係当局に引き渡された時にジョルダン・ハシェミット王国政府の財産となる。これらの設備、機械及び資材は、別途の合意がない限り供与された目的のために使用される。 |
2 | ジョルダン・ハシェミット王国政府は、1にいう設備、機械及び資材に関して、領事手数料、関税、内国税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得義務を免除する。 |
3 | 1にいう設備、機械及び資材のジョルダン・ハシェミット王国内における輸送のための費用並びにこれらの補充のための費用は、ジョルダン・ハシェミット王国政府が負担する。 |
4 | 専門家及び調査団の構成員がその任務を遂行するために携行する設備、機械及び資材は、別途の合意がない限り日本国政府の財産である。 |
専門家及び調査団の構成員は、設備・機械及び資材の輸入に関し、これらの設備、機械及び資材に対してジョルダン・ハシェミット王国において課される領事手数料、関税、内国税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得義務を免除される。 |
第9条 専門家及び調査団の構成員は、ジョルダン・ハシェミット王国政府が指定する機関を通じ、同政府と緊密に連絡を保つものとする。
第10条
1 | ジョルダン・ハシェミット王国政府は、日本国政府による技術協力の実施機関である国際協力事業団(以下「JICA」という。)が、ジョルダン・ハシェミット王国においてJICAの海外事務所を設置することを認め、また、この協定に基づく技術協力計画に関連してJICAにより与えられる任務をジョルダン・ハシェミット王国において遂行する日本国から派遣されるJICAの駐在員及び職員(以下「駐在員等」という。)を受け入れる。 | ||
2 | ジョルダン・ハシェミット王国政府は、ジョルダン・ハシェミット王国における駐在員等及びその家族並びにJICAの海外事務所に対し、以下の特権、免除及び便宜を与える。 | ||
(1) | 駐在員等及びその家族に対し | ||
(a) | 第5条、第6条及び第8条4に基づき専門家及びその家族並びに調査団の構成員に与えられる特権、免除及び便宜と同様の特権、免除及び便宜 | ||
(b) | 任務の遂行のための経費であって海外から送金されるものに対し又はこれに関連して課される所得税その他の財政課徴金の免除 | ||
(2) | JICA海外事務所に対し | ||
(a) | 事務所の備品並びに事務所の活動に必要なテレックス装置及び自動車(その台数は、両政府間で別途合意しない限り2台とする。〔1993年5月29日付口上書にて3台とすることを合意〕)を含むその他の物品の輸入に対し、又はこれらに関連して課される関税及びその他の課徴金の免除 | ||
(b) | 事務所の経費であって海外から送金されるものに対し又はこれに関連して課される所得税その他の課徴金の免除 |
第11条 日本国政府及びジョルダン・ハシェミット王国政府は、この協定から又はそれに関連して生ずることがあるいかなる事項についても相互に協議する。
第12条
1 | この協定の規定は、この協定が効力を生ずる前に両政府間で実施されている個別の技術協力計画にも適用され、また、当該計画を実施するためにジョルダン・ハシェミット王国に滞在中の専門家及びその家族、調査団の構成員、駐在員等及びその家族並びに当該計画を実施するためにジョルダン・ハシェミット王国に持ち込まれた設備、機械及び資材にも適用される。 |
2 | この協定の終了は、両政府が明示的に別途の合意をしない限り、実施中の個別の技術協力計画の完了の日まで当該計画に影響を与えるものではなく、また、当該計画に関する任務を遂行するためにジョルダン・ハシェミット王国に滞在中の専門家及びその家族、調査団の構成員並びに駐在員等及びその家族に与えられる特権、免除及び便宜に影響を与えるものではない。 |
第13条
1 | この協定は、署名の日に効力を生ずる。 |
2 | この協定は、1年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対し少なくとも6箇月の予告をもって協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、毎年自動的に1年ずつ更新される。 |
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。 |
1985年7月16日にアンマンで、英語により本書2通を作成した。 |
日本国政府のために |
安部晋太郎 |
ジョルダン・ハシェミット王国政府のために |
A・ヌスール |