○技術協力に関する日本国政府とシリア・アラブ共和国政府との間の協定
(昭和62年4月17日外務省告示第194号) |
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昭和60年7月18日にダマスカスで、技術協力に関する日本国政府とシリア・アラブ共和国政府との間の協定の署名が行われ、この協定は、昭和62年1月29日に効力を生じた。
技術協力に関する日本国政府とシリア・アラブ共和国政府との間の協定
日本国政府及びシリア・アラブ共和国政府は、技術協力の促進により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、また、両国の経済的及び社会的発展を促進することがもたらす相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
技術協力に関する日本国政府とシリア・アラブ共和国政府との間の協定
日本国政府及びシリア・アラブ共和国政府は、技術協力の促進により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、また、両国の経済的及び社会的発展を促進することがもたらす相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
第1条 両政府は、両国間の技術協力を促進するよう努力する。
第2条 両政府は、この協定に基づき、両政府の間で合意する個別の技術協力計画を実施するための別途の取極を文書により行う。
第3条 日本国政府は、日本国の現行法令に従い、かつ、前条にいう取極に基づき、自己の負担で次の形態による技術協力を行う。
(a) | 日本国における技術訓練のためにシリア国民を受け入れること。 |
(b) | 日本国の専門家(以下「専門家」という。)をシリア・アラブ共和国に派遣すること。 |
(c) | シリア・アラブ共和国の経済及び社会開発計画の調査を行うため、日本の調査団(以下「調査団」という。)をシリア・アラブ共和国に派遣すること。 |
(d) | 設備、機械及び資材をシリア・アラブ共和国政府に供与すること。 |
(e) | 両政府間で相互に合意することのあるその他の形態の技術協力をシリア・アラブ共和国政府に対し行うこと。 |
第4条 日本国政府が専門家を派遣する場合には、シリア・アラブ共和国政府は、自己の負担で次の措置をとる。
(a) | 専門家の任務遂行に必要な事務所その他の施設を提供すること。 | |
(b) | 専門家の任務遂行に必要な現地要員(専門家の相手方となるシリア人要員及び必要な場合には、適当な通訳を含む。)を提供すること。 | |
(c) | 専門家に係る次の諸経費を負担すること。 | |
(i) | 通勤費 | |
(ii) | シリア・アラブ共和国内の公用出張旅費 | |
(iii) | 公用通信費 | |
(d) | 事情が許す限りの適当な住居又は住居手当を提供し、及び国立医療機関における医療上の便宜を与えること。 |
第5条
1(1) | シリア・アラブ共和国政府は、次のことを行う。 | ||
(a) | 専門家及び調査団の構成員につき、海外から送金される給与及び手当に関し、シリア・アラブ共和国の法令に基づき納付すべきものとされている所得税その他の財政課徴金を免除すること。 | ||
(b) | 専門家及びその家族につき、その最初の到着後6箇月以内に行う次のものの輸入に関し、シリア・アラブ共和国の法令に基づき納付すべきものとされている領事手数料、関税、内国税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得義務を免除すること。 | ||
(i) | シリア・アラブ共和国に派遣される専門家1名につき自動車1台 | ||
(ii) | 身回品及び家財。ただしこれらの種類及び数量は、両政府の関係当局間で合意する。 | ||
(2) | 前記の物品及び自動車は、シリア・アラブ共和国の現行法令に従って、売却、譲渡又は輸出することができる。 | ||
2 | シリア・アラブ共和国政府は、次の措置をとる。 | ||
(a) | 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し、その任期中、シリア・アラブ共和国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することを許可し、かつ、領事手数料を免除すること。 | ||
(b) | 専門家による任務の遂行を容易にするために、専門家及びその家族に対し身分証明書を交付すること。 |
第6条 シリア・アラブ共和国政府は、専門家及び調査団の構成員による任務の遂行に起因し、当該任務の遂行中に発生し、又はその他当該任務の遂行に関連して専門家及び調査団の構成員に対する請求が生じた場合には、当該請求に関する責任を負う。
シリア・アラブ共和国政府は、そのような請求が専門家又は調査団の構成員の故意から生じた場合に限り、当該専門家又は調査団の構成員にその責任を負わせることができる。
第7条
1 | 日本国政府がシリア・アラブ共和国政府に設備、機械及び資材を供与する場合、これらのものは、陸揚港においてc・i・f建てでシリア・アラブ共和国政府の関係当局に引き渡された時にシリア・アラブ共和国政府の財産となる。これらの設備、機械及び資材は、別途の合意がない限り供与された目的のために使用される。 |
2 | シリア・アラブ共和国政府は、1にいう設備、機械及び資材に関して、領事手数料、関税、内国税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得義務を免除する。 |
3 | 1にいう設備、機械及び資材のシリア・アラブ共和国内における輸送のための費用並びにこれらの補充のための費用は、シリア・アラブ共和国政府が負担する。 |
4 | 専門家及び調査団の構成員がその任務を遂行するために携行する設備、機械及び資材は、別途の合意がない限り日本国政府の財産である。 |
専門家及び調査団の構成員は、設備、機械及び資材の輸入に関し、これらの設備、機械及び資材に対してシリア・アラブ共和国において課される領事手数料、関税、内国税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得義務を免除される。ただし、これらの設備、機械及び資材がシリア・アラブ共和国に最初に到着した時にシリア・アラブ共和国政府の関係当局に登録されることを条件とする。 |
第8条 専門家及び調査団の構成員は、シリア・アラブ共和国政府が指定する機関を通じ、同政府と緊密に連絡を保つものとする。
第9条
1 | シリア・アラブ共和国政府は、日本国政府による技術協力の実施機関である国際協力事業団(以下「JICA」という。)の駐在員及び職員(以下「駐在員等」という。)が、この協定に基づく技術協力計画の実施に関連して、JICAにより与えられる任務をシリア・アラブ共和国において遂行することに同意する。任命される職員の数は、両政府の関係当局間で合意される。 |
2 | 駐在員等及びその家族は、第5条及び第7条4に従って専門家及びその家族に与えられる特権、免除及び便宜と同様の特権、免除及び便宜を享受する。ただし、これらの者がシリア・アラブ共和国の国民又は永住者である場合は、この限りでない。 |
3 | 駐在員等は、任務の遂行のためにシリア・アラブ共和国に持ち込む設備、機械、自動車及び資材(これらの種類及び数量は、両政府の関係当局間で合意する。)に関し、シリア・アラブ共和国において課される領事手数料、関税、内国税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得義務を免除される。 |
4 | 駐在員等は、任務の遂行のための経費であって海外から送金されるものに対し又はこれに関連して課される所得税その他の財政課徴金を免除される。 |
第10条 日本国政府及びシリア・アラブ共和国政府は、この協定から又はそれに関連して生ずることがあるいかなる事項についても相互に協議する。
第11条
1 | この協定の規定は、この協定が効力を生ずる前に両政府間で実施されている個別の技術協力計画にも適用され、また、当該計画を実施するためにシリア・アラブ共和国に滞在中の専門家及びその家族、調査団の構成員、駐在員等及びその家族並びに当該計画を実施するためにシリア・アラブ共和国に持ち込まれた設備、機械、自動車及び資材にも適用される。 |
2 | この協定の終了は、両政府が明示的に別途の合意をしない限り、実施中の個別の技術協力計画の完了の日まで当該計画に影響を与えるものではなく、また、当該計画に関する任務を遂行するためにシリア・アラブ共和国に滞在中の専門家及びその家族、調査団の構成員並びに駐在員等及びその家族に与えられる特権、免除及び便宜に影響を与えるものではない。 |
第12条
1 | この協定は、日本国政府がシリア・アラブ共和国政府からこの協定の効力発生のための憲法上の手続を了した旨の文書による通告を受領した日の効力を生ずる。 |
2 | この協定は、1年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対し少なくとも6箇月の予告をもって協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、毎年自動的に1年ずつ更新される。 |
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。 |
1985年7月18日にダマスカスで、英語により本書2通を作成した。 |
日本国政府のために |
安倍晋太郎 |
シリア・アラブ共和国政府のために |
サバーハ・ボクジェジー |