○独立行政法人国際協力機構有償資金協力勘定に関する償却・引当規程
(平成20年10月1日規程(情)第53号) |
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(目的)
第1条 この規程は、独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)の有償資金協力勘定に関する償却・引当(以下「償却・引当」という。)に係る必要事項を定めることを通じて、有償資金協力勘定の資産の健全性を確保することを目的とする。
(定義)
第2条 この規程における用語の定義は、この規程において特に定めるもの及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力勘定資産自己査定規程(平成20年規程(情)第52号。以下「資産自己査定規程」という。)に定めるもののほか、次の各号に定めるところによる。
(1) 償却・引当 資産自己査定規程に定める資産自己査定の結果等に基づき、査定対象資産等に関する将来の予想損失額等を適切に見積もることをいう。
(2) 重債務貧困国(HIPCs)イニシアティブ適用国 国際通貨基金及び世界銀行により最貧国と認定された開発途上国のうち、1996年のG7リヨン・サミット合意を受けて策定された重債務貧困国イニシアティブの要件を満たす国をいう。ただし、国際通貨基金及び世界銀行によりセルフサステイナブルと認定されている国又は重債務貧困国イニシアティブに基づく公的債務削減措置適用を要請しない旨表明している国を除く。
(3) 公的債務削減 ソブリン債務者向け債権に係るパリクラブにおける元本削減措置をいう。(ただし、次号に定める公的債務繰延べを伴う場合を含む。)
(4) 公的債務繰延べ 前号に定める公的債務削減以外のソブリン債務者に係るパリクラブにおける債務救済措置をいう。
(実施基準日)
第3条 償却・引当の実施基準日は、事業年度を4月から9月まで及び10月から翌年3月までの半期に分けたときの各半期の末日とする。
(利用する資産自己査定結果)
第4条 償却・引当は、前条に定める実施基準日における資産自己査定の結果等を利用する。
(対象資産)
第5条 償却・引当は、資産自己査定規程第3条第1項に定める債権、有価証券等及び金銭の信託を対象に行う。
2 前項に加えて、独立行政法人国際協力機構会計規程(平成15年規程(経)第9号。以下「会計規程」という。)第2条に掲げる法令又は基準の規定及び会計規程に照らして、機構が必要と認める資産等を償却・引当の対象とする。
(債権に関する償却・引当額の算定)
第6条 債権に関する償却・引当額の算定は、ソブリン債務者向け債権と非ソブリン債務者向け債権に区分して行う。
2 ソブリン債務者向け債権の償却・引当の額は、次の各号に掲げる債務者区分に応じ、当該各号に定めるところにより算定する。この場合において、公的債務削減実績のある国については、国別の公的債務削減履歴を勘案し、償却・引当を算定する。
(1) 正常先、要注意先(その他要注意先)及び要注意先(要管理先) 次のいずれかにより算定及び処理を行う。
イ 独立行政法人国際協力機構信用格付規程(平成20年規程(情)第51号。以下「信用格付規程」という。)第3条の規定に基づき、当該債務者に付与される格付の遷移分析から予想損失見積もり期間を国毎の債権の平均残存期間として算定した格付毎のデフォルト確率に、回収不能見込みを勘案して予想損失率を算定する。当該予想損失率を対象債権額に乗じた額を貸倒引当金として算定する。
ロ 金融リスク管理担当特命審議役が別に定める方法により、債権ごとに貸倒引当金を算定する。
(4) 破綻懸念先 国毎の状況に応じ、次のいずれかにより算定及び処理を行う。
イ 公的債務削減措置が講じられているか、又は講じられることが確実と認められるソブリン債務者向け債権については、公的債務削減額を合理的に見積もることが可能な場合は当該債権の全額を直接償却とし、その他の場合は当該債権を個別引当とする。
ロ 上記イ以外で、事実上当面の債権回収が見込めない状況に陥っている国については、債権毎に個別引当を行う。
3 ソブリン債務者向け債権のうち、重債務貧困国(HIPCs)イニシアティブ適用国に係るものは、前項の規定にかかわらず、当該適用国を含む国際的合意の状況に応じ、当該債権の全額直接償却又は個別引当とする。
4 非ソブリン債務者に係る債権の償却・引当の額は、次の各号に掲げる債務者区分に応じ、当該各号に定めるところにより算定する。
(1) 正常先 信用格付規程第3条の規定に基づき、非ソブリン債務者に付与される格付の遷移分析から予想損失見積もり期間を1年間として算定した格付毎のデフォルト確率に、回収不能見込みを勘案して予想損失率を算定する。当該予想損失率を対象債権額に乗じることにより一般貸倒引当金を算定する。
(2) 要注意先(その他要注意先) 前号で定める方法において、予想損失見積もり期間を平均残存期間に読み替え、一般貸倒引当金を算定する。
(3) 要注意先(要管理先) 要注意先(要管理先)に区分された債務者に対する債権額のうち担保・保証により保全されていない金額について、債権毎に個別引当を行う。
(4) 破綻懸念先 破綻懸念先に区分された債務者に対する債権額のうち担保・保証により保全されていない金額について、債権毎に個別引当を行う。
(5) 実質破綻先・破綻先 実質破綻先又は破綻先に区分された債務者に対する債権のうち、Ⅲ分類のものについては全額個別引当を行い、Ⅳ分類のものについては全額直接償却を行う。
5 前項の規定にかかわらず、有償資金協力勘定における当該債務者向けの与信の全額がソブリン債務者によって保証されている非ソブリン債務者向け債権の償却・引当額の算定は、第2項の規定を準用する。この場合において、同項中「ソブリン債務者」とあるのは、「第5項の規定に該当する非ソブリン債務者」と読み替えるものとする。
6 第4項の規定にかかわらず、非ソブリン債務者向け債権のうち、与信の対象となる事業が所在する国の外国政府等の格付が低位であって、当該国のカントリーリスクの影響を受けるもの(以下「特定海外債権」という。)の個別引当(以下「特定海外債権引当」という。)額の算定は、当該所在国に対する予想損失率を、対象債権額に乗じることにより行う。
7 第4項の規定にかかわらず、非ソブリン債務者向け債権のうち、劣後性を有するものの引当額の算定は、金融リスク管理担当特命審議役が別に定める。
(有価証券等及び金銭の信託に関する算定)
第7条 有価証券等及び金銭の信託に関する償却・引当額の算定については、Ⅲ分類とされた部分を引当金とし、Ⅳ分類とされた部分を直接償却する。
(算定体制)
第8条 償却・引当額の算定は、金融リスク管理担当特命審議役が行う。
(報告)
第9条 金融リスク管理担当特命審議役は、各決算期に係る資産自己査定結果とともに、償却・引当額の算定結果を理事長に報告するものとする。
2 金融リスク管理担当特命審議役は、償却・引当額の算定結果に重大な影響を与える可能性のある事案が発生した場合には、速やかに理事長に報告しなければならない。
(監査)
第10条 この規程に基づいて行う償却・引当額の算定結果については、監査室及び会計監査人による監査を受けるものとする。
(償却・引当細則への委任)
第11条 この規程に規定するもののほか、償却・引当の実施のために必要な事項は、細則で定める。
附 則
この規程は、平成20年10月1日から施行する。
附 則(平成23年3月31日規程(情)第20号)
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この規程は、平成23年4月1日(以下、「施行日」という。)から施行する。ただし、この規程による改正後の「独立行政法人国際協力機構有償資金協力勘定に関する償却・引当規程」に基づく準内部規程については、この規程の施行日前に制定手続きを行うことができる。この場合において、当該準内部規程は、施行日以降の当該事務を所掌する金融リスク管理担当審議役の名義で制定する。
附 則(平成24年9月28日規程(総)第35号)
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この規程は、平成24年9月28日から施行する。
附 則(平成25年6月19日規程(総)第25号)
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この規程は、平成25年6月19日から施行し、平成25年3月29日から適用する。
附 則(平成26年8月18日規程(総)第32号)
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この規程は、平成26年8月18日から施行する。
附 則(平成29年3月16日規程(総)第9号)
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この規程は、平成29年3月31日から施行する。
附 則(令和2年3月26日規程(総)第5号)
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この規程は、令和2年3月26日から施行する。
附 則(令和3年4月1日規程(総)第12号)
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この規程は、令和3年4月1日から施行する。