○有償資金協力貸付債権管理規程
(平成21年4月1日規程(債)第11号)
改正
平成22年3月18日規程(債)第4号
平成23年3月31日細則(総)第27号
平成25年3月21日規程(債)第14号
平成25年3月29日規程(債)第17号
平成26年5月19日規程(債)第16号
平成29年3月24日規程(総)第10号
目次

第1章 総則(第1条-第3条)
第2章 貸付債権の弁済受領(第4条-第10条)
第3章 貸付債権の内容の変更(第11条-第13条)
第4章 貸付債権の保全及び回収(第14条-第16条)
第5章 貸付債権の免除(第17条・第18条)
第6章 雑則(第19条)
附則

第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)が実施する円借款又は海外投融資に係る貸付債権(以下「貸付債権」という。)の管理に必要な事項を定め、機構における貸付債権の適正な管理を図ることを目的とする。
(貸付債権管理の方針)
第2条 機構は、貸付債権の管理に当たっては、その回収に努めることを基本とし、債務者による任意の弁済を促すこととする。
2 前項の規定にかかわらず、債務者の信用状況及び弁済状況に鑑み貸付債権の保全又は回収が必要と認められるときは、機構は、法的手続により強制回収を図る等適切な措置を講じるものとする。この場合において、機構は、債務者の弁済のための努力、業況、経済状況、他の債権者の対応、機構の取る措置のもたらす社会的影響、我が国と債務者の国との外交関係等に留意するものとする。
(定義)
第3条 この規程における用語の定義は、次のとおりとする。
(1) 「貸付債権」とは、独立行政法人国際協力機構法(平成14年法律第136号)第13条第1項第2号に基づき機構が実施する資金の貸付けに基づき生じる元本、利息、損害金、手数料及び費用等に係るすべての債権をいう。
(2) 「貸付債権の管理」とは、機構の貸付債権の保全、回収及び整理に関連する事務をいう。
(3) 「債務」とは、貸付債権に対応する義務をいう。
(4) 「債務者」とは、貸付債権の主たる債務者をいう。
(5) 「地域部」とは、東南アジア・大洋州部、東・中央アジア部、南アジア部、中南米部、アフリカ部及び中東・欧州部(特定の地域に属さない有償資金協力のうち円借款の案件については企画部を含む。)をいう。
(6) 「外国政府等」とは、開発途上地域の政府、政府機関若しくは地方公共団体又は国際機関その他の外務大臣が指定する者をいう。
第2章 貸付債権の弁済受領
(契約情報等の記録)
第4条 地域部、民間連携事業部又は管理部は、円借款又は海外投融資に係る貸付契約等(以下「貸付契約等」という。)の締結又はその他の行為により貸付債権が発生し、若しくは機構に帰属した場合には、遅滞なく貸付債権の管理のために必要な事項を記録しなければならない。
(払込通知及び督促)
第5条 管理部は、債務者に対し、債務を履行期限に弁済するよう事前に通知するものとする。
2 地域部、民間連携事業部又は管理部は、回収すべき貸付債権について、その全部又は一部が履行期限を経過してもなお履行されない場合には、債務者に対し債務の履行を督促するほか、その他の適切な措置を講ずるものとする。
3 前2項にかかわらず、債務の免除が見込まれる場合、主要な債権国政府の代表者(以下「パリクラブ」という。)とパリクラブに対して債務の繰延べ又は債務の負担の軽減を要請した国の政府の代表者との間で弁済方法の変更につき合意がなされた場合、その他特別の事由がある場合には、通知又は督促をしないことができる。
(期限の利益の喪失)
第6条 地域部又は民間連携事業部は、貸付契約等に定める債務者の期限の利益が当然に喪失される事由が生じた場合には、直ちに債務者に対し期限の利益を喪失した旨通知するものとする。
2 地域部又は民間連携事業部は、貸付契約等に定める債務者の期限の利益を喪失させ得る事由が生じた場合には、遅滞なく検討する。検討の結果、債務者の期限の利益を喪失させると判断した場合には、債務者に対し期限の利益を喪失した旨通知するものとする。
3 地域部又は民間連携事業部は、債務者に対し期限の利益の喪失を通知する場合は、担保提供者又は保証人に対しても債務者の期限の利益を喪失した旨通知するものとする。
4 地域部又は民間連携事業部は、貸付契約等に定める債務者への貸付実行を終了し得る事由が生じた場合には、遅滞なく検討する。検討の結果、貸付実行を終了すると判断した場合には、債務者に対し貸付実行を終了する旨通知するものとする。
(強制履行の請求等)
第7条 地域部、民間連携事業部又は管理部は、履行期限を経過した貸付債権について、その全部又は一部が第5条第2項の規定による督促があった後、相当の期間を経過してもなお履行されない場合又は前条の規定により債務者に対し期限の利益の喪失を通知した場合には、次の措置を取らなければならない。ただし、第11条の規定に基づき弁済方法を変更することが見込まれる場合、債務者又は保証人が外国政府等であり次のいずれの措置もとることが適当でない場合、その他特別の事由がある場合は、この限りではない。
(1) 物的担保又は保証を徴求している貸付債権については、その担保を処分し、若しくは担保権を実行し、又は保証人に対して保証の履行を請求すること。
(2) 貸付債権を保全するため必要があるときは、裁判所に対し仮差押又は仮処分を求めること。
(3) 貸付債権を保全するため必要がある場合において、法令の規定により債権者として債務者に属する権利を代位行使できる場合は、債務者に代位して当該権利を行使するため必要な措置をとること。
(4) 前各号に該当しない貸付債権(前各号に該当する貸付債権で同号の措置をとってなお弁済されないものを含む。)については、訴訟手続等により履行を請求すること。
2 前項の規定は、地域部、民間連携事業部又は管理部が、履行期限を経過した貸付債権の債務者に対し、第5条第2項の規定に基づき督促を行う前に、前項各号に掲げる措置を取ることを妨げない。
3 地域部又は民間連携事業部は、債務者が機構の利益を害する行為をしたことを知った場合において、法令の規定により債権者として当該行為の取消を求めることができるときは、特別の事由がある場合を除き、その取消に必要な措置を講じなければならない。
(弁済の充当)
第8条 管理部は、債務者又は保証人が履行期限の到来した債務の全部を弁済するに足りない給付をなしたときは、貸付契約等に定めるところに従い充当するものとする。
2 管理部は、充当順位につき貸付契約等に定めがない場合であって債務者又は保証人による充当先の指示があるときは、その指示に従い充当することができる。
3 管理部は、充当順位につき貸付契約等に定めがない場合で、かつ、充当先につき債務者又は保証人による指示がない場合には、費用、手数料、遅延損害金(金額が確定しているものに限る。)、利息及び元本の順位で充当するものとする。
4 管理部は、債務者又は保証人が当該時点までに弁済すべき元本、利息及びその他未払い金の合計額を上回る給付をなしたとき又は期日以外の日に給付がなされたときは、必要に応じ債務者又は保証人に連絡の上、これを債務者又は保証人に返却し、又は仮受金として処理するものとする。
5 管理部は、前項の規定に基づき給付を仮受金として処理したときは、最も早く弁済期日の到来する債務に対し当該期日が到来する時に、第1項から前項までに規定する充当方法に基づいてこれを債務者又は保証人の債務の弁済に充当するものとする。
6 管理部は、第1項から前項までに定める処理が適当でないと判断するときは、これと異なる処理をすることができる。
(担保権の保全)
第9条 地域部、民間連携事業部又は管理部は、貸付債権について担保が提供されたときは、担保権の保全措置をとらなければならない。
(担保及び証拠物件等の保存)
第10条 地域部、民間連携事業部又は管理部は、貸付債権について債権者として占有すべき担保物及び貸付債権又は貸付債権の担保に係る事項の立証に供すべき書類その他の物件を、善良な管理者の注意をもって、整備し、及び保存しなければならない。
第3章 貸付債権の内容の変更
(弁済方法の変更)
第11条 地域部、民間連携事業部又は管理部は、貸付債権について次の各号のいずれかに該当する場合には、その弁済方法を変更することができる。
(1) 債務者が当該債務を当初約定した弁済方法のとおりに履行することが困難であり、かつ、弁済方法を変更しても債権回収に支障がないと認められるとき。
(2) パリクラブとパリクラブに対して債務の繰延べ又は債務の負担の軽減を要請した国の政府の代表者との間で、弁済方法を変更することが合意されたとき。
(3) その他特別の事由があるとき。
2 地域部、民間連携事業部又は管理部は、履行期限後においても前項の規定により弁済方法を変更することができる。
(利率等の変更)
第12条 地域部又は民間連携事業部は、原適用利率、原延滞利率又は原手数料率を変更することがやむを得ないと認められる場合には、当該利率、延滞利率又は手数料率を変更することができる。
(既存の条件又は権利の解除及び変更)
第13条 地域部又は民間連携事業部は、貸付契約等に定めた貸付に係る条件又は機構の権利に係る変更のうち、この規程に定めるもの以外のものについては、それが必要であるか、又はやむを得ない場合で、かつ、債権回収に支障のない場合に限り行うことができる。
第4章 貸付債権の保全及び回収
(時効の中断措置)
第14条 管理部は、貸付債権が時効によって消滅することとなるおそれがあるときは、特別の事由がある場合を除き、時効を中断するため必要な措置をとるものとする。
(更生手続等の申立及び同意)
第15条 地域部、民間連携事業部又は管理部は、貸付債権を保全するため必要があるときは、当該債務者又は保証人に対し、会社更生、民事再生又は破産手続を申し立てなければならない。ただし、債務者又は保証人が外国政府であり同申立てを行うことが適当でない場合その他特別の事由がある場合は、この限りではない。
2 地域部、民間連携事業部又は管理部は、貸付債権について、民事再生法(平成11年法律第225号)の規定により債権者集会の決議若しくは書面による決議に付された若しくは付されるべき再生計画案若しくは変更計画案(同意再生の場合にあっては裁判所に提出された再生計画案)、会社更生法(平成14年法律第154号)若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成8年法律第95号)の規定により関係人集会の決議に付された更生計画案若しくは変更計画案若しくは会社法(平成17年法律第86号)の規定による特別清算人より申し出された協定案がそれぞれ法律の規定に違反しないものである場合又はこれに類似する法的整理手続に係る提案を受けた場合であって、他の債権者の動向、社会的影響等を踏まえつつやむを得ないと認められるときは、これに同意し、又は買取りの申込みをすることができる。
(和解等)
第16条 地域部、民間連携事業部又は管理部は、貸付債権に関して法律上の争いがある場合であって、裁判上の和解(以下「和解」という。)、民事調停法(昭和26年法律第222号)による調停(以下「調停」という。)その他これに類似する法的整理手続(準拠法の如何を問わない。)に係る提案を受けたときは、当該争いを解決するためやむを得ず、かつ、機構にとって債権の回収上有利と認められる範囲内において、これに応ずることができる。
第5章 貸付債権の免除
(貸付債権の免除)
第17条 地域部、民間連携事業部又は管理部は、第15条に基づき更生計画案等に同意し、若しくは買取りの申込みをし、又は前条に基づき和解若しくは調停に応ずることにより貸付債権を免除しなければならない場合には、当該貸付債権の全部又は一部を免除することができる。
2 地域部、民間連携事業部又は管理部は、日本政府の決定等特別の事由がある場合は、当該貸付債権の全部又は一部を免除することができる。
(遅延損害金の免除)
第18条 管理部は、履行期限に弁済されなかった元本、利息、手数料又は費用の金額について、遅延した事由等を勘案し、当該遅延損害金を免除することができる。
2 管理部は、前項のほか、遅延損害金の金額について、遅延した事由等を勘案し、当該遅延損害金を免除することができる。
第6章 雑則
(委任)
第19条 この規程を実施するための細目及び運用その他必要な事項は、独立行政法人国際協力機構組織規程(平成16年規程(総)第4号)の規定する各部等の事務に応じ、当該事務を所掌する部等の長が別に定める。
附 則
この規程は、平成21年4月1日から施行する。
附 則(平成22年3月18日規程(債)第4号)
この規程は、平成22年4月1日から施行し、平成21年10月1日から適用する。
附 則(平成23年3月31日細則(総)第27号)
この規程は、平成23年4月1日から施行する。
附 則(平成25年3月21日規程(債)第14号)
この規程は、平成25年3月21日から施行する。
附 則(平成25年3月29日規程(債)第17号)
この規程は、平成25年4月1日から施行する。
附 則(平成26年5月19日規程(債)第16号)
この規程は、平成26年6月1日から施行する。
附 則(平成29年3月24日規程(総)第10号)
この規程は、平成29年4月1日から施行する。