○有償資金協力業務実施要綱
(平成23年2月3日規程(企)第2号) |
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第1章 総則
(目的)
第1条 独立行政法人国際協力機構法(平成14年法律第136号。以下「法」という。)第13条第1項第2号の規定に基づき独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)が実施する有償資金協力に関する業務(以下「有償資金協力業務」という。)については、法及び独立行政法人国際協力機構業務方法書(平成15年規程(企)第10号。以下「業務方法書」という。)に定めるもののほか、この要綱に定めるところによるものとする。
(用語の定義)
第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号の定めるところによる。
(1) 円借款業務 法第13条第1項第2号イに規定する機構の業務
(2) 海外投融資業務 法第13条第1項第2号ロ及びハに規定する機構の業務
(3) 開発事業 開発途上地域の経済及び社会の開発に寄与し、かつ、我が国との経済交流を促進するため必要と認められる事業(これらの事業の準備のための調査又は試験的実施を含む。)
(4) 案件 有償資金協力業務の対象となる開発事業、開発途上地域の経済の安定に関する計画又は開発途上地域の経済及び社会の持続可能性の向上に資する計画
(5) 国際約束 円借款業務の実施に関して日本国政府と開発途上地域の政府又は国際機関との間で締結されるものであって、権利義務関係を設定する国際法によって規律される交換公文等の合意をいう。
(基本方針)
第3条 有償資金協力業務は、開発事業の実施、開発途上地域の経済の安定に関する計画の達成若しくは開発途上地域の経済及び社会の持続可能性の向上に資する計画の達成に必要な資金の貸付け、債務の保証、社債等の取得又は開発事業の実施に必要な出資を行い、当該地域の経済及び社会の開発若しくは復興又は経済の安定に寄与することを通じて、国際協力の促進並びに我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することを目的とする。
2 有償資金協力業務は、資金の供与の条件が開発途上地域にとって重い負担にならないよう金利、償還期間等について緩やかな条件が付されているものに限る。
3 機構は、有償資金協力業務を一般の金融機関が行う資金の貸付け、債務の保証、社債等の取得若しくは出資を補完し、又は奨励するよう行い、これらと競争しない。
4 機構は、一般の金融機関が通常の条件により資金の貸付け、債務の保証、社債等の取得又は出資を行うことが困難と認められる場合に限り、有償資金協力業務を行うことができる。
5 機構は、開発事業に係る事業計画、開発途上地域の経済の安定に関する計画又は開発途上地域の経済及び社会の持続可能性の向上に資する計画の内容が適切であり、その達成の見込みがあると認められる場合に限り、有償資金協力業務を行うことができる。
第2章 有償資金協力業務の実施方法
第1節 計画及び準備
(案件の発掘・形成)
第4条 機構は、有償資金協力業務の実施に先立ち、案件の発掘・形成を行うことができる。
(審査及び事前の評価)
第5条 機構は、有償資金協力業務の実施に際し、案件の必要性及び妥当性について審査並びに事前の評価を行う。なお、事前の評価においては、妥当性及び必要性等の検証並びに成果目標の設定を行う。
(貸付け、債務の保証、社債等の取得又は出資の決定)
第6条 機構は、前条による事前の審査及び評価の結果を踏まえ、実施の必要性及び妥当性があると判断される案件について、別に定める者の決裁により貸付け、債務の保証、社債等の取得又は出資を決定する。
第2節 円借款業務の実施
(円借款業務の実施)
第7条 機構は、国際約束に基づき案件に対する貸付けを決定したときは、次の業務を実施する。
(1) 貸付契約等の調印及び発効
(2) 案件の監理
(3) 資金の貸付け
(4) 回収
(5) その他円借款の実施に必要な業務
(円借款の条件)
第8条 円借款の利率、償還期限及び償還の方法その他の条件については、日本政府の方針に基づき、企画部長が別に定める。個々の案件の条件については、各貸付契約において決定する。
第3節 海外投融資業務の実施
(貸付け業務の実施)
第9条 機構は、案件に対する貸付けを決定したときは、次の業務を実施する。
(1) 貸付契約等の調印及び発効
(2) 資金の貸付け
(3) 案件の監理
(4) 回収
(5) その他貸付けの実施に必要な業務
(貸付けの条件)
第10条 貸付けの利率については、企画部長が資金の調達金利を勘案して定める利率を下らないこととし、その他の貸付けの条件と合わせて、各貸付契約において定める。
(債務の保証業務の実施)
第10条の2 機構は、案件に対する債務の保証を決定したときは、次の業務を実施する。
(1) 保証契約等の調印及び発効
(2) 案件の監理
(3) 保証の履行
(4) 回収
(5) その他債務の保証の実施に必要な業務
(債務の保証の条件)
第10条の3 保証の料率については、期待損失を勘案した料率を下らないこととし、その他の保証の条件と合わせて、 各保証契約において定める。
(社債等の取得業務の実施)
第10条の4 機構は、案件に対する社債等の取得を決定したときは、次の業務を実施する。
(1) 社債等の取得に係る契約等の調印及び発効
(2) 社債等の取得
(3) 案件の監理
(4) 社債等の処分
(5) その他社債等の取得の実施に必要な業務
(社債等の取得の条件)
第10条の5 社債等の取得の利回りについては、企画部長が資金の調達金利を勘案して定める利回りを下らないこととし、その他の社債等の取得の条件と合わせて、各社債等の取得に係る契約において定める。
(出資業務の実施)
第11条 機構は、案件に対する出資を決定したときは、次の業務を実施する。
(1) 出資に係る契約等の調印及び発効
(2) 株式等の取得
(3) 出資の実行
(4) 案件の監理
(5) 株式等の処分
(6) その他出資の実施に必要な業務
(民間資金動員業務の実施)
第11条の2 機構は、民間資金動員業務の案件に対する貸付け又は出資を決定したときは、第9条又は前条を適用して業務を実施する。
[第9条]
(民間資金動員業務全体の限度額)
第11条の3 民間資金動員業務の出融資残高の限度額は、機構の業務の健全な持続可能性を確保するため、民間資金動員業務のために設ける管理会計における期待損失が政府出資金を上回らない範囲とし、年度承諾額の限度額は、当該年度の予算要求を通じて決定される政府出資金に、予算の前提として想定したレバレッジ(政府出資金1に対する出融資承諾額。上限を2とする。)を乗じた額を上限とする。
第4節 事後の評価等
(事後の評価)
第12条 機構は、案件終了後に目標達成の状況を含む効果の発現状況等を確認するための評価を実施し、その結果を当該案件の効果の発現又は新規案件の計画その他機構の業務に反映させるものとする。
(追加的な支援)
第13条 機構は、案件の効果を維持発展させるための追加的な支援を行うことができる。
第3章 雑則
(委任)
第14条 前条までに定めるもののほか、この要綱を実施するために必要な事項は、独立行政法人国際協力機構組織規程(平成16年規程(総)第4号)に定める各部の事務に応じ、当該事務を所掌する部等の長が別に定める。
附 則
この規程は、平成23年2月3日から施行する。
附 則(令和7年8月26日規程(企)第18号)
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この規程は、令和7年8月26日から施行する。