令和二年十月十三日にアンカラで、技術協力に関する日本国政府とトルコ共和国政府との間の協定の署名が行われ、同協定は、令和四年一月二十六日に効力を生じた。
令和五年一月十六日 外務大臣 林 芳正
令和五年一月十六日 外務大臣 林 芳正
○技術協力に関する日本国政府とトルコ共和国政府との間の協定
(令和5年1月16日外務省告示第10号) |
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日本国政府及びトルコ共和国政府(以下個別に「締約国政府」といい、合わせて「両締約国政府」という。)は、
両国間に存在する友好関係を技術協力の促進により一層強化することを希望し、
それぞれの国の経済開発及び社会開発を促進することにより得られる相互の利益を考慮し、
この協定の効力発生の後、千九百九十四年に署名された独立行政法人国際協力機構の代表事務所の設立に関する取極を置き換えることを意図して、
次のとおり協定した。
両国間に存在する友好関係を技術協力の促進により一層強化することを希望し、
それぞれの国の経済開発及び社会開発を促進することにより得られる相互の利益を考慮し、
この協定の効力発生の後、千九百九十四年に署名された独立行政法人国際協力機構の代表事務所の設立に関する取極を置き換えることを意図して、
次のとおり協定した。
第1条
1 | この協定の適用上、 | ||
(a) | 「JICA」とは、独立行政法人国際協力機構をいう。 | ||
(b) | 「JICA事務所」とは、トルコ共和国に設立されたJICAの海外事務所をいう。 | ||
(c) | 「JICA職員」とは、JICAから派遣される駐在員及び職員であって、トルコ共和国においてこの協定に基づく技術協力の計画に関連してJICAによって与えられる任務を遂行するものをいう。 | ||
(d) | 「JICA専門家」とは、第三条1に規定する口上書によって規律される技術協力の個別の計画を実施するためにJICAが特定の期間派遣する専門家又は第三条1に規定する口上書によって規律される技術協力の個別の計画を実施するために、トルコ共和国の経済開発及び社会開発に係る計画に関する調査を行うことを目的としてJICAが特定の期間派遣する日本国の調査団の構成員をいう。 | ||
(e) | 「家族の構成員」とは、次の者をいう。 | ||
(ⅰ) | トルコ共和国の法令に基づいて配偶者として認められる者 | ||
(ⅱ) | 十八歳未満の未婚の子 | ||
(ⅲ) | 大学又はそれ以上の教育に参加する二十五歳未満の未婚の子 | ||
(ⅳ) | 障害を負った未婚の子 |
第2条 両締約国政府は、両国間の技術協力を促進するよう努める。
第3条
1 | この協定に基づいて実施される技術協力の個別の計画を規律する口上書は、両締約国政府間で合意される。
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2 | 1に規定する口上書に基づき、技術協力の個別の計画の細目及び手続を規律する別個の契約は、トルコ共和国政府の権限のある当局の関与の下、同国政府の関係当局とJICAとの間で締結される。この協定の実施に当たっては、日本国政府の権限のある当局は外務省であり、トルコ共和国政府の権限のある当局は外務省である。
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3 | 2に規定する別個の契約には、トルコ側が自己の負担により、可能な限りにおいて、適当な事務所(電話及びファクシミリの役務を含む。)の提供並びに当該事務所の運営費及び維持費の負担並びに現地要員及びJICA専門家の相手方となるトルコ人要員の提供であって、JICA専門家の任務の遂行に必要なものを行うことを含む。
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第4条
1 | 次の形態による技術協力は、日本国において施行されている法令及び前条1に規定する口上書に従い、JICAにより、JICAの負担で行われることとなる。
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(a) | 技術訓練をトルコ国民に提供すること。 | |
(b) | JICA専門家をトルコ共和国に派遣すること。 | |
(c) | 設備、機械及び資材をトルコ共和国政府に供与すること。 | |
(d) | 両締約国政府間の相互の同意によって決定されるその他の形態の技術協力をトルコ共和国政府に提供すること。 | |
2 | 1に規定する技術協力の個別の計画であってトルコ共和国において行われるものは、トルコ共和国において施行されている法令及びこの協定に従って行われることとなる。
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第5条 トルコ共和国政府は、前条に規定する日本国の技術協力の結果としてトルコ国民が取得する技術及び知識並びに供与される設備、機械及び資材がこの協定の規定及び目的に適合するトルコ共和国の経済開発及び社会開発のためにのみ使用されることを確保する。
第6条
1 | JICAがトルコ共和国のアンカラにおいてJICA事務所を維持することができることが確認される。 | |
2 | トルコ共和国政府は、自国の法令に従い、JICA事務所に関して法人格を認め、特に、次のことを行う能力を認める。
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(a) | 契約すること。
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(b) | 動産及び不動産を取得し、及び処分すること。 | |
(c) | 訴えを提起すること。 | |
3 | トルコ共和国政府は、次のことを行う。 | |
(a) | JICA事務所につき、JICA事務所の活動に必要な設備、機械、資材及び自動車の許容限度内の輸入に関し、租税(付加価値税、特別消費税及び関税を含む。)その他課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。 | |
(b) | JICA事務所につき、JICA事務所の活動に必要な設備、機械、資材及び自動車の現地購入に関し、租税(付加価値税並びにJICA事務所が購入する設備、機械、資材及び自動車に特別消費税が課される場合には、当該特別消費税を含む。)その他課徴金を免除すること。 | |
(c) | JICA事務所につき、所得に対する租税を免除すること。 | |
4 | 3(a)に規定する自動車は、3(a)に規定する租税の免除を受ける権利を有する個人又は団体にのみ譲渡することができる。
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5 | 3(b)に規定する自動車が、その後トルコ共和国内において、租税の免除又は同様の特権を受ける権利を有しない個人又は団体に売却され、又は譲渡される場合には、当該自動車に対して当該租税が課される。 |
第7条
1 | JICAがトルコ共和国政府に対して設備、機械及び資材を無償で供与する場合には、トルコ共和国政府は、当該設備、機械及び資材の輸入に関し、租税(付加価値税、特別消費税及び関税を含む。)その他課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除する。当該設備、機械及び資材は、保険料及び運賃込みの条件で陸揚港においてトルコ共和国政府の関係当局に引き渡された時にトルコ共和国政府の財産となる。 |
2 | JICAがトルコ共和国政府に対して設備、機械及び資材を無償で供与する場合には、トルコ共和国政府は、当該設備、機械及び資材の現地購入に関し、租税(付加価値税並びにJICA事務所が購入する設備、機械及び資材に特別消費税が課される場合には、当該特別消費税を含む。)その他課徴金を免除する。 |
3 | 1及び2に規定する設備、機械及び資材については、両締約国政府の権限のある当局間に別段の合意がある場合を除くほか、第三条に規定する口上書に定める目的のために使用する。
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4 | 1及び2に規定する設備、機械及び資材のトルコ共和国内における輸送のための費用並びにこれらの交換、維持及び修理のための費用については、トルコ共和国政府が負担する。
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第8条
1 | トルコ共和国政府は、次のことを行う。 | |
(a) | JICA職員及びJICA専門家であって、トルコ共和国の国民でないもの及びトルコ共和国に通常居住していないものにつき、JICAにより国外から送金される給与及び手当に対して又は当該給与及び手当に関連して課される租税を免除すること。 | |
(b) | JICA職員及びJICA専門家並びにこれらの者の家族の構成員であって、トルコ共和国の国民でないもの及びトルコ共和国に通常居住していないものにつき、当該JICA職員及びJICA専門家並びにこれらの者の家族の構成員が最初の到着後六箇月以内に行うそれぞれに所有する見回品及び家財の輸入に関し、租税(付加価値税、特別消費税及び関税を含む。)その他課徴金を免除すること。 | |
(c) | JICA職員及びJICA専門家であって、トルコ共和国の国民でないもの及びトルコ共和国に通常居住していないものにつき、当該JICA職員及びJICA専門家が最初の到着後六箇月以内に行うそれぞれに所有するJICA職員一名につき一台の自動車及びJICA専門家一名につき一台の自動車の任期中の一時的な輸入に関し、租税(付加価値税、特別消費税及び関税を含む。)その他課徴金を免除すること。 | |
(d) | JICA職員であって、トルコ共和国の国民でないもの及びトルコ共和国に通常居住していないものにつき、出入国制限及び在留許可、就労許可等の外国人登録を免除すること並びにJICA職員の家族の構成員であって、トルコ共和国の国民でないもの及びトルコ共和国に通常居住していないものにつき、在留許可を免除すること。 | |
(e) | JICA職員であって、トルコ共和国の国民でないもの及びトルコ共和国に通常居住していないものに対し、査証の取得のための便宜を与えること並びにJICA職員の家族の構成員であって、トルコ共和国の国民でないもの及びトルコ共和国に通常居住していないものに対し、査証又は就労許可の取得のための便宜を与えること。ただし、JICA職員の家族の構成員がトルコ共和国において就労する場合には、この協定に規定する特権及び免除を受ける権利を有しない。 | |
(f) | JICA専門家及びその家族の構成員であって、トルコ共和国の国民でないもの及びトルコ共和国に通常居住していないものに対し、査証、在留許可又は就労許可の取得のための便宜を与えること。 | |
2 | 1(c)に規定する自動車は、1(c)に規定する租税の免除を受ける権利を有する個人又は団体にのみ譲渡することができる。 | |
3 | JICA職員及びJICA専門家並びにこれらの者の家族の構成員に関連する社会保障手続は、二国間で将来締結される社会保障協定の適用を妨げることなく、トルコ共和国の法令に従うものとする。 | |
4 | トルコ共和国政府は、両締約国政府間の相互の同意により別段の決定が行われる場合を除くほか、第三条1に規定する口上書によって規律される技術協力の個別の計画における必要を考慮して、JICA職員の数をトルコ共和国政府が妥当かつ正常と認める範囲内のものとすることを要求することができる。 | |
5 | JICA職員及びJICA専門家並びにこれらの者の家族の構成員であって、トルコ共和国の国民であるもの及びトルコ共和国に通常居住しているものは、この協定に規定する特権、免除及び便宜を享受しない。
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第9条 トルコ共和国政府は、JICA事務所を侵入又は損壊から保護するため、及びJICA事務所の安寧の妨害又はJICA事務所の威厳の侵害を防止するため、全ての適当な措置をとる。
第10条 両締約国政府は、この協定から又はこの協定に関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。
第11条
1 | JICA専門家の任務の遂行に起因し、又は当該任務の遂行中に発生する請求については、当該請求が当該JICA専門家の重大な過失又は故意から生じた場合(責任を免除されるか否かを問わない。)を除くほか、両締約国政府間の協議を通じて解決する。両締約国政府は、いずれか一方の締約国政府の要請がある場合には、直ちに協議を開始する。
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2 | この条の規定は、JICA専門家を刑事上の責任から免除するものと解してはならない。 |
第12条
1 | 各締約国政府は、他方の締約国政府に対し、外交上の経路を通じて、この協定の効力発生のために必要とされる国内手続が完了した旨の通告を行う。この協定は、遅い方の通告が受領された日に効力を生ずる。
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2 | この協定は、一年間効力を有するものとし、その後は、いずれか一方の締約国政府がこの協定の有効期間の満了の日の遅くとも六箇月前までに他方の締約国政府に対しこの協定を終了させる意思を外交上の経路を通じて書面により通告しない限り、各一年の期間自動的に延長される。
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3 | この協定の終了の後についても、この協定に基づいて実施される進行中の計画に関し、この協定の全ての規定は、当該計画が完了するまで引き続き効力を有する。
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以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。 |
二千二十年十月十三日にアンカラで、ひとしく正文である日本語、トルコ語、及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。 |
日本国政府のために |
宮島昭夫 |
トルコ共和国政府のために |
ナームク・ギュネル・エルプル |