○技術協力に関する日本国政府とネパール王国政府との間の協定
(平成15年9月30日外務省告示第341号)
日本国政府及びネパール王国政府は、技術協力の促進により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、また、両国の経済的及び社会的発展の促進によりもたらされる相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
(a) 日本国における技術訓練のためにネパール国民を受け入れること。
(b) 日本人専門家(以下「専門家」という。)をネパール王国に派遣すること。
(c) 幅広い技術と豊かな経験を有する日本人ボランティア(以下「シニア海外ボランティア」という。)をネパール王国に派遣すること。
(d) ネパール王国政府の経済及び社会開発計画の調査を行うため、日本国の調査団(以下「調査団」という。)をネパール王国に派遣すること。
(e) 設備、機械及び資材をネパール王国政府に供与すること。
(f) 両政府間で相互に合意することのあるその他の形態の技術協力をネパール王国政府に対し行うこと。
(a) 専門家及び調査団の任務遂行に必要な適当な事務所その他の施設(電話及びファクシミリの役務を含む。)を入手可能なものである限り提供し、かつ、それらの運営費及び維持費を負担すること。
(b) 専門家及び調査団の任務遂行に必要な現地要員(専門家及び調査団の相手方となるネパール人要員並びに必要な場合には、適当な通訳を含む。)を提供すること。
(c) 専門家に係る次の諸経費を負担すること。
 (i) 通勤費
 (ii) ネパール王国内の公用出張旅費
 (iii) 公用通信費
(d) 現地の条件及びネパール王国政府の関係当局の財政事情が許す限り、専門家及びそれらの家族に対し無料の住居を提供すること。
(e) 現地の条件及びネパール王国政府の関係当局の財政事情が許す限り、専門家及びそれらの家族並びに調査団の構成員に対し無料の医療上の便宜を与えること。
1(1) ネパール王国政府は、次のことを行う。
 (a) 専門家及び調査団の構成員に対し、海外から送金される給与及び手当に対して又はこれらに関連して課される所得税その他の財政課徴金を免除すること。
 (b) 専門家及びそれらの家族並びに調査団の構成員に対し、次のものの輸入に関し、領事手数料、関税、租税その他類似の財政課徴金を免除すること。
  (i) 身回品及び家財
  (ii) ネパール王国に派遣される専門家1名につき自動車1台
 (c) ネパール王国に自動車を輸入しない専門家に対し、当該専門家が自動車を現地購入する場合には、専門家1名につき自動車1台に対して課される付加価値税を還付すること。
 (d) (b)(ii)及び(c)にいう自動車の登録料を免除すること。
(2) 前記の自動車がその後ネパール王国内において、関税及び租税の免除又は同様の特権を有しない個人又は団体に売却又は譲渡される場合には、当該自動車に係る関税及び租税は支払わなければならない。
2 ネパール王国政府は、次の措置をとる。
 (a) 専門家及びそれらの家族並びに調査団の構成員に対し、その任期中、ネパール王国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することを許可し、外国人登録要件の手続に関し便宜を与え、かつ、領事手数料を免除すること。
 (b) 専門家及び調査団の任務遂行に必要なすべての政府機関の協力を確保するために、専門家及びそれらの配偶者並びに調査団の構成員に対し身分証明書を交付すること。
 (c) 自動車運転免許証を保持している専門家に対し、ネパール国内法令に基づいて自動車運転免許証の取得のための便宜を与えること。
 (d) 専門家及び調査団に対し、その任務遂行に必要なその他の措置をとること。
3 ネパール王国政府は、専門家及びそれらの家族並びに調査団の構成員に対し、ネパール王国において同様の任務を遂行している第三国又は国際機関の専門家及びそれらの家族並びに調査団の構成員に与えられているものより不利でない特権、免除及び便宜を与える。
1 日本国政府がネパール王国政府に設備、機械及び資材を供与する場合には、これらの設備、機械及び資材は、陸揚港においてc・i・f建てでネパール王国政府の関係当局に引き渡された時にネパール王国政府の財産となる。これらの設備、機械及び資材は、別途の合意がない限り供与された目的のために使用されるものとする。
2 ネパール王国政府は、1にいう設備、機械及び資材に関して、領事手数料、関税、租税その他類似の財政課徴金を免除する。
3 1にいう設備、機械及び資材のネパール王国内における輸送のための費用並びにそれらの補充、維持及び修理のための費用は、ネパール王国政府が負担する。
4 専門家、調査団の構成員及びシニア海外ボランティアがその任務を遂行するために携行する設備、機械及び資材は、別途の合意がない限り日本国政府の財産である。
  専門家、調査団の構成員及びシニア海外ボランティアは、それらの設備、機械及び資材の輸入に関し、領事手数料、関税、租税その他類似の財政課徴金を免除される。
5 専門家、調査団の構成員及びシニア海外ボランティアは、それらの設備、機械及び資材の現地購入に関し、付加価値税を還付され、その他のすべての種類の財政課徴金も免除される。
1 ネパール王国政府は、日本国政府による技術協力の実施機関である国際協力事業団(以下「JICA」という。)が、ネパール王国においてJICAの海外事務所(以下「事務所」という。)を維持することを認め、また、日本国から派遣されこの協定に基づく技術協力計画の事業に関連してJICAにより与えられる任務をネパール王国において遂行する駐在員及び職員(以下「駐在員等」という。)を受け入れる。
2 ネパール王国政府は、駐在員等及びそれらの家族並びに事務所に対し、以下の特権、免除及び便宜を与える。
 (1) 駐在員等及びそれらの家族に対し、
  (a) 身回品、家財、自動車及び日常生活に必要なその他の品目の輸入に関し、これらに対し又はこれらに関連して課される領事手数料、関税、内国税その他のすべての種類の財政課徴金の免除
  (b) 海外から送金される給与及び手当に対して又はこれらに関連して課される所得税その他のすべての種類の財政課徴金の免除
  (c) 自動車を現地購入する場合に課される付加価値税の還付
  (d) ネパール王国への入国、同国からの出国及び同国での滞在に係るすべての手数料の免除
  (e) 駐在員等及びそれらの配偶者に対する身分証明書の発行
 (2) 事務所に対し、
  (a) 事務所の活動に必要な設備、機械、自動車及び資材の輸入に関して、領事手数料、関税、租税その他類似の財政課徴金の免除
  (b) 事務所の活動に必要な設備、機械、自動車その他資材をネパール王国内で現地購入する場合に課される付加価値税の還付及びその他のすべての種類の財政課徴金の免除
  (c) 事務所の経費であって海外から送金されるものに対して又はこれに関連して課される所得税その他のすべての種類の財政課徴金の免除
3 ネパール王国政府は、駐在員等及びそれらの家族並びに事務所に対し、ネパール王国において同様の任務を遂行している第三国又は国際機関の実施機関の駐在員及び職員並びにそれらの家族並びに当該実施機関の事務所に与えられているものより不利でない特権、免除及び便宜を与える。
4 この条項の下で輸入される自動車、設備、機械その他資材が、ネパール王国内において関税及び租税の免除又は同様の特権を有しない個人又は団体に売却又は譲渡される場合には、ネパール王国の法令に従って関税及び租税が支払われなければならない。
1 この協定の規定は、この協定が効力を生ずる前から両政府間で実施されている個別の技術協力計画にも適用され、また、当該計画を実施するためにネパール王国に滞在中の専門家及びそれらの家族、調査団の構成員、シニア海外ボランティア及びそれらの家族、駐在員等及びそれらの家族並びに当該計画を実施するためにネパール王国に持ち込まれた設備、機械及び資材にも適用される。
2 この協定の終了は、両政府が明示的に別途の合意をしない限り、実施中の個別の技術協力計画が完了する日までの間当該計画に影響を与えるものではなく、また、当該計画に関する任務を遂行するためにネパール王国に滞在中の専門家及びそれらの家族、調査団の構成員、シニア海外ボランティア及びそれらの家族並びに駐在員等及びそれらの家族に対して与えられる特権、免除及び便宜に影響を与えるものではない。
1 この協定は、署名の日に効力を生ずる。
2 この協定は、5年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対し少なくとも6箇月の予告をもって協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、自動的に更に5年ごとに更新される。
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。
2003年9月3日にカトマンズで、英語により本書2通を作成した。
日本国政府のために ネパール王国政府のために
神長善次 バヌ・プラサド・アチャリヤ