○経済及び技術協力に関する日本国政府とイラク共和国政府との間の協定
(昭和49年12月19日外務省告示第226号)
昭和49年8月16日に東京で、次の経済及び技術協力に関する日本国政府とイラク共和国政府との間の協定の署名並びに円借款及びその他の信用の供与に関する書簡の交換がイラク共和国政府との間に行われ、同協定は、11月11日に効力を生じた。
 経済及び技術協力に関する日本国政府とイラク共和国政府との間の協定
 日本国政府とイラク共和国政府は、両国の間に存在する友好関係を更に発展させ、かつ、強化することを希望して、次のとおり協定した。
1 日本国政府は、
 (a) イラクにおける経済開発事業計画で両政府の間で合意するものの実施への関係日本国民の協力及び参加を通じて、同事業計画の実現のため努力し、すべての可能な措置をとる。
 (b) この協定のわく内で当該日本国民に対しすべての可能な便宜を供与する。
 (c) この協定のわく内で当該日本国民により契約の行われた事業計画の完全な実施を促進するため、すべての可能な方法の範囲内で、行動する。
 (d) 当該契約から生ずることがあり又は実施された事業計画の効率的な運営を妨げることがある問題及び障害を解決又は除去するため、イラク共和国政府との連絡を通じて、すべての可能な措置をとる。
2 イラク共和国政府は、日本国民に対し、当該日本国民が契約を行った事業計画の完全な実施の促進に資するためすべての可能な便宜を与えるとともに、当該契約から生ずることがある問題及び障害を解決し又は除去するため、日本国政府との連絡を通じて、すべての可能な措置をとる。
1 日本国政府は、イラクにおける経済開発事業計画で両政府の間で合意するものの実施のため、日本輸出入銀行による円借款の供与のために及びその他の信用の供与を容易にするために、イラク共和国政府に対し、協力する。
2 円借款及びその他の信用の供与は、両政府間の新たな取極によらなければならない。
(a) 高水準の技術上の明細
(b) 入札並びに契約の締結及びその実施の速さ
(c) 競争価格
(d) 完成後引渡し方式による事業計画の実施(それが適当である場合)
1 イラク共和国政府は、両政府間の新たな取極に定めるところに従い、原油、液化天然ガス、液化石油ガス、石油製品及びその他の炭化水素産品の安定供給のための「イラク国営石油会社」又はその他のイラクの国営の石油会社と日本国民との間の長期契約の締結及び円滑な実施を容易にする。これらの産品の供給は、関係当事者の間で相互に合意される条件に従うものとする。
2 日本国政府は、1にいう契約の締結及び円滑な実施を容易にする。
(a) 日本人の専門家をイラク共和国に派遣すること。
(b) 日本国における技術訓練のための研修手当をイラクの研修生に支給すること。
(c) 調査を行うため調査団をイラク共和国に派遣すること。
(d) 設備、機械及び資材をイラク共和国政府に供与すること。
(e) イラクにおける訓練センター及び技術研修所で相互に合意するものに技術援助を行うこと。
(f) 相互に合意することがあるその他の形の技術協力を行うこと。
1 この協定は、日本国政府がイラク共和国政府からこの協定の効力発生のために必要な憲法上の手続を終了した旨の文書を受領した日に効力を生ずる。
2 この協定は、いずれか一方の政府が協定を終了させるための書面による3箇月前の予告を他方の政府に対して与えない限り、無期限に効力を有する。
3 この協定の終了は、この協定に基づいて締結された取極及び契約の効力に影響を及ぼすものではない。
1974年8月16日に東京で、英語により本書2通を作成した。
日本国政府のために
 木村俊夫
イラク共和国政府のために
 ヒクマット・アル・アザウィ