○移住及び植民に関する日本国とブラジル合衆国との間の協定
(昭和38年10月29日条約第34号)
移住及び植民に関する日本国とブラジル合衆国との間の協定をここに公布する。
 移住及び植民に関する日本国とブラジル合衆国との間の協定
 日本国政府及びブラジル合衆国政府は、移住に関する両国間の協力を調整し、及びそれぞれの利益に合致する形で移住を組織化することが必要であることを確信し、また、日本人の技術及び労力の活用によるブラジル合衆国の経済開発を目的とし、かつ、国際協力の精神に基づいた適切な政策を実施することが両国を結ぶ伝統的な友好のきずなを強化することとなることを自覚して、この移住及び植民に関する協定を締結することに決定し、このため、次のとおりそれぞれの全権委員を任命した。
 日本国政府
 ブラジル合衆国駐在特命全権大使 安東義良
 ブラジル合衆共和国大統領
 外務大臣 オラシオ ラフェール
 これらの全権委員は、互いにその全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次のとおり協定した。
(目的)
(自由移住)
(計画移住)
(a) 農業者、農業労務者、家畜飼育者、一般農村人、農畜産技能者並びに農村産業及びこれに関連する分野の専門的技術者で、直ちに土地所有者となるとならないとを問わず、定住する意図をもつて移住するもの
(b) 農業者、農業労務者又は農畜産技能者の協会又は協同組合で、土地所有者となるとならないとを問わず、ブラジル合衆国にすでに存在しているか又は新たに設立する農場、農畜産企業又は計画植民地で就労する意図をもつて集団的に移住するもの
(c) 技術者、工芸者、専門的技能者及び諸職業の専門家で、ブラジル合衆国の労働市場の必要性及び関係法令の要件に合致するもの
(d) ブラジル合衆国の経済開発に有益である工業的又は技術的性質の事業単位又は企業で、同国の権限のある機関があらかじめ承認するもの
(a) 農業者、農畜産技能者及び農村産業の専門的技術者については、農業用の機具、道具及び機械(トラクター及び農畜産物加工用機械を含む。)
(b) 技術上又は経済上有益な選択された動植物の種苗
(c) 工芸者及び専門的技術者については、その職業用具
(募集及び選考)
(送出及び輸送)
(出迎え、国内輸送及び配置)
(a) 出迎え、宿舎の提供、給食及び医療衛生上の援助
(b) 移住者の財産の通関及び保管
(c) 移住者及びその財産の最終目的地までの輸送
(d) 動物の畜舎への収容及び獣医上の援助
 上陸予定港、移住者団の到着日程の確定その他の事項に関する個個の問題については、日本国の当局とブラジル合衆国の当局との間又は両国の当局と関係実施団体との間で、各別に取り決める。
 ブラジル合衆国の領域への入国に際して行なわれる移住者及びその財産の検査は、関係法令に従つて行なわれる。もつとも、財産については、第12条の規定が守られるものとする。
 ブラジル合衆国政府が希望するときは、いずれか一方の締約国が指定する団体は、この条に定める事項について、補助的に同政府に協力することができる。
(植民)
(定住)
(融資及び援助)
(保険)
(混合委員会)
(a) この協定、特に第7条に定める計画の十分な実施のため必要な基準、勧告及び行政上の措置を移住及び植民の問題について権限のある両政府の機関に提案すること。
(b) 第9条にいう計画移住について第8条の規定に従つて決定される量を毎年提案すること。
(c) 第23条にいう最も適切な地域の範囲を提案すること。
(d) 第33条に定める援助の実施に必要な措置を執るようブラジル合衆国政府に勧告し、及び同条第2項の場合について関係団体が援助を行なう条件を備えているかどうかを審査すること。
(e) 第36条第2項の規定に従い、意見を求められたときは、移住者の帰国に関し意見を述べること。
(f) 第38条第2項にいう金額を定めること。
(g) この協定の適用について生ずる疑問を解き、及び意見の対立を調整すること。
(h) 委員会の運営に関する規則を定めること。
(i) 両政府間の合意に基づいて付託されたその他の問題を取り扱うこと。
  混合委員会は、この協定の十分な実施のため必要と認めるすべてのことを両締約国に勧告することができる。
(改正)
(発効及び廃棄)
 以上の証拠として、各全権委員は、この協定に署名調印した。
 1960年11月14日にリオ・デ・ジャネイロ市で、日本語及びポルトガル語により本書2通を作成した。
 日本国のために
 安東義良
 ブラジル合衆国のために
 オラシオ・ラフェール
(昭和38年10月29日外務省告示第159号) 
 昭和35年11月14日にリオ・デ・ジャネイロ市で署名された移住及び植民に関する日本国とブラジル合衆国との間の協定の批准書の交換は、昭和38年10月29日に東京で行なわれた。よつて、同協定は、その第50条の規定に従い、同日に効力を生じた。